ss Happy Newyear

「「明けましておめでとうございます!」」


「happy newyearっ!結く〜ん、咲夜ちゃ〜んお姉ちゃんサンタだよ〜」

「お兄ちゃんお義姉ちゃん、あけおめっ!」


「サンタはクリスマスだよ、姉さん・・・・・・」

「明けましておめでとうございます、お義姉さん、美月ちゃん」


今日は1月1日、正月だ。星間戦争が終わった今も、もちろん新年を祝うという文化は残っており、今日は世界中の人々がこの休日を楽しんでいた。

僕たちも、藁科の本家へとやって来ていた。中には既に、懐かしい仲間や友人達が大集合しており、かなり賑やかな雰囲気を醸し出していた。


父さんや母さんの誘いで今年も家族で小さなパーティーをしようという事になったのだが、いつの間にか話がどんどん大きくなり色々な人達を巻き込んだ諸々の今年もよろしくパーティーをする事になった。


そして、今日はこの子達のお披露目会でもある。


「何度見ても可愛い〜〜」


「でしょ?もーほんと超可愛いよね。」


居間へとやって来た僕たちは、今現在進行形で抱き抱えている我が子を見せつけるように畳の上へと座った。


男の子の方が明日人、女の子の方は依夜という名前で、この双子は約半年前、僕たちのもとに産まれて来てくれた僕たちの宝物だ。名前の由来として、結人の『人』と咲夜の『夜』が使われている。

二人ともとても可愛く、最近の僕たちの暮らしはこの子たち中心に回っていると言っても過言じゃない状況であった。


「目元周りとか結君にそっくりじゃん。」


「いやいや、魔力の感じの方がお兄ちゃんそっくりでしょ。」


「確かに、魔力の感じはかなり僕に似ているかな。まだ覚醒していないから何とも言えない部分はあるけど、魔力の質はかなり良いよ。」


「私と結人さんの子供なら、きっと素晴らしい魔法師になれますよ。」


「お兄ちゃんとお義姉ちゃんの血を引いているってだけでチート級だけどね。」


「ははは、確かに。」


戦後、茜と美月は2人ともジルトレアを引退したが、今も『ツクヨミ社』の看板として、世界で活躍していた。

シェアはまだあまり高くないが、圧倒的な品質を常に提供する事を売りに、魔法具の製作を頑張っている。

ちなみに、恋人はできていない。


「遅いぞ〜結人〜」

「あけおめ、咲夜」


「ごめんごめん、年末は色々と忙しくて・・・・・・」

「明けましておめでとうございます、聖奈さん」


アイドル業を引退し、女優一本に絞って今も活躍中の聖奈と、星間戦争は終わったものの、今も日本防衛軍所属の魔法師として第一線で活躍している樹は、昔と変わらない様子で答えた。

最近は、家族以外の元夜明けの光メンバーとの交流が激減し、あんなに一緒であった樹でさえ、最後に直接会ったのは半年ぐらい前だったと思う。


「子育ては順調そうだな、結人」


「うん、凄く楽しいよ。悩みと言っても、この子達が可愛すぎて目が離せない事ぐらいしか無いし。」


「ふふふ、結人さんったら最近はずっと眺めていますよね。まぁ気持ちはわかりますし、私も同じ状況ですが・・・・・・」


現在結人と咲夜は、小さな田舎町で何にも縛られずにゆったりとした生活を送っていた。

日本貿易軍を完全に引退し、世界魔法協会となったジルトレアともかつての仲間や友人と年に数回会うだけで、ほとんど接点が無くなり、表舞台から姿を消そうとしていた。

これまでに貯め込んだ莫大な資産は生活費を除くほぼ全てを茜の経営する『ツクヨミ社』の活動資金としていた。

余ったお金で家を買い、そこで暮らしていた。


「ちゃんと親バカになっているようだな。」


「いやいや、親バカは良い事だよ?」


「ははは、何というか、想像通りだわ。」


「何それ褒めてるの?」


「あぁ、褒めてる褒めてる。」


お互いの心境報告をしつつ、笑い合っていると、いつの間にか僕が抱えていた依夜と咲夜が抱えていた明日人は、大人達の間で挨拶周りをさせられていた。


「流石結人様と咲夜様の御子息と御息女だ、俺たちよりも魔力量が多いぞ。」

「おいおい嘘だろ?まだ生後6ヶ月の赤ちゃん、だよな・・・・・・」

「これは将来楽しみだな。」


「皆様、正月からお越しになられて大丈夫だったのですか?」


「御安心下さい、咲夜様。妻や家族には、きちんと許可を取っております。」

「私も同じでございます。」

「自分もです。」


驚く事に、正月の1月1日だというのに、元夜明けの光メンバーの大半が集まった。

メンバーの家族も多数参加しており、流石に部屋は別であるが、それぞれ楽しんでいた。

彼らの多くは、現在茜が経営するツクヨミ社に所属しており、家族と言っても差し支えがないほど親しくなっていた。

また、僕も咲夜もメンバー達に対して、本名と素顔を見せている。流石に、リエスやヘレナの事は秘密にしているが、藁科家がどういう家なのかは何となくバレているはずだ。

ちなみに、リエスとヘレナは僕の家で留守番をしている。良い子で待っていてくれていると信じたい・・・・・・


「相変わらず元気そうね、結人、咲夜」


「あけおめ、レネ」

「明けましておめでとうございます、レネ」


「ええ、明けましておめでとう2人とも。」


普段は、家族と一緒に元旦を過ごす彼女だが、今日は久しぶりに家族揃って日本で正月を迎えるらしく、レネの両親は先ほどから隣の部屋で僕と咲夜の両親と騒いでいる。

ちなみに、レネは現在アメリカの魔法学校の先生をしているらしい。

戦争が終わった今も、魔法師の需要はどんどん増え続けており、これからの将来を担う優秀な魔法師を育てているらしい。

ジルトレアにも名を残しており、今もヘルプがあれば様々な所に飛んでいって活躍している。


「さっき明日人君と依夜ちゃんを2人とも抱いてみたけど、凄い子達だったわね。あれでまだ生後6ヶ月というのが信じられないわ。もちろん、あなた達が育てるのよね。」


「うん、僕が付きっきりで魔法を教える予定だよ。まだどの系統が強いのかはわかっていないけど、空間魔法と藁科の魔法をしっかりとね。」

「私も、神楽流の剣術を全て教えるつもりです。この子達には、強く賢く育ってほしいですから。」

「私も〜時間魔法教えるつもりだよ〜」


「あなたたちが教えたらなら、きっと凄い魔法使いになるわね。それこそ、結人や咲夜と同じぐらい・・・・・・」


レネは、何かを諦めたような顔をしながら、天を仰いだ。

どこかおかしな点でもあったのだろうか。

僕や咲夜が明日人と依夜に魔法を教えるのは普通の事だし、それで僕や咲夜と同じレベルの魔法師が誕生する事は何も不思議な事はない。

うん、きっと別の何かを心配したのだろう。


「まぁだとしても、今年も良い一年になるといいね。」


「ええ、良い一年になるといいわね。」


「はい、良い一年にしましょう。」


「「「おぉ〜」」」


______________________________

明けましておめでとうございますっ!

そして、今年も宜しくお願いしますっ!

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