第7話 ロドミゴ様

業務日報

 干天の月一日

 記録者 コンス侯爵家冒険公社 スーナ支社長 男爵サイアム

 収支については帳簿の通り。出稼ぎにいっていた冒険者たちも戻ってほぼ平常を取り戻した。十人の騎士に守られた使いがやってきて、皇室からの慰問と褒章の日を告げた。今月十日。侯爵家から次男ロドミゴ様も同行してきて、そのままその日まで侯爵家の名代としてとどまるという。やんちゃな人で、冒険者の真似事もするのでけがなどないことを祈るばかりだ。


業務日報

 干天の月二日

 記録者 コンス侯爵家冒険公社 スーナ支社長 男爵サイアム

 収支については帳簿の通り。夏素材の買取価格を少し下げる。

 皇子出迎えの準備を開始。明日、臨時の荷駄隊が到着する予定。

 ロドミゴ様が見当たらないと思ったら、ゴブリン村にいったらしい。危険な真似はやめてくれと思わず説教になった。何かあったら私が侯爵様に皮をひんむかれるのだ。

 いきなり話をそらされ、皇子とともくるツァーン侯爵家の家令に見せる証拠にこれを加えろと黒い手帳を渡された。これも立派な証拠で、密猟者の拠点から持ち出されたものだという。どうやら、別邸に保護した者が隠し持っていたらしい。


業務日報

 干天の月五日

 記録者 コンス侯爵家冒険公社 スーナ支社長 男爵サイアム

 収支については帳簿の通り。皇子を出迎える準備で出荷の準備が進まない。

 ロドミゴ様が客人と仲間たちを引き連れてダンジョンにいったらしい。何回、私の皮を危機にさらしたら気がすむのか。

 カウンター係、会計員の交代要員、大学を出たばかりで実力は未知数だが新しい学士、失った人材がようやく補充された。わけあり令嬢だったI嬢の遺族からはややそっけない感謝の手紙をもらう。問題児でも子供はかわいいものだ。

 契約冒険者たちから、客人が皇子と一緒に帝都にいってしまうのではないかと聞かれることが多くなった。正直わからないとしか答えようがない。皇子が代読する陛下の慰労文になにがかかれているかわからない。

 だが、皇子は間違いなく客人を連れ帰るだろう。あれだけの魔法使いで、指揮にたけた軍人で、おそらく決闘も負けなしの御仁だが、皇子には逆らえないものがあるらしい。それが何かは知らないが、一度捨てられたくらいで変節するようなものではないらしい。


業務日報

 干天の月九日

 記録者 コンス侯爵家冒険公社 スーナ支社長 男爵サイアム

 収支については帳簿の通り。お祭りムードになってしまって買取がほとんどなかった。

 侯爵家本宅より返書。急使で出したのに、遅い。内容は信じがたいものだった。

 何もするなと言われた。


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