第12話 ひとつに・・・
「電源が入っていないため……」
そういうアナウンスが流れた。
「…悠季…出ろよ!……悠季っ!」
俺は、何度も何度も連絡をするが結果は同じだった。
「悠季…」
―――×―――×―――×―――×―――×
【ネエ…オネエチャン…イッショニ…サガシテクレル…ヤクソクデショ】
私が連れて来られた場所は、今にも崩壊しそうな廃虚となっている、かなり古い病院だった。
そして更に驚いた。
私の目に入って来たのは沢山の霊が手招きをしているのだった。
≪やだ……嘘でしょう≫
≪私…見えてる…≫
【ボクノ……トモダチ……タクサンイルンダヨ】
【オネエチャンモ……ボクノ……トモダチダカラ】
「…えっ…?と、友達?」
【オネエチャンハ…モウ…ナカマダカラ…】
「な、仲間…?それは…」
【…チガウノ…?】
「私は、あなたのパパとママを探しに…」
【サガシニキタ…ナカマ…トモダチ……】
【オネエチャンハ…モウ…モドレナイヨ】
「えっ!?」
【ダッテ…オネエチャン…シニタインデショ】
「違う!私は…」
【ボク…シッテルヨ】
【オネエチャンハ…モウ…シヌンダヨ】
【ボク…ワカルンダヨ】
「…………………」
【オネエチャン…ハ…ココデ…シヌタメニ】
【ウマレテ…キタンダヨ】
【ウマレテ…コナキャ…ヨカッタンデショ】
【オネエチャン…サエ…イナクナレバ…ミンナ…シアワセニ…ナレタ…ン…ダヨ…】
「…………………」
【…シネバ…イイ…】
グッと首をしめられた。
「…………」
【……シンダラ…ラク…ニ…ナル…ヨ…】
私は意識が遠退いていく。
すると幽体離脱をしてしまい、何かに導かれるように私は体が浮遊していく。
―――×―――×―――×――――×
「なぁ、今度さ廃虚の病院に行ってみようぜ」
「えー」
「あそこ出るって話じゃん。火事で患者含む看護婦さんとか医者の霊が、まだウヨウヨいるらしいし、中には足を運んだ人は生きて帰って来た人もいないとか?」
「へぇー…すっげー、質が悪いなぁ~それ……」
俺はとある店の中、背後から聞こえるカップルと思われる会話の中に割って入り、目を糸のようにスーッと細くし二人を見る。
「きゃあっ!」
「うわっ!な、何だよ!お前っ!」
「通りすがりの霊媒師」
「えっ!?」
「なぁ、その病院、何処にあんの?」
「何処って……深い森の奥で……」
「案内してくんねーかな?」
「いや…辞めた方が…」
「お前行きてぇんだろ?」
「いや…でも…」
「男だろ!?」
「でも…本当にマジヤバくって…」
「そうだよな…話を聞く所によるとヤバイだろうなぁ~…」
俺は明後日の方向の遠くを見つめた。
「実はさ…俺の大事な女が行方不明でさ…連絡つかねぇんだ…」
「えっ!?」
「これってさ…そこに関係してんじゃねぇかなぁ~って…」
「いや…だとしたら…マジヤバイ…」
バンッ
テーブルを叩く
「だから教えろっ!っつってんだよ!何かあったら遅ぇんだよ!彼女、彼氏借りるぞ!」
「ま、待って下さいっ!私も一緒に行きます!」
「おいっ!あかりは辞めた方が良い」
「…でも…トシに何かあったら…」
「…あかり…」
「イイ彼女と付き合ってんな…普通なら言わねーぞ…」
「えっ?」
「俺の…大事な女と変わんねーな…でも…最近…弱音ばっか吐いてたからなぁ~…アイツ…」
『悠愼…』
「えっ?…悠…季…か…?」
『…うん……最期に悠愼に逢えた…』
「バカっ!最期とか言うなっ!俺の中に入れるか?悠季」
『うん……』
「あっ!悪い……今、大事な女とコンタクト取れた」
「えっ!?」
「取り合えず二人共案内して貰えるか?」
「分かりました!」
「はい!」
「悠季…絶対に連れて帰るからな…」
俺達は会話をしながら目的地に向かう。
『ありがとう……悠愼…その気持ちだけで良いから』
『お前…死ぬ気か?』
『…それは…』
『みんな待ってる!みんな俺達の帰り待ってるから一緒に闘って戻るんだ』
『…うん…』
『お前に触れてーけど触れられないのが残念だな』
『バカ…。…ねぇ…悠愼…』
『何?』
『何でもない』
『悠季…言っておくけど、お前の気持ちとか伝わるから隠しても無駄だから』
『えっ?』
『ある意味1つになってるから…お前の魂と俺の魂…想いも1つになってる状態だから』
『そうだね…』
あなたと1つになって
あなたの想いが
体全身に伝わる
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