第15話
「まさか、あなた様が・・?そんなバカな・・・」
ヨシは、混乱しているし、動揺もしている。
真実をすぐに受け止められずにいて・・・・
今すぐここからいなくなりたいとさえ思い始めた。
「ヨシ、よく聞くんだ」
「あの、すいません。しばらく1人にしてください」
「・・・・・」
無言のままヨシは立ち去ろうとしていた。
「ヨシ、君と別れる前に1度だけ頼みたい」
「はなすことなんかありません!!」
「ミュウ」
「あなたが父親である証拠などどこにもありません。僕には父親はいません。そう思って生きてきました。いまさら名乗られても信じることができません」
「・・・・君が飼っているその動物・・・名前は《ミュウ》だろ?」
「・・・・・・」
「弟の名は《リュウ》そして・・・」
「信じられない!!」
「ヨシ!」
ヨシは走り出した!!
まだ、心は混乱していた。
いきなり父と名乗られても、自分は戦わなくてはならないと言われても・・・・、
今までは否定できた。
でも、今回は・・・・なぜだかタネヨシ様には、どこか懐かしさを感じてしまっていた。
でも、どうすれば良いのかわからない。
頼れる人などもう自分にはいない。
だから、国へ帰る。
そう決意していた。
「やはり早すぎただろうか。いや、だからこそ使命をもう受け継ぐべき時期に来ているはずだ」
なのに彼には、彼だけはまだ【オーラ】を感じないんだ。
我が息子でありながら・・・。
それは、何か足りないせいだろうか。
人間を・・・私たちを全部信じていないからだろうか?
タネヨシ様は少し悩んでいた。
「な、なんだ?この邪気は・・・・」
今までとは違う酷く汚れた邪気。
「ヨシ・・・・」
このままではヨシは・・・。
何かを決意したタネヨシ様は走り出した。
「ミュウミュウ」
ミュウは酷く脅えていた。少し、胸の中に隠しておこう
「ミュウ、大丈夫だ。」
そしてヨシも、この邪気に気づいていた。
「この気は・・・・」
感じたことがある嫌な空気。
そう、この気はあの日、弟リュウと、母さんを殺した魔物と同じ・・・・。
「なぜ今・・・」
背後からこの邪気を感じたヨシは・・・・
「あんたは・・・・」
「やっと気づいたか。そして、やっと見つけた」
「あんたなのか?」
ヨシは、今までと違う顔をした。
その頃、
「こっちだよ、ヒロさん!」
ゴウが、誘導している。
「こんな強い邪気は初めてですね」
5人は歩いて探している。
「ねぇ、足跡あるよ」
「2つ・・・?」
「まさかヨシさんと、タネヨシ様?」
「だろうな」
「2人はどこかで会ったってこと?」
「でも、途中から足跡が分かれてる」
「邪気は、林の向こうから感じます」
「な、なんかこわいよ」
ケンは震え出した。
「ケン、大丈夫か?」
「わからない。でもこの邪気・・・小さい頃感じたことが・・・・」
そして
「みなさん、来てくれたのですね」
「タネヨシ様!」
そこに居たのは、タネヨシ様だった。
「ヨシさんの気配が消えてしまっているのです。もしかしたら、敵の罠の中に・・・」
「恐らく。彼はまだ、力を充分につけていない。頼れるのは、女王様から頂いたという破魔の矢だけではないだろうか」
「俺たちは、勝手に彼を仲間としていようとしているけど彼はそうじゃないんだな。
けど、俺は信じたいことがあるんだ。彼が、タネヨシ様の息子であってほしいって」
「君は鋭いようだな。その通りだ。気の赴くままに彼に話してしまったのだ。そしたら、混乱させてしまったようで・・・・」
「そりゃ、そうだろ」
「とにかく、邪気のある方向へ行ってみましょう」
6人は、その林の向こうへとはしりだした。
その頃・・・・
「うっ・・・・」
ヨシは傷つき、体が動かせずにいた。
「お前が!・・・・おまえが母さんや、リュウを・・・・・!!」
立つのも辛くなり膝まずくヨシ・・・。
「貴様、戦士の生まれ変わりでは無いのか?攻撃してこないなんて・・・」
「この間からなんのこだ!生まれ変わり生まれ変わりって!うるさいんだよ!!僕は、戦いなんかしないと言ってるだろ?」
「へぇー。このまま死んでもいいってことだよなぁ?」
「構わない!!」
思い残すことなんてない!
「さぁ、ころせよ!僕の命なんて誰も惜しがらない!リュウや、母さんが、天国できっと待ってくれている!」
「面白い。それじゃあ、お前の命、いただくよ?覚悟!!」
魔物がヨシを攻撃しようとした時だった!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます