自殺志願は飽きっぽい

えびせん探偵事務所所長

自殺志願は飽きっぽい



〝噂〟というのは何処にでも蔓延る。

特に思春期で夢見がちな少年少女の集う学校という空間は噂話の温床だ。

 古来より続く学校の七不思議などがその最たるモノだろう。

〝トイレの花子さん〟〝笑う人体模型〟〝ピアノを弾くベートーベンの肖像画〟〝走る二宮金次郎像〟〝渡り廊下の人面犬〟〝血の涙を流すデッサン像〟〝映らない鏡〟〝増減する階段〟〝プールに潜む自縛霊〟〝開かずの扉〟エトセトラエトセトラ。


数えだしたらキリが無いほどこの手の話は尽きないが、しかし一つの学校に七つも怪談が揃う事は非常に珍しい事でもある。七不思議と言ってもオリジナルは精々あって二つか三つくらいのものだろう。残りは派生か何かのダブりだ。

 つまり作り話にも限度はあるという事であって。発想には起点がいる。火のない所に煙は立たない。怪談として認知されるには、その元となった事象と、それを学校全体で周知のものとする程の大きく脚色された噂の存在が必要不可欠なワケだ。


 七不思議に次いで例を挙げるなら、この高校にも怪談へと昇華される寸前の不気味な噂が存在する。


曰く、繰り返される飛び降り自殺。


窓の外をふと見ると、空から落ちてきた逆さまの男子生徒と目が合うのだとか。今から丁度一年ほど前から噂として少しずつ広まったこの学校に存在する怪談話のなり損ない。


その実態は、まあ、一人の少年が起こしたどうでもいい自作自演だったわけだけれど。この話にはもう一つの噂がある。


噂と言ったからには、当然脚色有り、妄想ドカ盛りの真実味の無い話だけれど。娯楽としてはまぁ、及第点な話だろう。



語り部は当事者である〝僕〟。

出来る限りカッコ良く、自分で広めた噂話を語っていこう。


書き出しはそうだな。


この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は、実在のものと大いに関係があります。




◇◆◇



人間。何かを続けていたら何時か必ず飽きが来る。勉強でもスポーツでもゲームでも趣味でも娯楽でも。何に対しても飽きというものはやってくるわけで、加えて僕は他人より、少し。いや、凄く。

飽きっぽい性格だっただけだ。

今ハマっている趣味もきっといずれ飽きるだろう。

出来ればコレに飽きる前に何か変化があってくれればいいんだけれど──────


─────そんな事を考えながら、僕は空を飛ぶ烏を見下ろした。目があった。何となく僕に似ているなと、何も考えていなさそうな真っ黒な瞳を見て、そう思った。



 校庭で部活に励む同級生。これまた何となく羨ましいなぁ、と思いつつも、僕は屋上のフェンスを乗り越える。

───風が気持ちいい。

数分ほど他では味わえない高所の風を楽しんだ後、僕がどのあたりに落ちようかと考えていると背後の扉が勢い良く開いた。



「ちょっと! アンタ何してんのよ!!」


誰だ、この子。少なくとも僕の知り合いには居ない。十六年生きてきて尚、空っぽな記憶を漁った僕は、背後の少女と面識が無い事を確信した。

どうやらクラスメイトではなさそうだ。


「誰だい、君は?」

「は.....? ハァ.....!? 何で憶えてないのよ! 同じクラスでしょ!?」


彼女は此方に駆け寄って来て、思い切りフェンスを叩いた。驚いた僕は一歩後ろに下がろうとして、そこから先に足場が無い事を思い出す。

────危なかった。もう少しで落ちるところだった。

この子、あと少しで自分が人殺しになっていたって、気付いてるのかな?

というか。


「同じクラス? 高校で女の子の転校生が来るなんて面白イベントは聞いてないけど?」

「去年から! 二年連続で! ずっと同じ! クラス.....よッ!!」


揺れるフェンス。揺れる身体。

このままでは落ちると悟った僕はその場に座り込んだ。次の瞬間、世界を揺らす突風が吹く。

立ったままだったら間違いなくバランスを崩して落下していただろう、力強い風。僕は危機を脱した事を確信し、やって来た少女の顔を見るため視線を上げた。


「..........」

「~~~!!!」


しかし視線を向けた先に彼女の顔は無く、代わりに限界まで捲り上がったスカートが視界に入った。


「僕は常々思うわけだよ。ラッキースケベとヒロインとの関係性について。風呂場で鍵をかけない。階段で足を滑らせる。そして、短すぎるスカート丈と、予期せぬ突風。殆どの場合に於いて、主人公サイドに落ち度は無い」


「.........................見た?」


「見たかどうかはこの際、重要じゃ無いんだ。僕が言いたいのは自分のミスを棚に上げて、さも自分に正義があるように衝動的に暴力を振るう女の子をヒロインという最重要な立場に押し込める事の残念さについてなんだ」


「.....見たのね?」


「見たよ」


「.....そ、最期に何か言い残す事はある?」


「そうだね。高校二年生にもなってプリントパンツはありえない」


「死ねッ!!!」


僕は緩んだフェンス越しに蹴りを受けて天から地へと墜落した。

落ちる寸前の彼女の〝しまった〟という顔が酷く印象的だった。男は計画的に、女は衝動で人を殺すというのは、存外間違ってないのかもしれない。

少なくとも僕を落とした彼女は、感情的で衝動的で、オマケに真っ直ぐな女の子だと、いつも通り、どうでもよく僕は思った。





◇◆◇


翌日。同じく屋上。

背後から蹴破るような音がして、僕は扉の方へと視線を向ける。


「ちょっと! なんでアンタ生きてんのよ!」


「深い問いだね。僕は小学生の頃にそれについてはめんどくさくなって考えるのを止めたよ。人生なんて長い長い暇つぶしだ」


「悟りすぎよ! .....じゃなくて、なんで屋上から落ちて無傷なのかって、聞いてるの!!」



キャンキャン煩い。僕は昔飼っていた犬を思い出す。

名前は『ゼンジロウ』 メス。

命名、僕。


───何故か僕にだけ懐かなかったんだよなぁ。不思議だ。

僕が昔を思い出し遠い目をしていると、痺れを切らした彼女が近付いて来て、フェンスを叩こうとして途中で止めた。どうやら僕を突き落としてしまった事が尾を引いているらしい。


「簡単な話だよ。この下はゴミ捨て場になっているんだ。昨日と今日は一週間の中でも比較的ゴミが多い日なんだ。回収日の前日だからね。落ちても殆ど怪我なんてしない」


「は.....? 怪我をしない? アンタ自殺しようとしてたんじゃないの!?」


「そうだよ、僕は自殺しようとしてたんだ」


「??」


分からないだろうね。

君みたいな子には僕の気持ちは一生分からない。

別に僕だって死にたいわけじゃないんだ。

ただ、生きる事に飽きてしまっただけで。


別に僕には誰かからイジメを受けているだとか、家庭内で不和があるだとか、そういった事情は一切無い。

他校にだけど友人は居るし、学校でもイジメの対象にはなっていない。

父親は帰ってくるのが遅いけど、母親とはそれなりに仲良くやっている。

何処にでもある普通の極々一般的で幸せな生活を送っていると自負している。


ただ、環境に問題が無くても僕の方には問題があった。僕を一言で表すならば、熱しやすく冷めやすい。僕の根底には極度なまでの飽きっぽいという性質が生まれた時からこびり付いている。


───すぐに色んなモノを好きになった。

───人も、物も、趣味も、学びも。

───そしてすぐに嫌いになった。


数秒で目の前の何かを好いて惚れて熱を帯びて。

気がつくとその熱が冷めて、心底どうでもよくなっている。

そんな事を繰り返しているうちに、好きになれるモノ。本気になれる事が一つもなくなってしまった。


けれどそんな僕でも、どうやらまだ死にたくはないらしい。

何一つ生きがいを見つけられない僕だけど、つまらなすぎる人生には飽きてしまったけれど、もう生きる事も止めてしまいたいけれど。

それでもどうやら、僕は死にたくないらしい。


屋上の僕が立ってるこの場所は、文字通りに、生死の境界線だ。此処から普通に落ちるか、少しでも右に重心をズラせばゴミ山に突っ込むだけの安い怪我で済む。

逆に左に重心をズラせば硬いコンクリートに墜落して、花壇でもないのに紅い花が咲き誇るだろう。


これまで何度となく落ちる直前まで、死んでもいいと思えていたけど、足を離して一秒後。

僕が左に舵を切った事は一度としてない。


死を直前にして怖じ気づいたとか、人としての防衛本能が働いているだとか、そういう事ではない。

僕はその辺りの感情が壊れているのか、自傷行為に一切の躊躇いが無い。これが僕の飽き性な質に関係しているかは分からないけれど、僕には防衛本能に類する何かが圧倒的に欠如している。


では何故死ぬ直前になってまだ生きたいと願うのか。その理由に、僕は未練のようなものを感じるのだ。やり残した事。つまり、まだ僕がやりたいと思える事がこの世界に残っているというわけで。その何かが無くなった時こそ、僕は左へと身体を傾ける事が出来るのだろう。それまではただの自殺ごっこに過ぎない。

飽き性の僕が、生きる意味を探す為の大事な自殺ごっこ。僕の最近の趣味だ。

言っても理解されないから言わないけれど。



「よくわかんないけど、アンタは死ぬ気は無いって事ね? ならこんな事止めなさいよ! アンタのせいでコッチは迷惑かかってんのよ!」


「ねぇ、君、誰かに頼まれたの?」


「は? .....アンタ絶対友達居ないでしょ。会話が全く成り立たないんだけど.....」


「で?」


「ええ、そうよ。先生から頼まれたの。誰かが屋上から飛び降りたって話が学校中で噂になってるって。それも一度や二度じゃなく、何度も─────だから風紀委員であるこの私が数日前から屋上を張って調査してたのよ!」


「.....? やっぱりよくわからないよ。何で君が調査に来てるのさ」


「だから先生に頼まれたからって」「だからそこがわからないんだよ。どうして風紀委員とはいえ一生徒である君が自殺調査なんて大仕事を一人で任されているのさ。どう考えてもそれは子供の手に負える話じゃないだろ。大人が、教師が、出てくる案件だ。生徒の命が架かってるんだから。そんな話を君一人に任せるなんて、正直正気の沙汰とは思えない。現実はよくある学園もののラノベじゃないんだぜ? リアルで生徒が権限なんて持ったらダメだし、自殺調査に学生が乗り出すなんてあっていい話じゃない。そんなのはフィクションの中だけの話だ」

「で、でも先生も困ってるって」

「だからどうしたんだよ。教師が困ってるから、生徒がそれを助ける? なんの為の教師だよ。なんの為の大人だよ。生徒に頼る教師も、大人を助けようとする子供も、オカシイとしか思えない」


