体質

ハル

第1話 神様は不公平

「ねえ、悠季(ゆうき)今度、ちょっと付き合って!」



「えっ?」

「ねっ!お願いっ!」

「……うん……」



私、花賀 悠季(かが ゆうき)16歳。


私に頼んで来たのは


友達の、尾喜多 友夏(おきた ともか)




私は、ずっと色々な霊媒師の人から何度も何度も同じ事を言われ続けた事がある。



「生まれつきあなたは霊に憑かれ易い体質ね」




そう言われた事がきっかけで外出するのは正直大嫌いに近い。


いつ、どこで、霊を引き連れて来るか分からないから余り外出を控えた方が良いんじゃないか?と、そう思い始めた今日この頃。


幼い頃は意識していなかったけど、小、中、高と日に日に大きくなるに連れて私は意識しはじめた。


ある日の帰り、一人の男性に出会い ―――



「あ、君!」

「はい」



中年のおじさんが私を呼び止めた。




「君は…一人で来てるのかい?」

「はい……そうですけど」

「じゃあ…最近の体の調子などは?」

「調子…ですか?」

「体が重いとかないかい?良く眠れてるかな?」


「それは…」

「ちょっとお時間貰えるかな?君…物心ついた時から何か言われ続けた事あるんじゃないかな?」

「…はい…あります…」

「やっぱり…上の境内に来て貰えるかな?」


「えっ!?」


「単刀直入に言うよ。君の体の不調の原因を退治するよ。言われなくても予想はついているんだろう?」


「霊が…憑いてるって…事ですよね」

「正解!もう随分とお祓い受けてないんじゃないかな?」


「はい…そういう知り合いもいなかったので…」「良く頑張ったね。それだけ強運の持ち主なのかな?」



私は、お祓いをしてもらう。


どれだけの霊が憑いていたのだろう?


一気に軽くなったのが分かった。



「君、名前は?」

「花賀 悠季です」

「花賀 悠季さん」

「はい」

「君は…これから沢山の霊の影響を受けて過ごす事になるだろうな…」


「えっ!?」


「下手すれば生命に関わる事も…外出は控えた方が良いんだが…学生さんだよね」


「そうです」


「う~ん……定期的に見るようにするかな?取り合えずしばらくは大丈夫なようにしているから何かおかしいと思ったらまた来なさい」


「分かりました。ありがとうございます」




私は帰る事にした。




そして、階段ですれ違う男女。




~ 男の子 side ~



俺は一人の彼女とすれ違った。


彼女を見た瞬間


何かを感じた



「ただいま」

「おかえり」

「親父、お客さん?今、俺とそう変わらない女の子と階段ですれ違ったんだけど」


「あー、彼女は……稀にしか生まれない特別な女性だよ……どうしてあんな可愛い子が……そういう運命になる為に生まれて来たのだろうな……神様は不公平だな」


「……親父……?」


「悠愼(ゆうしん)、彼女を頼んだぞ!」

「えっ?いや、頼んだぞって……」

「そのうち、悠愼は彼女と会う事が増えるだろうな…運命とは不思議だなぁ~」


「いや意味分かんねーし!」

「悠愼!心して聞けっ!」

「急に何だよ!」


「彼女は…霊に憑かれ易い体質だ」

「あー、何となく気付いたけど……」

「死に至る可能性を秘めた女性だよ」

「……えっ……?」


「彼女は…生まれつき…可哀相な運命を歩む為の人生…」


「…マジかよ…」


「…悠愼…お前は、ここの神社を継ぐ者だ。霊媒師としてまだまだ未熟かもしれないが…彼女を命かけて守る時が来る。想いが1つになった時…今までにない力が発揮されるだろう」


「…親父…」

「今は、まだ自分の人生を楽しめば良い」

「ああ」




そして、ある日の休日、友夏に連れて来られたのは遊園地だ。


そこには既に人影があった。




女の子・河那盛 伊都霞(かなもり いつか)ちゃん


男の子・創深 正矢(そうしん まさや)君。

河那盛 伊都霞ちゃんの彼氏だ。


そして、

椎那 悠愼(しいな ゆうしん)君。


石屋 功太(せきや こうた)君。



「悠季ちゃんって可愛い系じゃない?」


と、功太君。



「えっ?…いいえ…そんな…」

「この子、引きこもり気味で外出させようと思ってきょう、無理言って連れ出したんだ」


「そうなんだ!休日とかはやっぱり外出する方が良いよ。楽しいのに」


と、功太君。



「うん……そうなんだけど…」


「まあ、良いんじゃねーの?」と、悠愼君。




私達は1日を楽しんだ。




その日の帰り ――――


偶然に悠愼君と同じ方向で一緒に帰っている。



「なあ……あんたさ霊に憑かれ易い体質だろう?」


「えっ?」

「外出しないのも、それが理由なんだろう?」

「…それは…」

「前に1回すれ違った事あったけど……」


「そうなんだ」

「……あんたも大変だな?」

「えっ?」

「体調とか大丈夫か?」

「うん……問題はないかな?」

「そっか……」



私達は色々話をしながら帰る。





「それじゃ、俺ここだから」

「うん……」



≪あれ……?ここ……?≫



別れ際、長い階段を見上げる。



「前に……来た事……あるような……」

「あー……あると思う。俺、ここの神社の息子だし。多分……親父と会った事あるんじゃねーかな?」


「そっか……それじゃ」



私達は別れる。



「あっ!待って!」

「えっ?」

「後ろ」

「えっ!?後ろ?」



私は振り返る。



バシッ

背中を思い切り叩かれた。



「痛っ!いきなり何するかな?」



クスクス笑う悠愼君。



「虫が止まってたから」

「嘘だ!」

「じゃあ…退治してやった」

「えっ?」

「そう言えば良いだろう?じゃあな!」

「うん…」



私達は別れ、悠愼君は私を見つめる。



「低級霊って所だな?取っ払ったし大丈夫だろう?」



そう言うと階段を登って行く。



「マジ痛かったし…退治してやったって事だし…何か憑いてたのかな?」




私は足を止め悠愼君を見つめた。


















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