第三章 時の女神とサマータイム
#0 プロローグ
藁科家ー本家
畳の上に多くの人が並ぶ。
その者たちは藁科家と同じ古参家の当主及び次期当主。
その中には若き日の咲夜の姿もあった。
咲夜は父親に連れられて藁科家の本家にやってきていた。
久しぶりにあの箱庭出たので今日は気分がいい。
周りを見渡しても知り合いは家族を除いて一人もいない。
それでもここを出られたというだけで心が休まった。
「おい、聞いたか?次期当主が変更になるそうだ。」
「聞くも何もそのために今日俺たち古参家の人間が呼ばれたんだろ?」
「やっぱり無能は変わるんだな。」
「まぁあいつは無能だからな。」
「次期当主様は男性らしいな。」
「どんなお方なのかな。」
「当主様に似て美形なお方だろう。」
「奥方に似て可愛らしいお方かもしれませんよ。」
集まった人々はそれぞれ世間話をする。今何よりも注目されているのはもちろん次期当主についてだ。日本に5つある古参家の頂点に君臨するの藁科家だ。つまりここに集まった者たちの頂点となるお方だ。
まだ会った事すらない未来の主君ついて様々な憶測が飛び交う。
「皆さま、御当主様がお越しになりました。」
途端に皆が静かになる。あんなにうるさかった会場だったが今は誰一人として喋らずに皆頭を下げていた。
やがて襖がゆっくりと開き5人の男女が入って来た。
それぞれとてつもないオーラを放っているが中でも最後の1人は異様だった。
狐の面を付けており、彼から感じる独特な魔力は今まで感じてことなどないものだった。そして、そのお方こそが次期当主様であると全員が感じ取った。
咲夜はこの一ヶ月ぶりに感じた魔力によって次期当主様が誰であるのかを悟った。彼と会ったのはこれで2回目だ。
彼はこちらに気がつくと軽く今度は会釈をしてくれていた。
以前は目の前にいても全く関心を持たれなかったのに、反応があった事に少し驚きつつも会釈をして返した。
そして、前当主である藁科 隆元による紹介が行われた。
「今日皆を集めたのはほかでもない。次期当主を紹介する、ある事情によって彼の存在は秘匿とされてきていたが頃合いだろう・・・・・・紹介をしよう、我が孫だ。」
「・・・」
結人は一歩前に出ると会釈をした。
顔は狐の面で隠れており、声は一切発していないがただならぬ存在感を放っている。
「突然の変更で驚いたかもしれんが、この者の実力は、この私が保障する。断言しよう彼は我が藁科家の最高傑作だ。そして藁科の空間魔法<絶界>の発動時間はわずか0.05秒と歴代でも群を抜いておる。」
「な、何と・・・」
「そんなに早く。」
「あの歴代最強と謳われた当主様ですら0.5秒もかかるというのに・・・。」
「そういうことだ。この決定に異論がある者はいるか?」
「「「・・・」」」
「無いようだな、ならばこれで決定とする。」
*
翌日、祖父に連れられて結人は本家にある特別な部屋ー”龍の間”にやってきていた。
「どうだ、結人君。この家にはなれたか。」
「はい、だいぶ楽にさせて頂いています。」
「そうか・・・お主があんな事を言い出した時はいかがなものかと思ったが、これはこれで良かったのかもしれぬ。」
「はい、お姉様には恩がありますので。私が代わりになれるのであれば・・・」
「意思は固いようだな・・・よし、いいだろう。お主を時期当主として正式に認める。」
「ありがとうございます。では、」
結人はゆっくりと目を閉じると龍を呼び出した。
「第一段階<龍召喚ー聖星龍>」
5つの魔法陣を形成し、中から5色5本の顕現させる。
とてつもない魔力を纏わせた龍剣たちはとても美しかった。
「相変わらず、美しいなお主の龍は。それと本来1体しか契約できないはずの龍と5体も契約しているなんて・・・。我が息子、真人の暗黒龍にも驚いたがお主はそれ以上じゃ。」
「ありがとうございます。」
「大変な事がこれから多くなると思うが、頼んだぞ、結人。」
「はい・・・」
同時に5体の龍と契約した人類の限界を超えた唯一の存在。
これが結人が世界最強である理由の一つだった。
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本当にすみません・・・(笑)。
これからもよろしくお願いします!
もしよかったら星を下さい!!!
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