生徒の自主性。自由な校風。

大いに結構。しかしこれは違うだろう。

明らかに背負わせすぎだ。


「..........今日は帰るわ」

「そっか。おつかれ」


本当に僕は熱しやすく冷めやすい。

そもそも何故、こんな事を長々と話したのだろう。気持ち悪い。

これじゃあ完全にイタイ奴だ。

高校生にもなって自殺ごっこなんてしてる時点で既にイタイのに、僕はこれ以上業を重ねるつもりか。


「死のう」


彼女が屋上の扉を閉めたのを見計らって、僕は再び飛び降りた。身体は左に傾かなかった。




◇◆◇


落ちた場所が悪かったらしく、僕は午後の授業を生ゴミ塗れで受ける事になった。

何時もは燃えるゴミの山を狙って落ちていたが、今回は残飯の上に着地してしまった。

お陰で隣の女子から文字通りゴミを見る目で見られている。クラス内に居る全員が悪臭に顔をしかめていたが、僕には何も言ってこなかった。

全員が、何も言ってこなかった。

全員が。クラスメイトに関しては仕方ないだろう。何故か僕は同じクラスの生徒に声を掛けられた事が無い。目すら合わせてくれないのだ。だからコレには違和感はなかった。


ただ、本来何かを言ってきても良さそうな人が何も言ってこなかった事に、僕は違和感を感じていた。

教師だ。休み時間に生ゴミを被り、それから放課後までに三時間。加えてホームルーム。計四人の教師と目が合ったが彼等彼女等は僕に何も言ってこなかった。

僕はそこに違和感を覚えた。生ゴミ塗れのボッチの少年。普通、何があったのかと声くらいかけて来そうなものだが。


クラスメイト同様、僕と目を合わせたがらない教師を見て、僕はなんとなく、色々と察するのだった。




この学校に通い始めて既に一年以上経っている。今までこんな事に気付かなかったなんて、僕はどれだけ視野が狭かったのだろうか。


◇◆◇


「おら! うっぜぇんだよ!!」

「毎回毎回、説教ばっか垂れやがって、テメェは何様なんだっつうの!」

「ねぇ、取り敢えず裸に剥いて写真撮らない?」



帰り道。

とても古典的なリンチの場面に遭遇した。

なんか漫画で見た事あるなぁ、と。

僕は何時ものようにどうでもよく思った。


とはいえ、生まれて初めてこういった堂々としたイジメの場面を見れた事に僕は若干の興奮を覚えていた。殴る蹴るをしている彼女達は心底楽しそうだ。

もしかしたら、あれは彼女達なりの生き甲斐なのかもしれない。

そう考えて、僕も混ぜてもらおうかな、なんて思って渦中に足を運ぼうとした時、暴力を受けている側の少女と目が合い、途中で辞めた。僕はやっぱり冷めやすかった。


殴られているのは、屋上で僕を突き落としてくれた彼女だった。

尚も暴力を受け続けている彼女は、気まずそうに僕から視線を落とした。

それを見ながら、納得する。

まぁ、そりゃイジメられるわな、と。


まだ、会ってからたった二回しか会話してないけれど、その短い遣り取りの中で彼女の性格は大体掴めていた。

あの性格だ。きっと要らない正義感とお節介を働かせたのだろう。そのしっぺ返しを受けている。

僕は簡潔に、そう結論を出した。


お節介で首を突っ込みたがる真っ直ぐな女の子。

反りが合わなければ、排斥される要素は十二分にある。

有り体に言ってウザイのだ。

お節介も、糾弾も、正義感も、正論も、真っ直ぐさも。そんなものは求められてはいない。

素晴らしい人格も、環境次第では足枷にしかならない。

僕の場合は僕自身が最低で、環境は全く悪くなかったけれど、彼女の方は今いる環境が悪かったわけだ。

ご愁傷様。


目を逸らした彼女をそのままに、僕は再び渦中へと足を運ぶ。その足音に反応して、被害者と加害者の両方の視線が僕へと集まった。

そしてそのまま彼女達に声を掛けようとして─────やっぱり辞めてそのまま其処を素通りして家へと帰った。

何か声を掛けられるとでも思っていたのか、加害者側の少女達は暫く呆然と僕を見送り、その後少しして、後ろから怒声と打撃音が聞こえて来た。

多分また、彼女を殴り始めたんだろう。

僕の事は追って来なかった。


明日も学校がある。

僕は少しだけ作業を行い眠りについた。

やりたい事が一つ出来た。



◇◆◇



数日後、僕は病院のベッドでニュースを見ていた。

なんでも僕の通う高校で自殺未遂があったらしい。


怖いね。


自殺を図った生徒は日頃から同じクラスの女子三名からイジメを受けていたらしく、通報を受けて駆け付けた救急隊員と警察によって発見された遺書によりその事が明らかになった。

