短編・三期生のマシュマロ配信!

三期生(とゲスト)のマシュマロ配信、開始!

「三期生がマシュマロをもぐもぐする配信、はっじまるよ~!」


【わんわんお~! 待ってたぞ~!】

【なんかゆっくりしていってね! って台詞が聞こえてくるな】

【俺はRTAの方を思い浮かべた】


 あんまり抑揚のない、どこかしているお饅頭たちを思い浮かべてしまう話し方で配信の始まりを告げるマナ。

 文字で見ると結構陽気なのに、どうして実際に聞くとこんなにシュールなのだろうかと思いながら、彼女の同期二人もそこに加わって挨拶をしていく。


「わんわんお~。【CRE8】三期生、新人Vtuberのマナ・ハウンドです」


「同じく三期生のメグ・ハウンドで~す」


「はい。三期生、二人のお目付け役のオリオン・ベテルギウスです。挨拶がスムーズに進んで助かるよ」


「ここで手間取るわけにはいかねえ! なにせこの後、大物が控えてるんだからな……! って感じですね」


「あはは。今日も絶好調だね、マナちゃん」


 挨拶もそこそこにいつも通りのやり取りを繰り広げる三期生たち。

 どこか混沌さが垣間見えるその会話を中断しながら、オリオンが(わかり切ってはいるが)本日の配信の内容についてリスナーたちへと説明していく。


「本日は、三期生初のマシュマロ配信をやっていきたいと思います。事前に募集したマシュマロをみんなで楽しみながら、ファンのみんなからの質問に答えていきますね」


「こ、こういうお便りコーナーみたいなの、面白そうですけど緊張しちゃいますね。ちゃんとできるかな……?」


「大丈夫ですよ、メグちゃん。こういう配信はバンバン届けられてるクソみたいなお便りに反応することになる、マシュマロ配信とは名ばかりのリアクション大喜利みたいな配信になるものですから」


「それは私もわかってはいるけど、堂々と言うのはどうかと思うよ……?」


【う~ん、言い方はあれだけど大正解!】

【まあほら、そこは避けられない運命だし……】

【十のマシュマロがあれば、最低でも三はクソマロになるってばっちゃが言ってた。人によっては十割クソマロになったりするけどな】


「ほら、リスナーさんたちの反応を見る限り、この人たちもクソマロが送られてきてるって信じて疑ってないみたいですよ。そもそもこの中にはクソマロを送った人もいるでしょうしね。なんとまあ罪深い人たちでしょう。最高裁で裁いてもらうべきです」


「まあまあ。そんなこともあろうかと、今日はマシュマロ配信のプロにお越しいただいてるんだから安心していこうよ」


「そうでした、そうでした。今日は頼り甲斐のある助っ人が来ているんでした。というわけで早速お呼びしましょう。クソマロ捌きのプロである私たちの先輩、蛇道枢さんと、その奥さんの羊坂芽衣先輩です。ぱちぱちぱち~!」


「その紹介には異議しかねえんだよな~……っていうか、これがまた燃える原因になるとしか思えないんですが?」


「あ、あはははは……こんばんめ~、です。今日は枢くん共々、三期生の配信にお邪魔させていただきますね」


【わ~い! くるるんと芽衣ちゃんだ~! くるめいだ~!】

【今日もくるるんとクソマロの戦いが見れるのか。嬉しいな】

【見える、見えるぞ……! 最終的に三期生のマシュマロ配信とは名ばかりのくるるんがクソマロを消費する配信になる未来が見える……!!】


 ファンたちの間でも【CRE8】の中でマシュマロといえば、というふうな印象を持たれている枢の登場にリスナーたちが大いに盛り上がる。

 おまけ的なポジションの芽衣もCP厨からすれば枢とセットで登場してくれたことは大歓喜であり、配信はゲストの登場で更に湧き立っていった。


「今回は私たち女性陣は美味しいマシュマロを食べつつ、男性陣が臭い立つクソマロを処分していくというスタイルでやっていきます。犬は臭いに敏感だからね、仕方ないね」


「あ、僕もそっち側なんだ……」


「俺は間違いなくマナさんはクソマロが多く届いている側の人間だと思いますよ」


「残念。私は人間ではなく獣人です」


「クソマロが届いてる側だってことは否定しないんだね、マナちゃん……」


【早くもカオスな空気になってきたwww】

【自分がクソマロ処理要員だっていう自覚はあるのかwww】

【これもうくるるんとわんわんおだけで配信やった方がいいんじゃないか?】


 五人という人数に相応しいわちゃわちゃ具合を見せる配信は、リスナーたちの笑いを大いに誘っているようだ。

 このままでは本題のマシュマロ紹介に入ることができないと考えた芽衣が手を叩くと、一同を代表して話を始める。


「挨拶も終わったし、私たちだけのおしゃべりはここまでにして……マシュマロの紹介に移ろうか? みんなも面白そうなマロに目星は付けてるんでしょ?」


「ええ、まあ。しかし、どんな順番でどのマロを出すべきなのかがいまいちわかっていないのが問題です。やはり順番は大事……!」


「ふふふっ! そういう部分も枢くんが丁寧に教えてくれるから、しっかり勉強していこうね」


「なるほど……! これで君も安心! クソマロ捌き検定対策もバッチリ! おいでよ、蛇道枢塾! ってことですね」


「人を変な塾の代表にするのは止めてもらっていいですか?」


 どこまでもフリーダムなマナに翻弄されつつ、ツッコミ役を担う枢がげんなりと彼女へと言う。

 そんなこんなで始まった配信の中、まずは定番の質問からといった形でメグが最適解のようなマシュマロを画面に表示してみせた。


「あ、じゃあ、まずはこれから……無難ですけど、話の始まりとしてはぴったりだと思うので……」


【三期生の三人に質問です。それぞれの初めて会ったときの第一印象について教えてください!】

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