#7 出撃⑦

短めです。

今までのまとめのような感じになっています。



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化物、怪物、魔物、モンスター

色々な呼び方があったが、ジルトレアが『未確認生命体ーUnknow Creature』と呼んだことによって統一された。


最初は、大した脅威とは思われていなかった。

戦闘機、潜水艦、航空母艦、イージス艦そして核ミサイル、負ける要因はどこにもないと思われていた。以前とは比べ物にならないほど強化された最強一撃に耐えられるものなどいないと考えられていた。

実際、最初は順調だった。放射能による水質汚染が危惧されたため核ミサイルこそ使われなかったが、アメリカを代表とする人類軍は圧倒的な物量で南緯70度のラインを守っていた。南アメリカ大陸の最南端、ホーン岬に本部が置かれ攻撃が止まることを信じて一生懸命に戦った。

最初に転機が訪れたのは開戦から1年ほど経ったある日のことだった。まだ、人類が魔力の存在に気が付いていない時代である。今の基準でいうところの災害級UCが3体同時に現れ、オーストラリア大陸目指して進撃して来た。米軍による空爆と艦砲射撃、大陸間弾道ミサイルに耐え、ついに上陸を許してしまう。

当然、現地にいる国防軍は奮戦したが、ミサイルすら耐える災害級UCに耐えられるはずもなく散っていった。


当時の映像は今でも残っている。荒れ狂い、逃げ惑う人々、それをまるで蟻のように踏み潰すUCたち。

それは地獄絵図だった。飛んでいく旅客機や航空機も上空で空を飛べるUCに多数落とされた。

この頃、死傷者数は1000万人を上回った。


そして、次なる悲劇は南アメリカ大陸である。ホーン岬にあった人類防衛本部は災害級UCに対してなすすべ無く崩落した。

当時まだUCに対する危機感が低かった南アメリカ大陸の人々のほとんどが避難をしておらず、犠牲となった。

この被害を受け、アフリカ大陸に避難命令が出された。だが、実際に移動したのは20%程度だったという、そしてまもなくアフリカ大陸を失う事となる。


2004年8月27日、ついにこの日人類は未確認生命体に対抗するためにある組織を立ち上げる。

言わずと知れた『ジルトレア』だ。彼らの功績は限りなく大きい。

破滅級UCの討伐及び大陸の奪還は果たせなかったものの、人類を一つにまとめ上げ、UC達と互角に渡り合った。


彼らのもたらした功績は大きい、まず一つ目は『魔法』の発見と普及である。

初代序列一位、キリア=メスタニアによってもたらされた魔法は人類に希望を与えた。すぐに各国は魔法の研究に励み、多い所では国家予算の約半分を魔法の研究に注ぎ込んだ。


二つ目は、『核ミサイル』の廃絶である。

魔法によって核の無効化が可能である事が証明されると、核ミサイルの研究は一気に終わりを見せた。

代わりに、地震や噴火の少ない地域での原子力発電所が多数作られ、エネルギー問題が解決された。


三つ目は、UCの研究である。

各国の協力のもと行われた研究で様々な事がわかった。一番大きいのは彼らの目的である。当初人類を滅ぼすためにやってきたと考えられたUCだが、その目的は移住である事が判明した。

種類によっても異なるが、人間を襲わなかったのである。ただ、大きな魔力に反応する事もわかった。

魔力を何らかの方法で感知すると、それを何らかの方法で排除しようとする。また、自分よりも大きな魔力に対しては逃げる事もわかった。

つまり、彼らとしては人間というものは捕食対象ではなく土地の奪い合いの相手という事だ。

ただ、だとしたら彼らは何によってこの地球へやって来ざるを得なくなったのか、またどこからやって来るのかについては謎のままであった。


次の悲劇は2019年である。

当時『ジルトレア』はUCに対して4段階の区分を設定していた。下から下級、上級、超級、災害級である。これは魔法師のランクであるC級、B級、A級、S級に対応していた。それぞれの級の単独で倒せた場合に魔法師としての級位が与えられた。

そんな中現れた、災害級を軽く超える魔力を持った化け物。当時誰もが期待をしていた『キリア=メスタニア』が敗北すると、南アジアは陥落した。

アジア全域を放棄するという案も出されたが、破滅級UCがその場から動く素振りを見せなかったため、刺激を与えず放置する事となった。

ちなみにこの破滅級UCは後日、キリア=メスタニアを殺し、結人に殺される。



そして、時は流れ2049年。

インドが壊滅し、大都市を含むほぼ全ての都市がUCによる被害を受けたというあまり良くない出来事を経て、人類による『反撃』が始まった。

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