【声劇台本】強がりと給食

てまり

強がりと給食

【登場人物】



相沢 いち子 (女) 明るい

早乙女 結衣 (女) 大人しい

今中 真希 (女) 元気

中桐 光司 (男) 意地っ張り

町井 幸博 (男) 少し弱々しい

皆川先生 (男) 皆の担任


N(ナレーター)


【はじまり】


N

ここはとある中学校 今は給食前の休み時間

どうやら「嫌いな食べ物」について、仲良し女子3人が話しているようです・・・



相沢「やっぱりピーマン!苦いし!」


早乙女「私はきのこかな、なんか苦手だな・・・」


今中「いやいや、レバーでしょ!」



中桐「なあ、お前ら何の話してんの?」


相沢「嫌いな食べ物の話!中桐は何かないの?」


中桐「俺は・・・無いけど」



中桐(やべ、咄嗟に言ったけど俺めっちゃ嫌いな食べ物あるぞ・・・)



今中「マジで!?結構すごくない?!」


早乙女「え、中桐くんすごい・・・!」


中桐「お、おう・・・まあな!」


相沢「ピーマン食べれる?!」


中桐「あ、ああ」


早乙女「きのこも食べれるの?」


中桐「え、ああ・・・」


今中「レバーも食べれんの?」


中桐「ま、まあ食べれる・・・」


相沢「えー!大人じゃん!いいなあ!ピーマンとかもう何が美味しいのか分かんないよ、すごい苦いし食べられないよー・・・ピーマンの肉詰めとかも無理!」



中桐(分かる・・・すげえ分かる・・・)



早乙女「きのこも、私匂いも苦手だし、なにより食感が気持ち悪い感じして本当に嫌いだな・・・スープに入ってたら気持ちが落ち込んじゃう・・・」



中桐(俺もきのこ嫌いだし、それは分かる・・・)



今中「レバーって食べなきゃダメなの?給食でたまにでるけど、栄養とか知らないし、無理なものは無理!」



中桐(分かる、栄養の話されても食えない・・・)



相沢「今日って給食なんだっけ、まだメニュー表見てないけど・・・」


今中「苦手なのあったらヤだな・・・」



N

ドアが開き、町井が呼びかける。



町井「中桐くん、ノートの提出・・・って、なに話してるの?」


中桐「あ、町井!わりい、今ちょっと話してたわ」


町井「何の話?」


相沢「嫌いな食べ物!もうすぐ給食だからさ・・・町井くんは何かある?」


町井「え、僕?・・・そうだなぁ、僕は牛乳がダメなんだ・・・」


今中「あ~・・・ちょっと分かるよ・・・」


町井「前の学校だと大丈夫だったんだけどね」


今中「前の・・・?ああ、町井くん、転校生だもんね。でも前の学校は、ってどういうこと?」


町井「えっとね、前の学校だと牛乳のかわりにオレンジジュースが出てたんだ」


相沢、早乙女、今中、中桐「へえ~!!!」


中桐「なんで?」


町井「みかんが有名なところだったんだよ、だからオレンジジュース。でも転校してきてから牛乳になって・・・」


中桐「あ~・・・それはつらいな・・・」



中桐(俺も牛乳嫌いなんだよな・・・)



相沢「えー、ていうか聞いてよ、町井くん!中桐は嫌いな食べ物無いんだって!」



中桐(やめろ!これ以上俺のウソ広げるなよ!!!)



中桐「いや、それは」


町井「へえ~!中桐くん凄いなあ!」


早乙女「羨ましいよね!」


今中「あ、いい事思いついた!中桐に苦手なもの食べてもらわない?最近席替えして席近いし、結構大食いじゃん!」


中桐「え!?」


相沢「いいね~って中桐どしたの?そんな驚いて・・・」


中桐「い、いやあ~・・・それはほら、なんというか、やめたほうがいいんじゃないか・・・?」


相沢「なんでよ」


中桐「いや、そ、それはその・・・まあやめたほうが・・・」


早乙女「中桐くん大丈夫?やっぱり無理して・・・」


町井「うん、無理は良くないよ・・・」



中桐(やばいやばい・・・!)



中桐「い、いや、ごめん、実は俺・・・!!」



N

突然、ドアが大きな音で開く。



皆川「おい!お前らダメだろ!そんなことしたら!!」


中桐「う、うわ!皆川先生・・・」


今中「げ、見つかった・・・」


皆川「げ、とか言うなよ~!自分の分の給食は、ちゃんと自分で食えよ!」


相沢「え~!!先生のケチ!」


皆川「さっきから聞こえてたがそんなに食べられないものか?」


相沢「無理だって!先生こそ何か嫌いな食べ物無いの?」


皆川「先生は小さいころから何でも食べれたんだぞ~!」


町井「は、はあ・・・」


今中「・・・なんか引くわ」


皆川「なんでだ!とにかくお前らちゃんと自分で食えよ!さあ、そろそろ給食の時間だ、準備するぞ~!」


相沢「・・・結局メニュー何だっけ?」


町井「・・・なんかカレーの匂いするね!」


早乙女「本当?私、メニュー見てくる!」



N

メニューを見て苦い顔をする早乙女。



早乙女「・・・きのこカレー、レバーの煮物、ピーマンの和え物、牛乳・・・」



全員「・・・・・・。」



皆川「・・・ま、まあ元気だせ!!さあ、食べるぞ~!」



生徒みんな「は~~い・・・」



皆川「ところでなんで中桐は噓をついているんだ?」


中桐「え゛」


相沢、早乙女、今中、町井「?」


中桐「いやいや何言ってるんですか?!噓なんて・・・」


皆川「いや、お前三者面談のときお母さんが『沢山苦手な食べ物あって大変』って」


中桐「な・・・」


相沢「えー!?うそだったの?!」


中桐「・・・わ、悪かった・・・ちょっとかっこいいかな、なんて・・・」


相沢「・・・かっこわるう!」


早乙女「え、えっと・・・じゅ、準備しますか!」


今中「あーあ、こりゃ中桐やっちゃったわ・・・」


町井「・・・ドンマイ、中桐くん・・・」


中桐「ああ・・・強がるんじゃなかった・・・」


皆川「ま、まあ元気出せよ中桐!さ、給食の準備だぞ!!」



~完~

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【声劇台本】強がりと給食 てまり @korori_temari

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