他の生徒に聞き込みを行った所、その女子生徒三名は、日常的に他の生徒をイジメていた場面が目撃されていたらしく、遺書の信憑性は極めて高いらしい。また、その事実を黙認していた教師等に対する意見も──────と、そこまで見て、僕はテレビのチャンネルを消した。


うん。生き残ってしまった。

本当は今度こそ死ぬ筈だったんだけど。

これは本格的に僕がただのヘタレである可能性が浮上してきたんじゃ.....。





あの子がイジメを受けている場面を見てしまった次の日。僕は何時も通り屋上から飛翔した。

何時もと違ったのは、今回は遺書を書いていた事と、身体を左に傾けようとした事の二つだ。

そう、傾けようとはしたんだ。けど、出来なかった。僕はどうやら最後の最期でヘタレたらしい。

ただ、前日に殆どのゴミが回収されていた事から、僕は無傷とはいかず、結果こうして入院するハメになった。


因みに遺書の内容はニュースの通りだ。

僕は柄の悪い三人の女の子にイジメを受けていた。

耐えきれなくなった可哀想な僕は泣く泣く自殺を図り、結果打ち所が良かったのか、生き残ってしまった。


そういう事になっている。


実際は、あの三人にイジメを受けていたなんて事実は存在しないけど、彼女達が学校に来る事はもう二度と無いだろう。それどころか世論を見るに、僕の通う高校自体が潰れそうな勢いだった。


自殺ごっこは見逃せても、警察や救急車が必要なほどの自殺未遂はもみ消しきれないと踏んでいた。

流石に警察が介入してきたら、学校側も無関与じゃ居られない。


僕がイジメられていた事実はなくても、彼女達三人がイジメをしていた事は事実だった。

見て見ぬ振りをしていた他の生徒も自分を守る為なら、有ること無いこと話してくれる。あれほど大々的に殴る蹴るをしていたんだ、僕以外にも目撃者が居て当然だろう。

物的証拠は無くても状況証拠は作り上げられる。

よしんば証拠として認められなくてもあの三人が表を歩ける日は永遠に来ないだろう。

今の時代、情報拡散速度は有り得ないほど高い。



火の無い所に煙は立たないと言う。

だったら、誰かが他人の家に放火してやればいい。

そうすればそこから煙は立つ。

その後、何処まで炎が広がって、誰が何人焼け死ぬかなど僕の知った事ではない。




結果、イジメっ子三人は街を出て行きましたとさめでたしめでたし。



何故こんな事をしたかって?

僕は単純に死ぬ理由が欲しかったのだ。

自殺ごっこも遂には飽きてしまったし、女の子を助けて死ぬとか、カッコいいじゃないか。

それだけの理由だ。

生きる理由は見つけられなかったけど、死ぬに相応しい理由なら見つけられた。格好付けて言うならそんな感じ。


まぁ、これも何時も通り、分かってほしいとは思わない。ただ、これから先、色々な面倒事を考えると少し憂鬱な気分になってくる。




僕は気を紛らわせようと、テレビのリモコンに再び手を伸ばした。その時、病室の扉が勢いよく開いた。

横引きの扉なのに、まるで蹴破るような勢いで、その少女は入場してきた。


そういえば、僕はこの子の名前すら知らないのだった。




「ちょっと! アンタ何してんのよ!!」



ホント、何やってたんだろうね。僕は。

我ながら頭が可笑しいとしか言いようがない。

そう思いながらも、彼女の問いには答えず、代わりに僕から質問する。


正義感が強くてお節介で真っ直ぐな女の子。

少なくとも、この子と居れば、僕の飽き性が発揮される事は当分は無さそうだった。


出会った頃より、少しだけ知っている事が多いけれど、僕はあの時と同じように名前を尋ねる。



「誰だい、君は?」



                 end

























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