エピローグ③

「あ〜暇だ。軍隊なんかやめときゃよかったわ〜」


〔まだ言っているの?自分で選んだから文句言わないの〕


戦争が終わっても、樹だけは日本防衛軍に残る選択をした。

藁科夫婦をはじめとする多くの魔法師が引退を決意したため、今の日本防衛軍の戦力はだいぶ低くなっていた。

代わりに、日本魔法協会という組織が作られ、現在日本国内のほぼ全ての魔法師が登録される事となった。ちなみに、戦争で活躍したイギリスのクリスティア以外の全てのS級魔法師に関してはジルトレア所属という形となった。各国がS級魔法師を抱えると、それが軍事利用される事を恐れたからだ。

だが、樹は防衛軍に残る道を選んだのだ。色々と理由はあるが、1番の理由は下心だったりする。


「仕方ないだろ?俺だって無職にはなりたくないんだよ。金はあるが、やっぱり無職だとカッコ悪いだろ?」


〔そこは愛する妻のためって言えばかっこいいのに〕


「ま、まぁ確かに、国民的女優の夫が無職ってのはカッコがつかないという理由もあるけどな・・・・・・」


〔ふふふ、お仕事頑張ってね、パパさん♡〕



✳︎



「やばい・・・婚期が・・・・・・」


「も〜美月ちゃんったら、甥姪ができたのにまだ相手がいないの?」


「茜お姉ちゃんもでしょ!」


「あはは〜私はもういいかな〜って〜」


「・・・・・・はぁ」


藁科姉妹はそれぞれ今のところ相手がおらず、2人で仲良く暮らしていた。


対戦の後、藁科姉妹は軍を辞めて無職になった元『夜明けの光』メンバーを集めて会社を作った。

最初は、傭兵団でも作ろうかなと考えていた茜であったが、せっかく優秀な魔法師や技術者を戦闘員にするのはもったいないと考え、魔法具を作る『ツクヨミ』という会社を設立した。ちなみに、財源は結人の懐である。


世界最高レベル技術力を持ったこの会社は短期間で大いに発展した。

だが・・・・・・


「お兄ちゃん結婚してくれないかな〜」


「頑張れ〜私は無理だと思うけどね〜」



✳︎



2052年ー藁科家本家


「ママ〜」

「パパ〜」


畳敷きの一室に、双子の可愛い赤ちゃんが並べられた。男の子と女の子の双子で、それぞれ白い髪が生えていた。


「やばい、可愛すぎる。」


「ふふふ、明日人あすと衣夜いよもとても可愛いですね。」


1歳になったばかりだが、赤ちゃんとは思えないほどの魔力を持ち、2人とも意味のある単語を発せられるようになってきた。

2人の赤ちゃんは今、この夫婦にとって自分の命よりも大切な宝物となっていた。


「よし!決めた!この2人を僕を超える魔法師に育てる!」


「私たちの子供ならきっと強くて優しい子になると思いますよ。」


「まずは龍との契約からだね。」


「そうですね、私が精霊魔法を教えようとも思ったのですが、2人とも精霊魔法は使えないみたいなので、藁科の魔法を2人に覚えさせましょう!」


精霊使いになるのか、龍使いになるのか楽しみにしていた2人であったが、結人の子供にはもちろん龍が宿る事になる、とリエスが言っていた。


ちなみに、藁科の血が流れていれば、龍の因子が勝手に渡されると思っていたが、リエスによるとどうやら魔力が扱えるようになるまで龍の因子を受け取る事はできないらしい。

だから、2人に触っても問題ない。


「このぷにぷに感がたまらないんだよな〜永遠に触っていられる気がする。」


「子供達を甘やかすのはけっこうですが、ママの事も構って下さいね、パパさん。」


「わかってるよ。」


ふいに、手を握られたので握り返す。


「僕、これからどうしようかな・・・・・・」


「ふふふ、一緒にやるべき事を見つけていきましょう。まずは子育てから、ですよ。」


「そうする。まずは、子供を育てる事から始める。」



この世界に偶然は無い、あるのは必然だけだ




fin


thank you for reading and have a good day





________________________________


明日、あとがきを投稿します。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る