第18話 NEXTプロローグ

 しかし言われた後輩は、


「?? なんですか、アドバイスならもっと分かりやすく――」


 と、分かっていないようだった。


 先輩は自分の失敗を踏まえた上で、そういうアドバイスをしたらしい。


 確かに先輩と尼園の違いは、幸運と不幸以外にも、対極と言えるほどそれだろう。


 どっちもどっちでどっちが正しいとも間違っているとも言えない。

 どっちにしても傷つく者はいる。

 そういう自覚をしておかなければならない。


 だって尼園はアイドルで、小中先輩は天才なのだから。




 やがて、休憩時間が終わる。




 トイレから戻ってきた鳴滝先輩、立花。


 備え付けの紅茶を淹れてゆっくりしていた木下と小中先輩が、カップの片付けを終え、


 テーブルの真ん中のお菓子に夢中だった茜川とそれに付き合わされていた高科。


 そして、尼園に腕を掴まれたままの俺が、教室に再び集まる。



 複数のカメラが起動し、学園内のモニターが俺たちを映し出しただろう。


「おい、尼園、腕……」

「あたしと友達になったらこういうことも普通にやりますよって呼びかけるのは?」


「そんな下心満載で近寄られても嫌だろ……」


 その内、お前は自分の体を売りそうで不安なんだが……。


「どーせまた失敗しますよ。昔だって自分の体を売ろうとしたら、

 いつもの不幸体質のせいで他の美人が売れちゃって、

 あたしが売れ残っちゃったんですから。あの女がいなければ、

 すぐにあたしのところに大金が転がり込んでいたはずなのに……っ!」


 だからそれは、どちらかと言うと幸運なんだよ……。


 逆にお前は、ラッキー体質なんじゃないかと思い始めてきたんだが。



 ともあれ、だ。




 後半戦が、始まる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る