#0 プロローグ

「結人・・・お前さえ良かったら『どっちか』と婚約しないか?」


ある日、結人は真人に藁科家の本家にある和室に呼ばれた。

結人は父親である真人の前で正座をしていた。


「はい、そのようにお願いします・・・」


「そうか・・・じゃあどっちにするんだ?」


「ところでお父様、『婚約』とはどのようなものなのでしょうか・・・」


結人は真人の頼みや願いを一度たりとも拒否したことがなかった。

断り方がわからなかったのだ・・・


「はぁ~お前というやつは・・・・・・簡単に説明すればだな、結婚相手を決めないか?という提案だ。いいか?これは提案だ。お前の将来に関わる事だ、無論断っても構わない。って言ってもどうせ受けるんだろ~が・・・・・・」


真人は、最愛の妹を失い心に大きな傷を作ってしまった結人の心の穴を埋めようと考えていた。

そこで、最近ずっと一緒にいる少女のどちらかを心の拠り所にしようと考えたのだ。

候補として挙げられたのは、2人の少女。


母親譲りの美しい白銀の髪に、水色の瞳をもつハーフの少女、嘉神咲夜。

そして、美しい真っ青の髪色に、真っ黒の目を持つハーフの少女、レネ=ストライク。


ともに古くから魔法を使う事のできる家系で、結人と仲がよい2人だった。

真人はどちらかを選ばせようとした。


「将来一緒にいるならどっちがいい?結人」


「二人ともというのはダメなのでしょうか・・・・・・」


「あぁ、もちろんだめだ。日本の法律では奥さんは一人だけと決まっているからな。」


「そうですか・・・」


「じっくりと考えるといい。俺も向こうの親バカどもと話してくるわ。」


「わかりました、お父様。お爺様とも相談して参ります。」





後日、真人は幼馴染かつ親友でもある2人を自宅に読んだ。

もちろん、呼んだといのは、咲夜の父親である『優夜』とレネの父親である『ロラン』。


「来たな親バカども。」


「呼んだのはお前だろ?真人。」

「それにしてもとんでもない事をしてくれたな、真人。」


「それで?どうだったんだ?」


真人がそれと無く尋ねた瞬間、2人は号泣した。


「聞いてくれよ、真人。うちの可愛い可愛い咲夜が・・・今すぐに婚約を結ばないと俺の事を嫌いになるって・・・」

「聞いてくれよ、真人。うちの可愛い可愛いレネが・・・今すぐに婚約を結ばないと家出して藁科家に住むって・・・」


「いや知るか!お前らの教育方針が悪いんだろ?」


「「助けてくれよ~、真人~」」


「しゃ~ね~な~今さら後戻りはできない、平穏に終わらせる方法を考えようぜ?」


「「あぁ・・・」」


それから、3人の男たちは語り合った。

そして、2時間に及ぶ話し合いが始まった。





そして、6年前の今日、決行の日である8月23日になった。

また、今日はレネが実家であるアメリカに帰る日であった。


それぞれのアピールタイムが終わり、ついにその時がやって来た。

最後の最後、レネは自ら婚約者候補から辞退した。



「私は、辞退するよ、咲夜・・・」


「レネ・・・本当にいいの?・・・」

「レネ・・・」


「うん・・・私より、二人の方がお似合いです・・・じゃあね、結人、咲夜」


レネは泣いていた、結人と咲夜も泣いていた。

親達は何もいう事ができず、静かに見守っていた。


「じゃあね、二人とも・・・元気でね・・・」


レネはそれだけ告げると走り去っていった。

結人と咲夜は、レネを追えなかった・・・



その日のうちに結人と咲夜の婚約が行われた。

両方の親がそのように仕向けたため、すぐに決まった。

それから、2人の新婚生活が始まった。


次に3人が再会するのは、『S級魔法師会議』だった。





現代

摩天楼ー70階

結人と咲夜の部屋


「ね~結人~私に乗り換えない?」

「ちょダメですよ!結人さんは私のものです!」


「お兄ちゃん、この方達は・・・」


ソファーの右隣に咲夜、左隣にレネ、そして正面のソファーに美月。

完全なハーレム状態である。

唯一の救いは、今は茜がいない点、いたらもっとややこしい事になっていたはずだ。


「えっと~とりあえず紹介するよ。こちら、僕の妹の藁科美月、まぁこうして話すのは9年ぶりだけど・・・」


「どうも、藁科美月です。えっと~本名は藁科なのですが、今は長島美月って名乗っています。改名するかは迷い中です。」


「えっと~こっちは嘉神咲夜、僕の婚約者です。」


「初めまして、藁科咲夜です。あなたのお兄さんよりお話は聞いています。結人と結婚するのであなたの義理の姉になりますね。それと、一応S級魔法師です、よろしくお願いします。」


「ちょっと違うかもしれないけど、まぁいいや。それでこっちは幼馴染のレネ=ストライク。」


「初めまして、結人の妻の藁科レネです。私もあなたのお兄さんから話は聞いた事があります。私もS級魔法師です。よろしく、美月ちゃん。」


「えっと~違うからね?勘違いしないでね、美月」


「とりあえず理解しました。さて、お兄ちゃん、ゆっくりとお話しましょうか。」


「は、はい・・・」



________________________________________


ハーレム展開にはしませんと約束したはずが・・・


アレ?




当初の予定では、このまま美月の力で過去に飛んで地獄の門を消し飛ばす予定でしたが、もっと面白い展開が浮かんで来たので変更します!

(更新が遅れた言い訳)

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