十話 最初の敵

「出航!」



高らかな女性の声が港で鳴り響く。




3日前、ガビルさんからの情報を

得たと同時にタチアナという

女性の、3日後の明日港から出港する

という宣言の元、緊急任務の

作戦会議は幕を閉じ、現在に

至る。



揺れる船の上で召集に集まっていた

二十数名の者とタチアナとその騎士団

の部下三名が、各々準備をしていた。


聞くところによれば、召集に集まった

連中もなかなかのツワモノでレベル100

超えの上級職業の者達にだった。


レベル630の帝国精鋭隊の彼女と

その部下の三人は皆、レベル300

超えの最高位職業らしい。

正直、魔族の幹部がどれほど

強いかまだわからないが、俺が

力を使わなくても十分に勝てそうな

面子だった。



「おーい、新入。トランプやんねぇか?」



潮の匂いを嗅ぎながらたそがれている

と、屈強な男が話しかけてくる。

新入ってなんや。



「すみません。船酔いしてしまった

みたいで、少し休んできます。」



「お? そうか、あんま無理すんなよ。」



めっちゃ優しいんだけど。

好きになっちまうじゃんかよ!


そうアホなことを思いながらも、

昨日もずっと野宿だった俺は、

男部屋にハンモックがあったことを

思い出し、やっぱり少し休もうかと

男部屋に向かう。

ぎしぎしいう床を歩き進みながら、

部屋のドアを開けると暗闇から

何かが俺に突進してきた。



「グァァ!」



その悲鳴は俺ではなく、突進してきた

正体であろう魚人のような姿をした

生き物のものだった。

なぜ魚人が悲鳴を上げたのかと

言うと、俺が突進してきた魚人の頭を

つかみそのまま床に叩き潰したからだ。


潰したといっても気絶しているだけで

血も出ていない。

だが、このままこれを放置しても大騒

ぎになるので俺はそいつを引きずり、

海に落とすために船の地下に向かった。

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