おまけ ss



ついに、新作に星の数を抜かされてしまいました泣


個人的には、こっちの方が好きです。

こちらの方も応援お願いします!


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目の前には、たくさんの報道陣が並んだ。

同業者のみんなや会社の社長さん、マネージャーさんなど、多くの人に反対されたが、私は私の道を進むと振り切った。

かつて、何万人もの観客の前に立った事もある私だが、今のこの状況の方が何倍も緊張した。

報道陣に紛れて、端っこの方に彼の心配そうな顔が見えた。大丈夫、もう私は覚悟を決めたんだ。


定刻になり、司会の人の合図を見た私は、口を開いた。


「本日は、私の引退会見に出席いただき、ありがとうございます。」


私の発言は色々な機器を通して全世界に生配信されているだろう。

だが、止まるつもりは全くない。


「私、星戸アリサは、アイドル業を完全に引退いたします。」


私は堂々と、たくさんの記者達に向かってそう宣言した。



✳︎



「私、引退する事にするわ。」


「はっ!まじ?どうしたんだよいきなり。」


樹と聖奈が、いつものように秘密のお家デートをしていると、聖奈が突然そんな事をいった。

樹は、飲んでいたコーラを思わず吹き出す。


「私は考えたのよ。ちょっと最近揉めているけどもう戦争は終わったし、恋人もできたし、アイドル続けるより樹と遊びたいなって。」


「はぁー?それで、あんなに頑張ってきたアイドルを辞めんのか?」


樹は、聖奈の頑張りを知っていた。

誰よりも一生懸命練習し、誰よりもアイドルに情熱を注いでいた事を。


「あ、芸能界を完全に去るって事じゃないわよ。アイドルとしての星戸アリサは引退して、女優の道一本に絞ろうと思うの。」


アイドルは、魔法師なんて比じゃないほど忙しい。

確かに魔法師は命をかける仕事だし、その大変さは誰もが知っている。

だが、アイドルの忙しさほどじゃない。

歌や踊りだけでなく、色々な仕事があるのだ。


「まぁ否定はしない。お前のその表情を見れば、お前がどれだけ悩んで決めた事かわかるし、応援もしてあげたいと思う。覚悟を決めているなら、応援するよ。」


「樹・・・・・・」


否定されると思っていた。アイドルを続けるべきだって言われると思っていた。

でも彼は、すぐに受け入れてくれた。

彼を選んで、よかった。


「マネージャーさんとかには相談したのか?」


「うん、会社としては残って欲しいけど、これだけ頑張ったんだから苦しいなら減らしてもいいよって。」


「そっか、発表したら日本中が大騒ぎになるかもな。」


そう言いながら、樹は想像する。

きっと、とんでもない騒ぎになる事間違いなし。

もしかしたら、俺の存在を勘付く厄介なファンもいるだろう。

でも、聖奈となら何とかなるかもしれない。


「あ、そうだ。ついでに結婚会見もしちゃう?」


「アホかっ!まだ早いわっ!」


「え〜結人君達はもう結婚したのに?」


先ほどまでの、思い詰めたような表情から一転、叶わない事はわかっていても、もしかしたらという僅かな希望が私の発言を加速させる。


「あのバカ夫婦と一緒にするな。アレは例外中の例外だ。少子高齢化対策で結婚年齢が16歳に引き下げられたからって16で結婚するかっ!」


「何歳になったならいいの?」


私は、少し真剣な表情で樹に聞いた。


「20・・・・・・いや、18。」


「え、18歳になったら結婚してくれるの?」


「あ、あぁ。だから大人しく待っとけ。」


「う、うん♪」



✳︎



そして当日。


「そして、私はアイドル活動引退と同時に、ある男性と婚約致しました。」


「それは本当ですかっ!」

「お相手は・・・・・・」

「どなたとですか?」


「秘密です。」


聖奈の口から飛び出した爆弾発言に、記者達は盛り上がりながらフラッシュを焚いた。

聖奈は、少し顔を赤らめながら答える。


会場は、引退会見から一転、婚約会見に変わっていた。


俺は、これから先に起こるであろう面倒事に頭を抱えつつ、後でどう仕返しをしてやろうか考えた。


そんな俺の困り顔を見て、盛大にニヤけている聖奈の表情は、翌日の一面を飾った。

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