第14話

「な、なんなんだ?この村は・・・」

ヨシはあぜんとしていた。

宿を探そうと立ち寄った村なんだが・・・・

「どうしてこんなことに」

「きっと、敵の仕業ですね」

と、なぜかはなしかけてきた人影がいたら、

「あ、あなたは」


そう、ヨシに話しかけたのはタネヨシ様だった。

「また、お会いしましたね。

ヨシ君と言ったかな?」

「す、すいません。挨拶も出ずに出立して・・・。-」「いや、いいよ。気にするな。

私の名前はタネヨシだ、」

「タネヨシ様・・・」


聞いたことがあるような名前。

懐かしさも感じた。


「つかぬ事を聞くが、ヨシ君・・・君には、家族はいるのかな?」

「・・・・・・」

「話したくないのかな」

「小さい頃に父が旅立ちまして、母と弟と暮らしておりましだが、ある日突然悪党が現れ・・・2人とも目の前で・・・」

そこまで話すと、ヨシは耐えられず涙を流した。


「な、なんだって!?」


「・・・・・・えっ?」

まるで、知っている人かのように驚かれた。

「それで、なぜ君は旅に出た?家族を失って悲しみにくれたはずだ・・・」


「いえ、旅になど出るつもりはありませんでした。

戦いは嫌いです。わけも分からずいま、ここにいます」

それが彼の正直な答えだった。

なんの目的もなく、ただ迷い込んでいるだけ。


「では、君はまだ自分の力を持っていないんだね?」

「・・・・先程も言いましたが、僕は戦いが嫌いです。戦いなんかしたくありません」

ハッキリと言うヨシ。

「しかし、私には感じるよ。君が彼らのような戦う戦士になると」


「・・・・戦うことに意味があるのですか?人が傷つき、死ぬんですよ?もう二度とかえってこないのですよ?僕はもうそのような光景を二度と見たくない・・・・」



だがヨシはこの時、自分でも知らないうちに自分のことをタネヨシ様に話していることにびっくりしていた。


「この村から、離れましょう」

思い出したくないことまで思い出しそうだ。


「君は父親に会いたいとは思わないのか?」

「会いたくないです。あんなどこで何しているかわからない人。家族を捨てたも同然な人・・・・」



彼は少し怒っているようで、俯いている。


「僕達家族を見捨てたんだ。僕は、父親を許さない」


怒りに満ちた言葉だ。


「・・・・・」

「なんて、タネヨシ様にこんな不躾な言葉を発してすみません」

ヨシは我に返り、頭を下げた。


「いや、いいのだ。わたしが尋ねたんだから」

「とにかく休める場所を探しましょう」

と、ヨシは再び宿探しにいことにしたのでヨシはタネヨシ様の方に振り向いた。

すると、タネヨシ様は震えながらなにかを言おうたてしていた・・・・。




「私は君の・・・・」


「タネヨシ様?どうかされましたか?」


「ヨシ、私は君の・・・・」



タネヨシ様は、ヨシに何かを言いかけたそのときだった!


背後から悪党らしき者が襲いかかろうとしていた!!



「タネヨシ様!危ない!!」


その邪気に気づいていたのか、タネヨシ様はサッと身を構えると、剣を抜いて相手の急所を突いた!


【グォォォ】



やつの雄叫びが響いた。


「今のうちに行くぞ!」

タネヨシ様は走り出した!

「はい!」

ヨシはそれに続いた。


そして、改めてすごい人だと思ったし、これが《戦士の力》なんだと思った。



「タネヨシ様!大丈夫ですか?」


途中で、少し力尽きてしまったタネヨシ様。


「あぁ、ヨシ・・・君こそ怪我はないか?」

「はい、お陰様で。それよりさっきの続きを・・・」


聞きたい。

まだ、最後まだ聞いていない。


「ここは邪気が集まっていてゆっくりしない。君は感じないのか?タダならぬ気を!」

「・・・・そういえば、気味が悪いくらい変な風を感じます。」

すると、フッと笑い・・・

「ヨシ君」

「はい」


「君にこの剣を与えよう」

タネヨシ様は自分の腰の剣を、ヨシに渡そうとしていて・・・



「しかしこれは、タネヨシ様の。タネヨシ様のお子さんにわたすものでは?」

「私はもう、長くない。戦いに力を使いすぎたようだ」

「えっ?」

「君のようなひとに、この剣を与えたい。そう思っていた。きっとこの剣もそう思っている」


「しかし・・・・」

ヨシは、受け取るのを戸惑い続ける。


「タネヨシ様にも帰る場所があるのでしょう?この剣はあなたの跡継ぎに渡すべきです」


「ヨシ君、きみはまだ、使命を与えられていないんだね」

「何度ももうしていますが、僕は戦いなどしたくありません。このまま自分の国に帰ります。彼らとも二度と会うことはないでしょう。もちろん、あなたとも・・・・」


「では、君はあの皇女とどんな関係だ?」


「レイナは関係ありません」

「男は愛する女を守り通すのが仕事だ。それが、家族であれ、友人であれ、恋人であれ・・・・。誰かを守り通すのが国の長としての役目でもあるわ、失ってからでは遅いぞ?」

「タネヨシ様は、誰かを守れなかったのですか?」

「・・・・そうだな。ある意味守る前にもう居なくなってしまった」

「・・・・・・」


タネヨシ様は切なげな苦しそうな顔になった。


「私も家族の元へ帰りたいと思っていた。

十数年、家族をほっておいたから」

「タネヨシ様・・・・」

「ヨシ君、約束してくれ・・・」

「はい・・・・」


「きみは、私のようになってはいけないぞ?」

「えっΣ(゚д゚;)」

「君がもしこの先父となった時に自分の家族を捨てることはしてはいけない。例え、使命のためであっても・・・・・」


「・・・それはもちろん」


「さぁ、この剣を受け取ってくれ。私は君に授けたいのだ」


「タネヨシ様・・・・」


何故こんなにも僕にこの剣を勧めるのだろう。


だが次の瞬間彼の口から聞いたのは・・・・


「私は、君の【父親】だ。」

「えっ?Σ(゚д゚;)あ、あなたが父親ですって?!」

衝撃的な一言だった。






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