おまけのエピローグと、あとがき

「マジで、ひどい目に遭った……どうして新年早々炎上しなくちゃいけねえんだよ、本当にもう……!」


 そんなこんなで天を折檻した後、ふらふらの状態で自宅に帰ってきた零はベッドに倒れ込みながら愚痴をこぼす。

 天のせいで散々な年明けになってしまったと毒づきながら、未だに通知が止まる気配がなさそうな自身のスマートフォンを見つめた彼が顔をしかめたところで、一通のメールが届いた。


「ああ……? 『新年最速! 今年のあなたの運勢をチェック!』だぁ……? おせえよ、既に凶が確定してるっつーの」


 よくあるインターネットおみくじのメールだと思いながら、通知を消すためにそれを開く零。

 短い読み込みの後に表示されたおみくじの内容を何の気なしに読んだ彼は、最初の一文を目にすると苦々し気な表情を浮かべる。


『運勢……吉。ただし火に注意すべし』


「だからおせえんだっつーの! あ~、マジで腹立つわ~! もう寝よ! 寝て忘れよう!」


 ぽいっとスマートフォンを放り投げ、枕に顔を埋める零。

 散々な年始に追い打ちをかけるようなおみくじの内容に苛立ちを隠せない彼は、そのまま初日の出まで仮眠を取るのであった。





『あなたの今年の運勢! 詳しい内容!!』


『願望……きっと叶う。手助けと邪魔を同時にする者が現れるので注意』


「れりごー、新天地。まだ見ぬ世界で何が私を待っているのでしょう? それはそれとしてお腹が減りました。一人暮らしで自炊ができるか心配です」


 暗い部屋の中で光るスマートフォンを手にした少女は、抑揚のない声でそう言った。


『商売……面倒見の良さが幸運を呼び込む。ただし不幸も呼び込むので、度量を見せること』


「ででででで、デビューの告知、ででででで、出ちゃったぁ……! いやもう何日も前から出てるけど、だだだ、大丈夫かな、私……?」


 数日前に行われた【CRE8】ビッグ3の3Dライブ配信のアーカイブを見ながら、落ち着かない様子で右往左往する女性が、どもりながらそんなふうに不安を吐露した。


『待人……来たる』


 そして……日が昇る前の夜空を見上げ、そこに浮かぶ星々を瞳に映す男性が、誰にも聞こえないような声で呟く。


「……行こうか。そろそろ、約束を果たす時だ」


 彼らが手にしているスマートフォン、そこに映し出されているのは夢の切符。

 それぞれが思い描く未来に進むための道へと踏み出すために、三人の男女はバーチャルという新世界へと足を踏み入れる。


 何を思い、何を夢見て、何を成すために彼らはこの世界に飛び込んだのか?

 零が、多くの人々が、それを知るのはこれより一月ほど後の話だ。


 仔犬、大犬、そして狩人。夢を描く大三角形が星図に加わる日は、もう間近。

 【CRE8】三期生……新たな輝きを放つ星々が夜空を彩るまで、あとわずか……!




――――――――――


ここまで『Vtuberってめんどくせえ!』を読んでくださり、本当にありがとうございます!

第六部、年末年始ってめんどくせえ! ……無事に閉幕です!


今回はいつもと違って大きな事件もなく、楽しく配信をしていくだけという異色(むしろ他の小説はこれが普通)の章になりましたが、如何だったでしょうか?

物足りないと思われてしまうかもしれませんが、たまにはこんなのもいいんじゃないかな~……と(笑)


一気に先輩を出したり、一年の振り返りをしたり、クリスマスパーティーをやったりとしていたら、微妙にずれてはいますが時期が重なってしまいました。

そろそろめんどくせえ! を書き始めて二年。去年は書籍化も無事に果たせましたし、本当に長いこと書き続けているものです。(二巻も出せるよう頑張ってます!)


今回も最後まで読んで、応援してくださる皆さんには本当に感謝しています。

ブックマークも☆も執筆の励みになっております。本当にありがとうございます。


ここからまた短編を書いて、そこから第七部の『後輩ってめんどくせえ!』に突入していく予定です。

との再会が待ち遠しいでしょうが、もう少し展開を練り練りしたいので開始までもう少々待っていてくださいね。


少し遅い年始の挨拶ではございますが、今年も烏丸英をめんどくせえ!をはじめとした各小説をよろしくお願いいたします。

ここからも楽しんでくださいね! 以上、あとがきのようなものでした!


PS.現在進行形で近況ノートにて、マシュマロ(クソマロ)を募集しております!

もう少しだけ募集期間を作っておきますので、この機会に枢にマロを送り(ぶん投げ)たい方は奮ってご応募ください!

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