紫煙

粋田 椿 monger171

第1話 今日も大暴れへビースモーカー

紫煙がまわりを漂って線を描くのを彼はぼうっと見ていた。

すると、後ろから渾身の力をこめて叩かれた。

「お前は何もしてないとますます変な顔になるな」

 ついでに憎まれ口を叩かれて彼の視線は隣の男へもどった。

 彼の名は赤城マコト、大学二年生。隣は緑川飛鳥、大学三年生。

ともにヘビースモーカー、ここは喫煙所という小さな建物、煙草を吸うたびに二人は会って、次第にここ以外でも普通に会うようになった、そんな関係。

ずっとこのままだと思っていた。

「いやあ、そうですよ・・・ってちょっと!!」

 お決まりの返しをするとそっぽを向いていた顔が彼のほうを向き、楽しそうに微笑んだ。

 飛鳥という人はふとした表情が絵になる人だとマコトは思った。

「これから授業ですが、飛鳥さんは?」

「しばらくうろついて、たぶんまたここにいる。」

「じゃあ、ここに戻ってきます。」

 そういって後ろを振り返ると背中を思い切り叩かれた。

「お前なんか勉強したところで手遅れなんだよ!!」

 飛鳥は笑ってそういうと授業教室に行く人ごみの中に消えていった。

 その姿を見ながらマコトはぼそりと呟いた。

「暴力ふらなきゃいい先輩なのに・・・」


 



 


 

 

 

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