紫煙
粋田 椿 monger171
第1話 今日も大暴れへビースモーカー
紫煙がまわりを漂って線を描くのを彼はぼうっと見ていた。
すると、後ろから渾身の力をこめて叩かれた。
「お前は何もしてないとますます変な顔になるな」
ついでに憎まれ口を叩かれて彼の視線は隣の男へもどった。
彼の名は赤城マコト、大学二年生。隣は緑川飛鳥、大学三年生。
ともにヘビースモーカー、ここは喫煙所という小さな建物、煙草を吸うたびに二人は会って、次第にここ以外でも普通に会うようになった、そんな関係。
ずっとこのままだと思っていた。
「いやあ、そうですよ・・・ってちょっと!!」
お決まりの返しをするとそっぽを向いていた顔が彼のほうを向き、楽しそうに微笑んだ。
飛鳥という人はふとした表情が絵になる人だとマコトは思った。
「これから授業ですが、飛鳥さんは?」
「しばらくうろついて、たぶんまたここにいる。」
「じゃあ、ここに戻ってきます。」
そういって後ろを振り返ると背中を思い切り叩かれた。
「お前なんか勉強したところで手遅れなんだよ!!」
飛鳥は笑ってそういうと授業教室に行く人ごみの中に消えていった。
その姿を見ながらマコトはぼそりと呟いた。
「暴力ふらなきゃいい先輩なのに・・・」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます