第6話
「兄さん、よっぽど疲れていたんですね」
夕飯を、ご馳走になったあと寝てしまったのはゴウだ。
「(笑)彼は本当に野性的ですね」
「そうですよ。同じ人間だなんて嘘みたいです」
「先程の力は大地の力を借りたものです。もしも、大地に何らかの力が加わったら・・・・」
「えっ?」
「彼の持つ力は、それでコントロールされているみたいですよ。私の父が残してくれた本にはそう記されています」
「かつて戦っていた戦士か・・・。私の父さんもその仲間であったと聞きました」
「戦士たちは、戦いが終わったあと・・・命を落とした者もいます。その消息は、バラバラなのです」
「・・・・・・・」
寝ていたと思われたゴウは、目を開けながら、2人の会話を静かに聞いていた。
「僕の父さんも、ちゃんとご飯食べているかな・・・ちゃんと、仕事をして生きているでしょうか・・・」
「大丈夫。きっとどこかで元気でいますよ」
「うん(。>﹏<。) 」
急に泣き出したジュン。
まだまだ子供の心が抜けていないのかもしれない。
「外の空気、吸ってきますね」
ジュンは、外に出て空を見上げた。
空には満天の星が輝いていた。
「父さんも同じ景色を見ているのかな・・・・」
ジュンは目を閉じ、呟いていた。
【知りたいか?お前の親の消息・・・・】
「えっ?」
不気味な声が響いた!
「誰?」
【フフフ】
「ヒロさん!!」
ゴウは、血相を変えて、起きた。
「どうしました?ゴウ・・・」
「ジュンが!ジュンが・・・!」
ゴウは、ただならぬ殺気を感じたようで・・・外へ出た!
が、さっきまでいたはずのジュンの姿がない!!
「まさか敵に・・・・」
そう、ジュンは魔物にさらわれてしまったのだ。
明け方だ。
野宿をしているマサ。
なぜか邪気のようなものを感じる。
「・・・・誰だ?」
今まで感じたことがない。
これが魔物の気配?
その邪気は、ものすごい勢いで駆け抜けようとしていた!!
そして、マサの目に映ったのは・・・
気絶をしている少年。
「人間をさらったのか?あれが魔物の正体・・・・?」
マサは少し戸惑った。
だが、父に言われた言葉を思い出した。
「どんなときも迷うな。いいか?人を助ける心を忘れるな!」
「・・・・助けなきゃ・・・・」
マサは、その魔物のあとを追いかけた。
同じ頃・・・・
「(この嫌な予感はなんなんだ?人間じゃない・・・・)」
ヨシはまだ、自分の立場もわかっていない・・・。
「敵の動きはとても早かった・・・・。ジュンがもし、死んだら俺・・・・」
「・・・・大丈夫です」
「・・・でも・・・」
「とにかく探しに行きましょう。そんなに遠くには行ってないはずです。君の力が必要です」
「・・・・えっ?俺の?」
「・・・・はい。君は大地の力を操ることができます。もしもまだ、ジュンくんがこの近くにいるなら・・・感じるはずです。集中してみてください・・・・」
「やってみるよ」
ゴウは、集中して目を閉じた。
不思議なことに、ある光景が頭の中に浮かんできた。
「ゴウくん。なにか見えましたか?」
「・・・魔物がジュンを、抱えています。その目の前に誰かがいます」
「目の前に誰かって・・・」
「見知らぬ青年です。」
「見知らぬ青年・・・・歳は?」
「ヒロ様・・・ぐらいでしょうか・・・。彼は1人で魔物と戦おうとしています」
「えっ?」
戦士の生き残り?
そう、まさにマサは1人で魔物に立ち向かおうとしていた。
自分と同じ人間を助けない訳には行かないと思ったからだ。
「フフフ、お前に何が出来る」
「その子を離すんだ!それだけでいい・・・」
「ほぉ?お前は30年前、滅びたと言う戦士の生まれ変わりか?」
「滅びてはいない!でも、生まれ変わりは、確かかもな・・・・」
マサは、父親から預かった剣をかざした。
「お前に何が出来る。未熟者の癖に・・・」
「未熟者でも、人を助けることが使命だ!」
「フフフ、死にたいのか、小僧」
マサの腕は震えていた。
「(殺されるかもしれない・・・・・)」
そう、思った。
すると、不思議なことに父親から預かった剣が、【ドクン】
と脈をうったのだ。
「(えっ?・・・・・今のは空耳?)」
何かをマサに指示するかのように・・・・・
そして、その脈打つ剣に導かれるようにゴウは足を止めた。
「・・・ヒロ様・・・この近くです~・・・」
ゴウの持つ剣が同じ反応をした。
そして、
「そのようですね・・・。私の剣もまるで呼び合うかのように反応をしています」
「(負けるかもしれない。でも、これも運命|(さだめ))・・・・剣よ、教えてくれ・・・あの青年を助ける方法を!」
マサは、剣に語りかけた。
「待て!」
ヒロとごがその時やってきた!
「何奴だ?」
「私たちは、その青年と同じ運命を持つ者と言うのが正しいでしょうか・・・」
「えっ・・・・」
マサが振り向くと、ゴウとヒロの姿が・・・。
「あの?あなたたちは・・・・」
「ゆっくり説明してる暇はありません!」
「話すのは、目の前のこいつを倒してからだ!」
大事な弟を返してもらうぜ」
「あなた方の弟・・・・」
【獲物が3匹。これは面白い】
「いきますよ?」
3人の剣は、不思議なことに光を放ち、あっという間に魔物をやっつけたのだった。
「兄さん」
ようやく目が覚めたジュン。
「ジュン、よかった・・・」
こう見えてゴウは、動揺していた。
「あの?同じ運命とは・・・・?」
マサは、問いかけていた。
「申し遅れました。この先の氷村に住む
「ヒロ」と申します。あなたのその剣が私たちを導いてくれたおかげで、ジュンくんを助けることが出来ました」
「・・・これは、父から預かった剣です。かつてこの国々を守った戦士たちの血を引いていると聞きました」
「はい、ここにいるみんなが持つ剣、一つ一つがその戦士たちの魂を引き継いでいます。この世に蘇った魔物たちを封印するためにもう一度、集まる必要があるのです」
「ジュン、大丈夫か?」
まだ、震えてるジュンくん。
「兄さん、俺、見たんだよ。魔物は・・~さっきのやつらは1匹じゃない・・・・」
「そうです。この世に蘇った魔物たちは、何万といるはず。人々を脅かそうとしています」
「6人集めろ・・・。父はそう言いました。かつて、戦った戦士たちの生まれ変わりがまだいると聞きましたが・・・・」
「たった1人生き残った戦士・・・・彼は共に戦った戦士たちの敵をとるために戦い続けていると聞きました」
「俺たちは、戦うために生まれてきたのか?」
「1部はそうかもしれません。戦うために生まれてきた。しかし、人々を救うために共に使命を果たしませんか?」
「ヒロ様・・・・」
みんなは、ヒロの方を一斉に見た。
「あぁ、ただの偶然じゃないよな?剣が呼びあってるんだ。俺たちが出会ったのは運命だ」
ゴウは、同感みたいだ。
そして、4人はその夜、自分たちの家族のことを話したりしてお互いのことを分かちあった。
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