バレンタインと、ホワイトデーのボイスについて
『ホワイトデーにWデート配信、ありがとうございます! 【CRE8】箱推し勢兼CP厨としては、すごく嬉しいです! バレンタイン、ホワイトデーの思い出とは少し違うかもしれないんですが、皆さんのボイス、全部買わせていただきました! 良ければ脚本を書いたり、収録の際に意識したこととかを教えてください!』
「……というマシュマロをいただきました。ボイスのご購入、ありがとうございま~す!!」
「ちょっと恥ずかしいですね。お芝居の技術とか、自分は全然だってわかってますし……」
【芽衣ちゃんのバレンタインボイス、かわいかったよ!! 自信持って!!】
【俺は勝手にくるるんに話してると思ってニヤニヤしながら尊死してた】
【最近はASMRとか始めたし、芽衣ちゃんもステップアップしてるよ! 自分が思ってるより、ずっといいボイスだったよ!】
「リスナーのみんなもこう言ってるし、俺もいいボイスだったと思うよ。うん、かわいかった」
「えへへ……ありがとう、枢くん。みんなも、褒めてくれてありがとうございます」
【くるるんに褒められて嬉しそうな芽衣ちゃん、いい……!】
【くるめいヌッッ!!】
【↑某限界アイドルと比べると狂気が足りない。それはそれとしてくるめいてぇてぇ】
ごく最近購入したバレンタイン、ホワイトデーのボイスに関するマシュマロを取り上げつつ、甘い雰囲気を作る枢と芽衣。
リスナーたちがこういう日に相応しい雰囲気を余すことなく堪能する中、オリオンが口を開く。
「ちょうどここに脚本を担当した人間もいるし、二つのグループに分かれて話そうか。まずは僕たち脚本組が、台本を書く時に考えたことを話すってことで」
「そうですね。ホワイトデーの脚本はオリオンさんに任せましたし、芽衣ちゃんもバレンタインボイスは左右田先輩に任せたんでしょ?」
「うん。すごく素敵な台本、書いてもらっちゃった」
「そう言ってもらえて嬉しいにゃ~!! じゃあ、オリオンが言ったように、あたしたちから話をしていきましょうかね!!」
自分たちだけでなく、枢と芽衣のボイス台本を担当したオリオンと紗理奈がいるということで、自然と二グループに分かれての感想会という形になったようだ。
レディーファースト、といった形で、トップバッターを譲られた紗理奈が自分と芽衣の台本に関しての話をし始める。
「あたしの場合はね~、結構手堅くいったね。そもそも冒険する必要が一切なかったからさ」
「芽衣ちゃんのバレンタインボイスは聞いたんですけど、左右田先輩のボイスはどんなシチュにしたんですか?」
「あ~! 枢くん、あたしのボイス聞いてくれなかったんだ~!! うわ~、傷付くわ~……」
「いや、同僚の彼女さんとイチャイチャするようなボイスを聞きたくなかったっていうか、オリオンさんに怒られるような気がして……」
「枢くん? 君も結構僕を燃やそうとしてるよね? この件で怒るよ?」
「ふふふっ! 私は聞かせてもらいましたよ。デートに行くシチュエーションでしたよね?」
「そうそう! 定番中の定番、バレンタインデート! からのチョコを渡すっていう、ベタベタな展開だね!」
【俺も買ったぞ! サソリナらしい、明るい感じだった!】
【甘さよりも明るさが勝ってたかな? でも、らしさ全開で良かったと思う!】
【オリオンとこんなデートしてるんやなって……】
【さっきのマシュマロじゃないけど、もっとねっちょりしたのがくると思ってたからちょっと意外だったかも】
自分で書いた自身のボイスに関してのあれこれを話していく紗理奈。
流れるコメントを確認しつつ、その中から一つをピックアップして話を続ける。
「ねっちょり系っていうか、えっちなのも考えたんだよね。うちの事務所でそれが許されそうなのって、あたしか乙女ちゃんくらいのものじゃん?」
「清川先輩は、う~ん……許されそうだけど、なんかバレンタインっぽくない内容になりそうっすね……」
「じゃあ、どうしてそういう系じゃなくて、明るいデートのシチュエーションにしたんですか?」
「最初に言った通り、冒険する必要性を感じなかったからかな~。これまたちょっと前の話に戻るけど、裸リボンになって、プレゼントはあ♥た♥し♥ っていうネタもやりたくないわけじゃなかったんだけどさ、これをやる場合ってドエロいシチュかギャグっぽい雰囲気になるんだよね」
「確かにそうだね。前者はライン越えが怖いし、後者の場合は本採用したデートのシチュエーションと雰囲気はそう変わらないってわけか」
「そゆこと、そゆこと! あとはまあ、ちょっとメタいけどアウトドア系のシチュが似合うのが少なかったからっていうのもあるかな」
「羊坂さんもそうだったし僕が担当した同期の二人もそうだけど、【CRE8】の皆さんの性格を考えるとインドアでのシチュエーションが多くなっちゃうもんね。どこかで違う雰囲気に変えないと、色々被っちゃうってのはわかるな」
「やっぱり色々考えてるんですね。すごいなぁ……」
【わかる。すごい(小並感)】
【サソリナ、今回は結構なメンバーの台本書いてたみたいだからな。こういう部分にも気を遣わなきゃならないのか】
【こうやって話を聞くと面白くてエロいだけの女じゃないんだってことがよくわかる】
「あと、これが一番大きな理由なんだけど――」
各人の属性だったり、使いたいネタを採用した場合の雰囲気だったり、そういった部分に気を遣いながら幾つもの台本を仕上げた紗理奈に対して、共演者、リスナーたちから感服の声が上がる。
そんな中、自身のボイス台本をねっちょり系にしなかった最大の理由があると述べた彼女は、一度言葉を区切った後でこう続けた。
「やっぱりねぇ……彼氏が同じ事務所にいる身でありながら、他の男にそういうえっちなことをするのは良くないかな~って……!」
「……ねえ。ねえ? 君、本当に何を言ってるの?」
「だって事実なんだもん!! 本当に一番大きな理由がそこだったから、それを話しただけじゃん!!」
「本当に燃えるよ!? 君も僕も枢くんたちも大炎上するよ!? そういうことを軽々しく言わないでくれって!! だから【CRE8】のヤってる方のカップルとか言われるんだよ!? わかってる!?」
「え? 事実ヤってるじゃん。何言ってるのさ、オリオンは~!」
「よし! 次いこう! 羊坂さんのボイスについての話をしよう!!」
【くるめいはガチだがオリサソは爛れてる】
【ガチで付き合っててヤってる感があるけど、そうじゃない可能性もあるからわからん……】
【オリオン、デビュー当時はめちゃめちゃ優しくて大人なお兄さんって感じだったけど、今ではすっかりいじられキャラだな】
やっぱりとんでもない爆弾発言をした紗理奈に振り回され、頭を抱えるオリオン。
そんな彼のことをリスナーたちが不憫に思いながらも楽しく見守る中、話は芽衣のボイスに関するものへと移っていった。
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