#4 絶対に受かる入学試験②


人類防衛軍の通称(ジルトレア)を設定しました。

日本防衛軍を人類防衛軍ジルトレアの日本支部という位置付けにします。



短めです。


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実技試験が始まった。

結人たちは実力を悟られにくく、かつ簡単なので、実技試験は『用意された的に自分の得意な魔法を打ち込む方式のもの』を選択した。着弾時の最大威力値によって記録が決まるもので得点は平均値との差によって算出される。

他にも自分の得意な魔法や特技を披露するものや教官と実際剣を交えるなどもあったが、下手に動くと注目を集めそうだったため、1番人気のないのを選んだ。ちなみに多くの生徒は教官との戦闘を選択していた。




「水よ、我の望みを聞き給え。水魔法<水球すいきゅう>!」


「炎よ、我が望みを叶え給え。炎魔法<炎柱フレア>!」


水魔法を唱えた少女の手に約50cmほどの水の球が形成され、威力値測定用の的に当たり爆発する。

隣りでは、少年の放った魔法で的は炎に包まれ、やがて消える。

どちらも簡単で扱いやすい魔法だが、威力はあまり低くない。このぐらいの年齢の学生にふさわしいレベルの魔法だった。もちろん、この程度の威力では、下級UCですら倒すことができないが・・・・・・



「受験番号301、判定860、同じく302、判定1101。次の生徒!」


「思ったよりも実力があるみたいですね、結人さん」


「想像以上だね。魔力操作の練度も悪くない。」



結人は正直、もう少しレベルが低いものだと思っていた。学校の生徒のレベルなど今まで知る由も無かったからだ。しかし、想像していたものよりもこの学校を受験する受験生は実力があるようだ。というのも人類防衛軍ジルトレアに新規入隊した人たちの様子を見た時にあまり強い印象を受けなかったからだ。多くの入隊者は中級UCを単独討伐するのがやっとで、上級以上には手も足も出ないのが現状だった。



「結人、もしかしてだけどもっと威力値を上げないとまずくね?」


「一応上げといた方がいいかもね。ここで落とされたら洒落にならないからね、とくに樹は・・・・・・」


「確かにそうですね、ですが樹さん威力を誤って目立ちすぎないようにお願いしますね。」


A級魔法師のは魔力の操作に長けている。そのため簡単に魔法を隠蔽したり火力の調整をしたりする事ができる。


ただ、例外もいる。

そう、樹は実績、実力ともに優れているが、手加減というものが苦手だった。いや、絶望的に下手だった。

以前、戦闘中に火力を誤って隣にあった山を吹き飛ばしてしまった事があった。その時は結人も連帯責任ということでこっぴどく茜に𠮟られた過去があったのだ・・・・・・


「天の神様、地の神様、龍の神様、どうかお願いします。」

「精霊よ、私達に幸福を。」


結人は神に祈りを捧げ、咲夜は精霊に祈った。

正直、希望は薄い・・・・・・でも、僕はこれに賭ける!頼む神よ!


「まぁまぁ2人とも俺も人間だ、失敗からは学ぶさ、っておい信じろよ!!!」


結人たちは樹から少し離れた。万が一、絶対にないと信じたいが一応念のためだ。


「次、受験番号365、366前に。」


「ごめん樹、行ってくるね。」


「頑張れよ!」


試験監督に呼ばれた2人は前に出る。的との距離は約10m。結人と咲夜は魔力操作が異常なほど得意だ。そのため、威力値を1単位でコントロールすることなど造作もなかった。

結人と咲夜は共に右手を挙げて詠唱を開始する。


「「氷よ、我が望み、我が願いを叶え給え、水魔法<氷撃>!」


結人と咲夜の周りにそれぞれ4つずつの氷のツララを出現させそれらを的にぶつける。

迫力はないが威力はある魔法だ。


「受験番号365、威力値2000、同じく366、同じく2000。」


2人は顔を見合わせ小さく笑う。


「やりました!結人さんと同じ記録、同じ魔法です。」


「さすが咲夜だね、術式を一瞬で把握して完璧に真似をするなんて。」


「婚約者として当然のことです。」


何故か胸を張る咲夜、婚約のことはまったく関係がない気がしなくもないが結人は空気を読んで同意しておいた。同意しないとまた怒られる気がするし・・・

試験を終えた結人たちは観客席に戻り、気を取り直して問題児の試験を見守った。


「次、受験番号367、368前に。」


樹と一緒に受けた受験生は簡単な風魔法を使用し威力値1055を記録した。一方樹の方は・・・


「ねぇ咲夜、まずくないかな、あれ・・・・・・」


「先ほどの忠告が全くの無意味ですね、結人さん。魔法で威力を5千ぐらいまで減少させて下さい。」


樹は確かに威力を落とした、しかしそれだけでは足りなすぎる。このまま放てば威力値1万を簡単に超えてしまう。

そのことに真っ先に気がついた結人と咲夜は対策として威力を減少させる魔法を瞬時に構築し、隠蔽して放つ。

丁度いい具合に調節した魔法は的に当たり爆発した。


あまりの威力に会場の中は騒然としていた。


「きっ記録、5000!!!」




結人たちは完璧に威力をコントロールしたつもりだった。結人と咲夜の唯一の誤算、それは結人と咲夜も常識がないことだった・・・・・・

なぜ驚かれたかを瞬時に理解した2人は樹を囮にして会場を後にした。

この後、樹以上の威力を出した人がいたため樹への注目は薄れたが結人たちは他人のふりを続けた。





ジルトレアの上層部を話し合い脅しで説得させた茜は書類を作成していた。


「結君の為にもこれをやっておかなきゃ・・・・・・それにこの報告のことも・・・何としても間に合わせなきゃ・・・」


彼女は1つの極秘資料と結人の全データを見比べながらそう呟いた・・・・・・



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読んでいただいてありがとうございます!

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結人と咲夜が喜びます

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