第13話 ジェシー=リカルド。
「ええ、もちろん。レッドロックスでも一番の商会ですからね。それが何か?」
「私はジェシー=リカルドよ!貴方に是非お礼がしたいの。王都から帰ったらレッドロックスのリカルド商会に来て。分かった??」
ジェシー=リカルド…リカルド商会の親族…いやまさかの孫娘か?マジかよ…しかし迂闊だな…釘は刺しておこう。
「お嬢さん、知らぬ他人に名乗る時はリカルドの名前は出さない事が賢明ですよ」
「どうして?貴方は命の恩人なのよ!」
「だとしてもリカルドの名前は出すべきではありません。リカルド商会は有名ですからね、どんな悪い事を考える輩が居るかも分かりません。少し注意する事で回避できる危険が有るならそうすべきです」
「…わ、分かったわ」
「それではジェシー、助けたのは冒険者なら当然の事です。お礼は必要ありませんよ。その気持ちだけで充分です」
「それは出来ないわ!冒険者同士なら当然かも知れませんが、商人は借りたものは返して当然ですわ!」
ほう、なるほど…中々頭の回転が早いな。流石はリカルドの血という事か。
「そうですか、それでは仕事が終わり次第リカルド商会に顔を出しましょう」
「待ってるわ!!必ず来るのよ!!」
そう言うとジェシーは馬車の方に執事っぽいおっさんと帰って行った。
う〜ん…依頼の事は明かせないし…まあ、仕方無いな。お嬢さんのワガママに少し付き合うかな。しかし、何で乗り合いの馬車に乗ってんだろう?リカルド商会の親族なら個人の馬車や護衛を付けるはずだが…。
俺がそんな風に考えているとヒュースがこちらにやって来た。
「あの嬢ちゃんに何か言われたかい?何処の貴族か知らないが少し偉そうな口調がな…」
「いや、礼を言いに来たんだ。魔獣に襲われた後なのに、しっかりしてるよ」
「へぇ~そうかい。そんな風に見えないが…意外と常識は有るのかもな」
「あの娘は依頼人か?」
「違う違う、ありゃあついでに乗せてるだけだよ。王都で声を掛けてきてな…まあ金が良かったから乗せただけさ」
「そうか、口調がアレだから依頼人かと思ったよ…まあ、肝は座ってるな」
「ああ、そいつは間違いない。ところで肉を捌いたがどうする?」
「そうか、ありがたい。早速馬車に積み込むよ」
マジックポシェットの事は言わずにおく。
それにしてもあんなお嬢さんが何でこんな無茶を…お忍びの理由は気になるが如何にも出来ないからなぁ。リカルド商会の親族ともなれば、普通なら護衛にAクラスの冒険者くらいは雇うだろうに…。まあ、この先は大丈夫だろう…盗賊も片付けてるしな。
俺は貰った肉を積み込むフリをしてマジックポシェットに詰め込む。
さて、俺のレベルとガッツのレベルが上がったので見てみようか。
【サルナス】
職業:魔獣使役(ビーストテイマー)
ランク:D
レベル:104→106
HP:468/468→476
MP:203/203→207
攻撃力:444→454(+2030)《✕1.7》
防御力:385→393(+55)《✕1.2》
回避:124→126(+32)《✕1.2》
幸運:612→622
スキル:魔獣武装(ビーストアームス)Lv3、〔ステータス統合〕、鑑定Lv3、《鱗強化》、《鬼道》、《金剛》、《疾風》、《強奪》、ウォーターボールLv3、ヒールウォーターLv8、シャドーミストLv2
装備:剛腕の腕輪、鱗の兜、鱗の具足、鱗の篭手、鱗の鎧、ハイオークのブーツ、金剛の腕輪、疾風の首輪、剛鬼刀
【ガッツ】
種族:ハイトロルメイジ(唯一種)
レベル:15→16
HP:3790/3790→4030
MP:4325/4325→4595
攻撃力:1397→1487(+300)《✕1.35》
防御力:1467→1557
回避:373→395
幸運:59→62
スキル:超再生、状態異常耐性Lv6、筋強化Lv6、ファイヤーフィストLv7、サンダーフィストLv6、アイスブロッカーLv9、角の首飾り、《オーガの怒り》
相変わらずガッツのステータスは凄いな。レベルの上がり方が半端ない。レベルは低いのに…俺と比べたくないよね…。
時間が結構掛かってしまったが、ヒュース達はオークの片付けと馬車の整備が終わったようだ。
「サルナス、もし会う事があったら是非酒でも奢らせてくれ」
「ああ、縁があったらその時にな…楽しみにしてる」
俺とヒュースは冒険者らしい挨拶をする。こうしてヒュース達と別れて俺は馬車で王都を目指す。
しかし、オークの群れが湧いた事は気になっていた。ヒュースも冒険者ギルドには報告するだろうが、俺も次の目的地レイダースの冒険者ギルドには報告しておくつもりだ。また、オークが爆発的に増えたりすると厄介だからな。
それから4日後、俺は次の目的地であるレイダースの街に到着した。
レイダースの街は王都から西側と南側に向かう拠点の街である。南と西からの交易品が集まる此処は商人達には重要な街になる。
冒険者的には護衛の依頼人が多い街になる。
この街で1泊してそのまま最終目的地の王都に向かう。その前にオークの報告をする為、レイダースの冒険者ギルドに向かった。
レイダースの冒険者ギルドは中々大き目のギルドだ。商人からの護衛依頼は他の冒険者ギルドより多い為だ。俺は受付でオークの群れの話をすると直ぐにギルドマスターの部屋に連れて行かれた。
ざっと自分の紹介をした後で、ギルマスにオークの群れの話をするとギルマスは渋い顔になった。
「なるほど…ソコソコの規模だな。ここ最近では聞いた事がない。とりあえず調査隊を至急編成する。しかし良く無事だったな」
「早くに合流出来て良かったです…何とか退散させました。オークリーダーのみの群れで助かりました」
するとギルマスはニヤリとしながらこう言った。
「まあ、そう謙遜するなよ。その背中の刀は『朱刃』だろ?そんなモン振り回す奴が『何とか退散させました』なんてレベルな訳無いさ。とりあえず情報提供感謝するぜ」
まあ、ギルドマスターの地位にいる人はこういう事も直ぐに分かってしまうのだね…。
レイダースの冒険者ギルドは至急調査隊を派遣した。レッドロックスの冒険者ギルドには連絡を入れたようだ。
モノのついでに盗賊の件も話したら、はぎ取った盗賊の持ち物の中にあったデカルトの剣が本物と認定された…結構な業物だったらしい。デカルトの名前で手配が出てた報奨金を貰えた。金貨10枚だった。あの野郎…ソコソコ有名人だったんだな…。
ダメ元で話して良かったよ。まさかの臨時収入でホクホク顔になった。
俺は1泊したあとレイダースの街を後にした。この馬車なら後4日も有れば王都に着くだろう。
それからは特に何も無くすんなりと王都に到着した。後はこの長い列に並んで滞在許可を貰うだけだ。どうやら依頼には間に合いそうだな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます