第8話 真、運動へのみち
最近、体調がいいと感じる。足も軽い。
自炊をしている食事が減塩のせいか。
それとも、家にいても話し相手がいる、安心感からか。
「家にこもりきりでは、身体によくありませんことよ」
「日光浴でセロトニンをつくろー」
運動など、通勤で歩くくらいしかやってないな。
「急に運動など考えても、怪我のものですわ。自分に合った方法が一番でしてよ?」
「年寄りの冷や水になっちゃうー」
「ビーちゃん、それは言ってはいけなくってよ?」
言ってはいけないと口にされると、こちらもへこむ。
耳に痛いのは確かだが、今後を考えると寝たきりにもなれない。娘はいずれにせよ向こうで暮らすことになるだろう。迷惑はかけられない。
「思いつめは健康の大敵ですわ」
「病は気からー、気にしない気にしない―」
ちょっと思っただけだ。そんなに怖い顔をしないでほしい。
だが、外出か。独りで散歩は味気ないな。
そういえば、妻と散歩にいったことは、あまりなかったな。もっと気ままに散策でもすればよかったのだろうな。
「思い立ったが吉日と申しますわ」
「ビーちゃんが一緒に行ってあげるー」
「当然、わたくしもですわ」
しかし、奇妙なふたりを連れて外は歩けない。トラにも見えているということは、他に人にも見えているということになる。
「あの猫又は調伏済みですので、使役いたしましょう」
「トラッキーちゃんと一緒にお散歩ー」
あのドールハウスはなんだったのだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます