三期生、お互いの第一印象は?

「はいはいはい、第一印象ね! 俺たちも聞かれたなぁ……!!」


「メグさんも仰ってましたけど、こういうのは定番ですからね。私たちも興味ありますし、聞かせていただけると嬉しいです」


 お互いの第一印象という無難だが定番の質問を出したメグを援護するようにコメントする枢と芽衣。

 リスナーたちも三期生の答えに興味を示す中、マナがオリオンへと言う。


「ではオリオンさん、早速お答えください。どうぞ~」


「あっ、僕からなんだね? っていうか、さっきから色々押し付けられ過ぎてない?」


「そこは男らしく悩まずにお願いします。細かいことは気にしない~」


 「とりあえずビールで」くらいの気軽な感覚で自分にパスを投げてくるマナに苦笑するオリオン。

 別に嫌ではないし、こういうのは自分が先陣を切った方が話しやすいだろうしなと思いながら、彼は先の質問に対する答えを述べていく。


「二人への第一印象……マナさんは、不思議な子だな~って思ったよ。独特の感性を持ってて、色々と読めない。かと思えばこちらを気遣ってくれたりするし、色んな意味で面白い子だと思ったね」


「へいへ~い。流石はオリオンさん、よく観察してますね。それで、メグちゃんの方はどう思いましたか?」


「メグさんは……これから一緒にマナさんに振り回される仲間になるんだろうなと思った。変な意味じゃなくって、苦労人気質というかそういう雰囲気が感じられたからさ。常識人枠っていえばいいのかな? とりあえず、そんな感じ」


【わかる。同類の臭いがしたんだな】

【そんなオリオンもメグちゃんを振り回してたりする模様】

【まあ第一印象がそのまま現在の関係になってることから察するに、オリオンの人を見る目は確か】


「なるほど、そんな感じですか。メグちゃんのおっぱいに目が行かなかったのは意外でしたね」


「マナちゃん、その発言はかなり危ないと思うよ……?」


「大丈夫です。燃えるのは私でもオリオンさんでもなく、蛇道先輩ですので」


「何も大丈夫じゃねえんだよなぁ……」


 とまあ、そんなふうに全く関係ない場面で流れ弾を食らった枢がぼやく中、今度はオリオンがマナへと質問する。


「それで? かく言うマナさんは僕たちにどんな第一印象を抱いたわけ?」


「そうですね。まあ、姉妹なので物心つく前から顔を合わせてるメグちゃんに関しては第一印象もなにもないのですが……敢えて言うなら、いいお姉ちゃんだと思います。こんなお姉ちゃんがいて、私は幸せです」


「私も同じだよ。色々迷惑かけちゃうし、むしろマナちゃんに尻拭いしてもらっちゃうことも多い、こんなダメなお姉ちゃんを助けてくれる妹がいてくれて、本当に良かったって思ってるから」


「わお、相思相愛ですね。これは姉妹の禁断の愛が始まってしまうかもしれません」


【マナメグか……ありだな!】

【獣人姉妹の百合……いける!】

【しゃぼんがアップを始めました】


「それもそれでそこそこ危険ではあるけど、ハウンド姉妹がお互いを大切に想い合ってることがわかってよかったです」


「仲良しさんだね、二人とも!」


 あまり多くは語らないながらも、その言葉と声からハウンド姉妹のお互いへの信頼を感じ取った枢と芽衣がそれぞれ抱いた感想を述べる。

 真逆のタイプの二人ではあるが、それがお互いの仲を深めるいいピースになっていることを感じ取った枢は頷きながら、改めて二人へと問いかけた。


「で、なんですけど……マナさんとメグさんがお互いをどう思ってるかは良しとして、オリオンさんへの第一印象を教えていただけますか?」


「ああ、はい、そうですね。このままだとオリオンさんがハブられて可哀想……オリオンさんだけ、ハブられる? うっ、何か蘇ってはいけない記憶が頭の中に……!!」


「マナちゃん! さっきから発言がどうして危ない方向に行くの!? 本当にそれは危ないから! また燃えるから!!」


【嫌な事件だったね……】

【ま、まあ、こうしてネタにできるようになって良かったってことで……】

【これもう火薬庫が火種背負って歩いてるみたいなもんだよな……】


 さっきからギリギリ(アウト)のラインを攻め続けているマナの発言に顔を青くしたり、焦らせたりする一同。

 リスナーたちも若干引き気味になりながらもブラックジョークとして彼女の発言を受け取る中、マナとメグの姉妹がオリオンへの第一印象について語ろうとしたのだが……?


「第一印象、オリオンさんへの、第一印象……」


「う、う~ん……?」


「……あのさ、もしかしてなんだけど、何もないとかってことはないよね? 僕ってそんなに影が薄い人間なの?」


「あ、いや、そんなことはないんですけど……なんだか言ったら傷付けてしまいそうで……」


【安心してメグちゃん。もうその時点で傷付いてる】

【言いにくい感じだったのかぁ……】

【オリオン、何やらかしたんだ?】


 どうにも二人のオリオンへの第一印象は、あまり堂々と口にできるものではないようだ。

 コメントでも言われていた通り、彼がこの時点で若干のダメージを負う中、詳しく説明しなかったばかりに波乱が生まれるよりかはマシだろうといった感じでマナが己が抱いたオリオンへの第一印象を口にする。


「私のオリオンさんへの第一印象ですが……ロボットみたいでしたね。すごくいい人だとは思ったんですけど、ちょっと怖かったです」


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