TYT-066 ロック鳥

【管理番号】

 TYT-066


【妖異通称】

 ロック鳥


【危険レベル:丙級】

 遭遇した場合は対象に気付かれないよう最大限の注意を払いつつ退避してください。物品や事象の場合、直ちにその場から離れます。 非常に危険な対象です。もし貴方の存在が相手に認識された場合、生命に関わる危機的状況に陥っていると考えるべきです。


【対応状況】

 聖倉院にて収容中


【外観】

 エドワード・ジュリアス・デトモルト氏による絵画


【関連事件】

  利根川氏及び関係者連続不審死事件


【広域情報】

  未確認


【詳細】

 TYT-066は、エドワード・ジュリアス・デトモルトによって描かれた絵画『雛への餌にゾウを運ぶロック鳥』のレプリカです。平成25年5月に不審死を遂げた利根川氏の邸宅で発見されました。生前、アノーマラスアイテムや怪奇な由縁のある骨董品に執着的ともいえる関心を持っており、そのコレクションのひとつとであったものと思われます。


 TYT-066に描かれているロック鳥は、アラビアンナイトなど中東・インド洋地域の伝説に登場する巨鳥。ゾウ3頭をまるごと連れ去ってしまうほど大きな鳥であると伝えられています。シンドバッドの物語においては、主人公シンドバッドが乗っている船に大岩を落として沈めようとする場面が描かれていました。


 TYT-066による異常性が確認されたのは、利根川氏の遺品であるTYT-066を引き継いだ人間が3名立て続けに何者かによる惨殺され遺体となって発見されたことによります。事件の捜査のためTYT-066を保管して調査を行っていた鑑識官が、警察署内で同様の手口で惨殺体として発見されたことから、妖異物としての調査が始められました。


 最初に異変に気が付いたのは、帝国妖異対策局から調査の支援のために派遣されていた不破寺局員と一緒にTYT-066を調べていた別の鑑識官でした。連日の調査による疲れで《たまたま》不破寺局員がうたた寝を始めたところ、鑑識官はTYT-066の絵画に変化が生じるのを確認しました。


 鑑識官はロック鳥に掴まれている象の部分が徐々に不破寺局員の姿に変わっていくのを目撃しています。監視カメラによる録画映像からは絵画が変化する様子は撮影されていません。しかし、絵画の変化に驚く鑑識官の様子と就寝中であるはずの不破寺職員の奇妙な行動については確認することが可能です。


 不破寺局員が完全に眠りこけたと思われた時点において、まるで同局員が絵画の中に入り込んでいるかのように、元々あった象と入れ替わっていたと鑑識官は証言しています。鑑識官が観察していると、絵画の中の不破寺局員は刀を振ってロック鳥の足を切りつけることを繰り返していました。この時、就寝中の不破寺局員が床の上で暴れる様子が映像に残されています。

※現実では不破寺局員は部屋に刀を持ち込んではいません。


 鑑識官の観察では、絵画の中のロック鳥の足のあちこちから出血が見られるようになり、ついにロック鳥は不破寺局員を放してしまいました。鑑識官によると、それと同じタイミングで不破寺局員も目を覚ましたとのことです。


 目を覚ました不破寺局員の身体には大きな爪で掴まれたかのようなあざや傷が出現していました。鑑識官が状況を説明すると、不破寺局員は鑑識官が観察したのと同じような夢を見ていたとのことです。


 この情報を元に土御門研究所とも連携して調査を進めた結果、TYT-066は夢魔の一種ではないかという結論に達しました。通常の夢魔と異なり、夢の中で襲われ負わされた物理的損傷がそのまま現実においても反映されることが、その後に行われた動物実験によって確認されています。


 危険な妖異であることから焼却等による廃棄も検討されましたが、封印されている妖異が解放される危険性もあることから、聖倉院で収容されることになりました。


【対応詳細】

 聖倉院に収容済み。


【懸賞金】

 懸賞金は懸けられていません。

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