十三話 最悪の出会い

「うっうわっ!! な、な、な、

何をしてるんだ! 君は!?」



何をしてるんだって? 

小便です。



D:トイレに間に合わず、人のいない

場所で隠れて小便をしていた、

ということにする。



「!? す、すみません! 

間に合わなかったものでつい。」



「ま、間に合わなかった!?

だからってこんなところで

そ、そんなことするなよ!」



彼女は倉庫の中に入ると

暗闇の中で小便をしていた

俺を見つけて顔を真っ赤に

して倉庫を出ていった。



今、彼女は倉庫の外で俺の

あれが見えないように話している。



「いやでも本当に出そうだったんで

す! というか少し漏らしてしまいま

したし。」



「そんなことは言わんでいい!

あぁ……もうほんっと最悪だ。」



大げさな。

俺は見えないように壁に向かって

してたんだし、俺のあれは

見てないはずだ。



「す、すみません……ところで

タチアナさん、でしたってけ?

あなたはどうしてここに?」



「あ、あぁ、そうだ。

ここに魔族が来なかったか?」



え、嘘でしょ。なんでバレてんの?



「み、見てないですけど。

魔族がこの船の中に?」



「そうだ。先程男部屋の

前で魚人と新しい人間の足跡が

見つかってな、捜索しているんだが。

まさか……こんなこのことになろう

とわ……」



半分泣きそうになりがら話す

彼女に謝罪の気持ちしかない。

いや、ほんとに。



「まあいい。君も気をつけたまえ。

あと、後片付けもしておくように!」



そう言って彼女は機関室をあとにした。



ここまでいろいろあったが、

これだけははっきり言える。



俺が悪いんじゃない。


魚人が悪い。


結果的に倉庫内を捜索されることも

なく、無事切り抜けられたの

だが……何故だろう。

何かを失った気がする。







「ご無事でしたか。」


外で待機していたドッペが

不機嫌そうに機関室から出てきた

タチアナに話かける。



「当たり前だ。」



「それで、中に魚人はいましたか?」



「何も、なぁんにぃもいなかった!!」



地味にキレ気味のタチアナをみて、

何かあったのではとドッペ達が

目を合わせるが、

タチアナはそんな彼らを置いて

さっさと魚人の捜索を再開した

のだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る