#6 出撃⑥
ニューオリンズ時間
12月3日9時00分
旧チリ首都ーサンティアゴ上空396km
「全降下部隊に通達します。これより、『スカイ・バースト』の第2作戦を開始します。各員、準備をお願いします。」
いつもの白い狐の面に手を当てて全員に降下準備を通達する。
壁の1枚向こう側には宇宙が広がっている。
何度か練習はしたが、緊張はまだある。ふとした時に浮かび上がる自らの死のイメージ。
でも、もう迷わない。感情をできるだけ殺し、一つの事に専念する。
「『ゼロ・ノート』<魔力障壁>」
髪を真っ白に添えあげると新たに対降下用の魔力障壁を囲んた。
ツクヨミからの降下組8人も、それぞれを魔力障壁でかこう。当初は、降下用の小型ポッドを用いて降りる予定であったが、降下中に飛行可能なUCに攻撃される恐れがあるという事で急遽変更となった。
結人は、全員分の魔法を研究、開発して降下の指導を行った。それぞれ自らを特性の魔力障壁で囲いながら落下する事になった。
「さて、行きますか。」
「「「了解!」」」
【姉さん、ハッチ開けて】
【分かったよー】
側面にあるハッチが開く。待機室の空気が全て外へと飛び出し、気圧計が一気に下がる。
2歩3歩踏み出し、真っ逆さまに落下した。
「第1段階<龍召喚ー聖星龍>」
巨大な魔法陣から自身の龍剣を取り出すと、自身の標的へと目を向ける。
【では皆さん、お気をつけて】
他の8人の降下部隊が、サンティアゴへと向かう中、結人だけは別の方向へと加速魔法を発動しながら大気圏を飛行する。
断熱圧縮によって熱を帯びながら一気に加速する。目的は1つ、最初の一撃で大きなアドバテージをとる事だ。
誰に対してかって?
そんなもの決まっている、ヤツだ。
相変わらず無駄にデカイな・・・
この前戦ったやつよりも少しだけ魔力が多い気がする。
だいたい140億ぐらいだろうか、僕の全力がだいたい2500万と考えればいかに多いかが分かる。
巨大な赤いワームのような見た目だが、間違いないこいつが破滅級だ。アンデス山脈の東側にある湖にやつはいた。
体長はざっと5kmほどあるだろう。恐ろしいほどの魔力を肌で感じる。
こいつには出し惜しみなんてしない、最初から全力で行く。
結人は高速飛行しながら、全身を魔力で漲らせると、3つ目の扉を開ける。
「
龍と契約を交わした者のみが持つ特殊な魔力回路が高速で回転しているのを感じる。オーバーヒート寸前、その膨大な魔力をある1点に集める。
それは目。
自信の目を万物を見透す龍の目へと変化させる。
「
〈ゼロ・ノート〉状態の結人でやっと見えるほど隠蔽魔法を重ねがけした狐の面をまるで何事もなかったかのように透き通る。
いや、むしろそれ以上見えているかもしれない。仮面の内側なため見えないが、結人の目は鮮やかな黄色に光っていた。
いつもの白い純白オーラに加えて、黒い漆黒のオーラが混ざり合う。
魔力の一つ一つの流れを全て感じる。
もはや、右も左もない。全ては一方通行に進む。
破滅級UCが結人に気づく前に至近距離へと潜り込む。己の龍剣を右手に持って掲げると、
「吹き飛べ!」
正面から振り下ろす。
バァジィィィィーーン
破滅級UCが意識か無意識か、常時展開している魔力障壁とぶつかる。
硬いーーとんでもなく硬い。
だが、砕けない程じゃない。
「<加速魔法><加速魔法> <加速魔法><加速魔法> <加速魔法><加速魔法> <加速魔法><加速魔法> <加速魔法><加速魔法> <加速魔法><加速魔法> <加速魔法><加速魔法>!!!」
後方に魔法陣を14個顕現させる。この壁を突破するのに必要な最低限の魔法だ。
パリッ・・・・・・・・・パリパリパリ・・・・・・
小さな小さなヒビが生まれそれがどんどん広がっていく。そして、ついに・・・
バリンッ!!!
一部だが、魔力障壁が剥がれた。赤い胴体がむき出しになる。ワームなのに棘があり、この世界の生物でないことが窺える。
だが、そんな事はどうでもいい。今求められているのは、奴の討伐のみ、それ以外余計な事は考えない。
小さな隙間だが、隙間は隙間。結人は一点集中で、攻撃を繰り出すのだった。
✳︎
同時刻
咲夜、美月、グランを先頭に総勢250機の戦闘機と爆撃機が空を飛ぶ。
こうして見ると、とても頼もしいが、この爆撃機は単なる飾りに過ぎない。。この爆撃機の力ではどう頑張っても災害級UCを倒す事はできない。それどこか超級UCにすら負けてしまうかもしれない。
数は多いがそれだけだ。
直掩機代わりの魔法師も数人ついている。
だが、A級魔法師など、今から戦う相手に対しては邪魔もいいところだ。
咲夜は予定通り指示を飛ばす。
【私たちはこのまま南へ向かい、敵UC叩きます。皆さんは第一目標であるブラジリアの奪還を目指して下さい!】
咲夜が開発した新たな通信魔法をメンバー全員に告げる。ちなみに全部英語だ。
航空機部隊の隊長は、空砲を数発鳴らして感謝を告げると二手に分かれていった。
「予定では、最初の一撃をゼラストさんが与えるとのことでしたので、とりあえず注意だけでも引きつけましょう。」
「刺激しない方がいいんじゃないのか?」
不思議に思ったグランは疑問の声をあげる。当然の疑問だ。相手が並のUCであれば正解かもしれない。だが、相手はあの破滅級UCである。当然、対応も変わる。
「相手が相手ですのですぐにゼラストさんとフォローに回れるようにしたいんです。腕の一本や二本であれば美月さんの魔法てを治せますが、粉々にされてしまったら流石の美月さんでも不可能です。」
「なるほどな。わかった、あんたに従う。」
常に最悪を想定して動く。
そう心に決めた瞬間、南米の空から聖なる星が降ってきた。
____________________
どうでもいい話。
私は基本的にPC投稿ですが、最近はスマホで投稿しています。
見分け方は簡単、タイトルの番号と文字の間が半角か全角かです。
半角ならスマホ
全角ならPCとなっています。
つまり今回はPCです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます