第2話 イッショニ・・・

「ねえねえ、知ってる?海の近くにある廃校あるじゃん!あそこ……出るんだって……」

「嘘っ!?マジ!?」

「あそこって学校だったんでしょう?」

「えー、病院って噂も出てるよ」

「えー、嘘。どっち?」



クラスメイトの女子生徒が話をしては盛り上がっている。


正直、私には関係ない話しと言うよりも絶対に関わりたくない話だ。




「あそこ…学校なんだって!」

「えっ?」

「今、彼女達が話している場所だよ」

「そうなんだ…」

「出るって話、マジなんだってー。結構凄いって話」


「へぇー…そうなんだね。怖いね…」

「だけど、今、そこの肝試ししないか?って話が出てるんだ!」


「えっ!?や、やだ…辞めた方が良いよ」

「自分の目で確かめたくない?」

「い、良いっ!私、確かめたくないから!」

「えー、悠季は参加候補だよ」


「えっ?」

「天気の良い日に肝試し決行だから」

「や、辞めようよ」

「大丈夫。悠愼君も来るし」

「悠愼…君?」

「そう!いたでしょう?背が高くてイケメンの男の子。彼、神社の息子らしいし。覚えてない?」


「神社?」

「そっ!何かあったらお祓いしてもらえば良いし」


「…友夏…本気で言ってるの?」

「うん。勿論!」



「…………」





一方 ――――



~ 悠愼 side ~



「廃校の肝試しだ!?おいおい、冗談よせよな!お前ら、そういう所に行って何かあったら遅ぇだろ!?」


「大丈夫、大丈夫!神社の息子の悠愼いるし」


正矢が言った。



「俺がいるとか、いないとか関係なく悪ふざけして行くのは辞めろ!」

「だけど、悠愼は強制参加だから」

「はあぁぁぁっ!?」



「前に遊園地に行った子達と行く話になってさぁ~悠季ちゃん可愛いよなー」


功太が言った。



「コイツ、悠季ちゃんに一目惚れしたみたいで誘ってってうるさくて」


正矢が言った。




「本当。しつこい位言ってたよね~。功太君。今度、告白したら?」



と、伊都霞ちゃん。



「いやいや…告白とか無理だよ。そんな勇気ないし!」


と、功太。


「男でしょう!?」と、伊都霞ちゃん。


「とにかく悠愼、そういう事だから、参加宜しくな!」


と、正矢。




≪廃校…ね…マジヤベーんだけど…あそこ…≫

≪しかもよりによって…どうして彼女を?≫

≪ただでさえ霊に憑かれ易いのに…≫

≪俺で太刀打ち出来るなら良いけど…≫





その日の学校帰り ―――



「廃校の…肝試しか…何か…超…憂鬱だよ…」




次の瞬間 ――――



ビクン



≪えっ…?≫

≪や、やだ……体が…動かない……≫




【イッショニ…シノウ…】




ゾクッ




≪…えっ?…いや…何?≫

≪…私はまだ…死にたくないよ……≫

≪誰か…助けて……≫




私は体が操られるように体が前に進む。



信号は……赤……



≪いや……私を…巻き込まないで……≫

≪…死にたくないよ…≫




次の瞬間 ――――




グイッと私の腕を掴む人影。




ビクッ ドサッ


驚く中、私の体が動いたかと思うと地面に倒れ込んだ。




「………………」



「……大丈夫か?」



私を心配そうにのぞき込む悠愼君の姿があった。



ポロッと私の目から涙がこぼれ落ちる。


グイッと私を抱きしめる悠愼君。



「………………」




私は涙が溢れ止まらなかった。






















  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る