#24 終結①


ツクヨミに帰還した結人は真っ先に咲夜の部屋へと向かった。

咲夜の部屋に入ると彼女はベットの上に座っていたため、隣に座る。

最後にこの部屋に入ったのは入学する前だろうかこの部屋に入るのも久しぶりだ。

ツクヨミは搭乗者数が少ないため全員に個人の部屋が与えられている。

この部屋は咲夜専用個室で結人は隣部屋を使っている。当初は結人と同じ部屋を希望していたが今は落ち着いていた。


「改めてお疲れ様です、さっどうぞ。」


咲夜は自分の膝をポンポンと叩く。

結人は身体を横にし、彼女の膝の上に寝転んだ。


「どうでしたか?結人さん、人型UCは。」


「う~ん簡単に言うとおかしなヤツだったよ。最初は僕もUCの変異種なのかなって思ったんだけどね。あのUCが使った魔法、そしてあのオーラ、ほんの少しだけどUCとは違う気がする。だから恐らくだけど人間に似た生物なんだと思う。UCにしては知能レベルが高すぎる、それに文化のようなものも感じられたんだよ。」


「そうですか、だとしたらUC異世界からの侵略者説が有力になるんですかね。」


「僕もそう思う。ただ50年経ってなんで今急に?とは思ったけどね。」


「そうですね。それより結人さん!私も、災害級UCを一人で討伐したんですよ。」


咲夜は話題を変え、ご褒美を要求する。


「よく頑張ったね、咲夜。」


「えへへ~」


結人は要望に答え、頭を優しく撫でる。

咲夜は気持ちよさそうに顔を綻ばせた。いつも思うがとても可愛い。

このままずっと撫でていたい気分だ。


そして少しずつ顔をこちらに近づけてくる。

どうやらこのお姫様はキスがお望みのようだ。


結人はそれに応じた。


「ん~~~」

「ん~~~」


「へへへ、私今、最高に幸せです~」


「僕も幸せだよ。」


そいうと二人はもう一度顔を近づけると唇と合わせた。

その後アマテラスに着くまで楽しいひと時を過ごすのだった。



     *



たった1人で世界の危機ともさせる破滅級UCを葬り去った最強の男『黒白の限界突破者』の戦闘を空もツクヨミのコントロールルームで観ていた。


「終わったのか?」


「うん。間違いなく終わったね。というか逃げられたね。」


「逃げられた?俺には消滅したように見えたんだが・・・」


「いや、十中八九逃げられたね。転移系魔法なのか高速移動系なのかは分からないけど彼の攻撃じゃなかった。」


「嘘だろ?あの黒白様が・・・」


「ま~彼もたまにはそんな事することもあるんだよ~まぁ戦闘に関する任務でミスをしたのはこれが初めてだけどね~」


「そ、そうなんですか・・・」


空は再びモニターを見つめた。

魔法を使うUCが現れた事自体異例の事態な上、あの黒白様が取り逃がす程の相手が存在するという事だ。


失敗を反省しているのか、画面の向こうの男はしばらくそこに突っ立っていた。

そしてその時、を見つけた。

いや、見つけてしまった。


「これは・・・!!!噓だろそんなはずはない。だってあいつは・・・」


自分の見つけてしまったから目が離せない。2度見して見たが、確かにそこに映っていた。

彼の右手首にある火傷の痕のような傷痕が・・・。

魔法によって医療が進んだ今、怪我を見えなくする事など簡単で多くの人が当たり前のように行っている。皆、痕が残らないように完全に自分の身体を修復しているのだ。

そのため、傷痕を残す人は珍しい。


そして空は同じ場所に同じような傷を負った人物をして知っていた。


すぐさま確認をとる。


「茜さん、1つお願いがあるんだが・・・」


「何〜?私にできる事ならなんでも言っていいよ〜」


「では、結人に今すぐ直接会わせてくれ。」


「!!!・・・・・・気づいちゃったか、正解だよ黒崎空君。」


途端に茜の口調が変わる。それは先程、紅としてアマテラスの支部長と会話した時の声だった。

そして、真剣な顔で空を威圧する。


「結君にはその傷あと消しときなって言ったんだけどね。どーしても残しておきたいっていうからそのままにしてあげたの。まさかそれが裏目に出るとはね。」


「じゃあ、やっぱり・・・という事は紅焔様の方は。」


連鎖してもう1人の方の正体にも気がつく。


「そっちも正解。いやーまさかこんなに早い段階で気が付かれるとはね〜まぁどっちにしろもう少し後で正体を明かすつもりだったからいいけど。」


「それはどういう・・・」


今度はいつもの口調に戻って予想外の事を伝えてきた。


「元々目をつけていたんだよ、君の事を。」


「俺の事を?」


「うん、結君に君の調査をお願いしていたんだよ。ウチ夜明けの光にふさわしい人材かどうか。本当はもう少ししたら誘おうと思っていたんだけどね。知っちゃったみたいだし今日から即入隊ね。必要な書類は何とかしとくからそっちでよろしく〜ようこそ我が夜明けの光へ。」


「いやいや、ちょっと待て。俺の意思は・・・」


「そりゃ〜もちろん拒否件なんてあるわけないじゃん。もう送信しちゃったし、これからよろしくね〜」


「・・・・・・」


茜は空を置いてきぼりにしたまま話を進める。


「確か今、空き部屋が5つあったからどれか1つテキトーに選んで使ってねー。山本君、案内よろしく〜あ、あと今度自己紹介するから文章考えてといてねー。」


「は、はぁ・・・」


「あ、それと1番大事な事を忘れていたよ。」


「なんでしょう・・・?」


「さっきの秘密、誰かに喋っちゃったりすると聞いた人全員消されちゃうから気をつけてね。じゃあ、あとよろしくね〜。」


「は、はい。」


空は山本さんに連れられて自分の部屋を選びに向かった。

5つの部屋の内、1番小さな部屋を選んだ。登録を済ませ、鍵をもらうと遥香と瀬奈の眠る部屋に向かった。


そして、最強の夫婦に対してどう接すればいいか悩むのだった。







空が退出するのを確認すると、コントロールルームにいる6人の隊員に話を振った。


「これからやって行けると思う?彼。」


「大丈夫だと思いますよ、艦長。」

「何とかなると思いますよ、艦長。」

「私も大丈夫だと思いますよ、なんたってあの序列一位のお墨付きですから。」


「それもそうね、さてと私は報告書でも作ろうかな・・・舵の方はよろしくね〜」


「「「了解!」」」



茜は、まだ結人から何も情報を聞いていないにも関わらずキーボードを押し始めた。







謎の魔法陣について


原因不明。

目的不明。

上位の災害級UC1体を含む400体余のUCをS級魔法師"紅焔"及びアマテラス所属の魔法師によって討伐、また謎の魔法陣については討伐完了後消滅。



人型と思われるUCについて


原因不明。

目的不明。

魔法を使用したと思われるUCを確認。

S級魔法師"黒白"によって討伐。が、

情報の取得は極めて困難。



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