　大方の予想を裏切らない優勝チームの発表。だが、リスナーたちは惜しみない拍手と賞賛のコメントを【Milky Way】の面々に送ってくれている。

　大会を盛り上げ、ゲームの楽しさを思う存分堪能させてくれた参加者たちの頂点に立った3人を誰もが祝福する中、その雰囲気が少し落ち着いたタイミングを見計らって実況がリーダーである陽彩を配信に呼び寄せた。

『では、優勝チームのリーダーである魚住しずく選手にインタビューをさせていただきます。魚住選手、よろしいでしょうか？』

『は、はいっ！　大丈夫れしゅっ！　あ、噛んじゃった……！』

　おなじみの緊張による噛みを披露しつつ、本配信に声を乗せる陽彩。

　かわいいというコメントが乱舞する中、彼女は質問に答えつつ、自分の想いをリスナーたちへと語っていく。

『魚住選手、優勝おめでとうございます。今のお気持ちをお聞かせください』

『上手く言葉にできないんですけど、凄く嬉しいです。沢山の配信者さん、ストリーマーさんが全力で臨んで、それを応援する人たちが盛り上げてくれた大きな大会で優勝できたことを誇らしく思っています』

『大会に参加するのは初めてでしたし、プレッシャーもあったと思います。その中で一緒に戦ってくれたチームメイトには、どんなことを思っていますか？』

『2人には心の底から感謝しています。1か月前は話したこともない間柄だったのに、ボクの我がままに付き合ってくれて……どんなに感謝しても足りません。この3人で良かった、2人と友達になれてよかったと、そう思っています』

　大会の参加者たち、応援してくれたファンたち、盛り上げてくれたリスナーたち、そしてチームメイトである零と有栖へと感謝を伝えながら、優勝したという実感を強く噛み締める陽彩。

　1つ1つの質問に緊張しながらも一生懸命に答えた彼女は、こんな言葉でインタビューを締め括った。

『楽しかったです、本当に。この大会を通じて、臆病だったボクも一回り成長できたと思います。こんな風に沢山の人たちと繋がり合って、感動を分かち合えるゲームの素晴らしさをこれからももっと伝えていきたい。Vtuberさんだけじゃなくて、他の配信者さんやファンのみんなと協力して、どんどんゲームで繋がる人の輪を大きくしていけるよう頑張ります！　【ペガサスゲーミング】の皆さん、実況、解説のお2人も、最高の大会を運営してくれてありがとうございました！』

『……こちらこそ、最高のゲームと素晴らしいコメントをありがとうございます。改めまして、チーム【Milky Way】の皆さん、優勝おめでとうございます。優勝したチームだけでなく、この大会に参加してくださった全てのプレイヤーの皆さんに、我々からも感謝を伝えさせていただきます』

『手に汗握る興奮と心に響く感動！　そして終わった後に結ばれる確かな絆！　これこそがゲームの醍醐味ですよね!!　いや～、実況やっててよかった～っ!!』

　陽彩のコメントにに小さな笑みを浮かべた解説と、そこから感動を表すかのようなオーバーリアクションをした実況の言葉を以て、全てのプログラムは終了した。

　こうして、数々の波乱に見舞われながらも参加者たちが熱い勝負を繰り広げた【ペガサスカップ】は終わりを迎え、それを惜しむコメントが流れる中で配信の映像が切れる。

　接戦、熱戦、大激戦の果てに優勝を掴み取った陽彩たちと、負けこそしたものの準備期間を含めて自分たちを楽しませてくれた全ての参加チームを賞賛しながら、リスナーたちは未だ冷める気配のない興奮を胸に、様々な場所で大会の感想を熱く語り合うのであった。