魔法の手
幼い頃、お腹が痛くなると、父や母がそっとお腹に手を置いてくれた。すると不思議と痛みが収まってくるのだ。幼い頃の私は、父と母の手は魔法の手だと思っていた。
「私もいつか魔法が使えるようになるんだろうか?」と…。
そんな私も母になった。ところが、長男である饅頭太郎は、お腹が強く、今まで「お腹が痛い」と言った事がない。検証不能。
下の子、おかめ花子が2歳の時「母ちゃん、お腹痛い」と…。その時はやってきた。いざ!花子のお腹に手を置く。不思議な感覚だった。
魔法が使えるとは、とても思えない。
「花子のお腹大丈夫かな?」
「痛いの良くなると良いな」
「母ちゃんのエネルギーが伝わりますように!!」
そんな少しの不安と祈りを、てのひらに込めた。しばらくして「母ちゃん、良くなってきた。ありがとう」と花子。
なんと!!私にも魔法使える日がやってきたのだ!!
魔法…それはきっと、両親の手のぬくもりと安心感。私も安心感を与えられる手になったのが、なんだか嬉しい。
私の両親も「大丈夫かな?」「良くなるといいな」と願いながら幼き頃の私のお腹に手を当ててくれていたんだなと気付く。それもなんだか嬉しい。
いつか、太郎や花子も今は小さいこの手を自分の子供達のお腹に当てる日が来るのだろうか。そんな、魔法が受け継がれる日を想像しながら今晩も私は花子のお腹にそっと手をおく。
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