男性目線の、ユニコーンについて
「あ~……まあ、そうっすね。どっちかっていうと被害を受けそうなのはオリオンさんの方かもしれないですし、簡単に話をしましょうか」
別に必要ない気もしますけど、と加えつつ、マナに応える枢。
今の話もどちらかといえば、ユニコーン対策というより厄介ファンに対する心構えのようなものだしなと考えながら、話をしていく。
「めんどくせえことに、ユニコーンってのは自分の推しに関わる男のことを必要以上に敵視するもんで……ぶっちゃけ、無視以外の対策はないんですよね。そういう奴がアンチになることも往々にしてあり得るんで、そこもめんどくせえところっすね」
「あはは、怖いなぁ。あんまりそういう感じにはなってほしくないけれど、今は枢くんが信用を稼いでくれた分、後輩の僕の信頼度が高めで助かってるよ」
「枢くんはよく燃えますけど、問題は起こしてないですからね。安心安全の男性Vtuberとして認知されてるっていうか、デビュー当時の燃え方はなんだったんだろうって言われるレベルに信用されてますから」
【それはそう。くるるんのお陰でオリオンの信頼度も結構高くなってる気がする】
【まあ、オリオン自身もなんだかんだで信用できるタイプの人間っぽいから気にしてないよ】
【そうじゃなきゃ女性タレントばかりの事務所に所属なんてさせられないしね】
オリオンの前世が知れ渡っている現状、彼が前の事務所でも良き先輩として真面目に活動していたことはVtuberファンならばわかっている。
【CRE8】の男性Vtuberとして枢がファンから信頼されるような活動をしていたことも大きいが、それを抜きにしてもオリオン自身も普通に信頼されている今となっては、単純に彼が嫌いな人間以外は特に文句を言うこともないように思えた。
「でもまあ、そんな枢くんですらクソマロとかでユニコーンからのお気持ち表明を受けたりするわけだからね。完全に被害を失くすことは難しいってことか」
「女性に対するセクハラじゃあないですけど、男性には殺害予告とかも来るって聞きますし……そういうのは大丈夫なんですか?」
「う~ん……大丈夫といえば大丈夫ですかね? そういうメッセージも来るには来ますけど、明らかに一線を超えてるのは事務所に対応してもらえばいいですし、そもそも本当に行動するような輩はまずいないんで」
「結局はそういうことですね。基本はブロックや無視で対応して、ライン越えした方には事務所からの法的措置をプレゼントがベストと。う~ん、やっぱり大変です。これという特別な対策がないというのが厄介ですね」
「あとは他のVtuberさんともちゃんと話ができるようになっておくことも大事かな……コラボ相手のところに自分のファンが突撃したりすることもあるし、そういう事件が起きた時に注意喚起できるように詳しく話を聞かせてもらえるようになっておきたいよね」
【マジでタメになる。ファン側としてもやっちゃいけないこととかを知れていい】
【でも、ここまで炎上に巻き込まれてるくるるんたちですら完璧な対策を見いだせてないって部分にちょっと絶望感じるよな】
【しょうがねえよ、相手も人間なんだからさ。一対一のコミュニケーションですら完璧な対応なんて千差万別なんだし、話したこともない上に顔も見えない相手を納得させるなんて不可能だよ、不可能】
結局のところ、厄介な連中に対しては無視の一手しかないという事実はそれなりに悲しいものだが、それがベストでもあるというのは逆に救いかもしれない。
これから本格的に訪れるであろう、面倒なファンたちとの戦いを想像して身震いした三期生たちであったが、とても簡単に気を取り直したマナがこんなことを言い始めた。
「男女のコラボとかユニコーンとかの話をしていて思い出したのですが、それに関するマシュマロもそこそこ届いていましたね。折角の機会ですし、これも出しちゃいましょう」
「……大丈夫かな? マナさんが選んだマシュマロって時点でもう不安なんだけど……」
この自由奔放な新人が選んだマシュマロというのがどんなものなのか? マナのこれまでの言動を振り返ると不安で不安で仕方がない。
しかも男女の関係というデリケートな話題に触れるとあってはその不安も加速するわけで……と色々な面に関して枢たちが心配する中、マナは自分が選んだ男女関係(?)に関係するマロを順番に画面へと表示し始める。
「それじゃあまずはこれからいきましょう。主に男性陣が答える羽目になると思いますので、頑張ってください」
「……それってつまり、俺たちの負担が半端ないってことっすよね?」
「小さいことは気にすんな、の精神でお願いします。というわけでマシュマロを食らえ~」
【オリオンへ 特に深い意味はないんですが、蠍と犬ならどっちが飼いたいですか?】
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