#6 絶対に受かる入学試験④

面接ーーーそれは多くの人が人生で何度か経験しそして苦戦するであろう試練。

進学、就職など際、数多く存在する試練。

例にもれず結人たち、いや結人と樹はこの試練に苦しめられていた・・・




「頼むコツを教えてくれ、咲夜」


「んーーと、そうですね。試験監督と思わずにコンビニの店員と思えば案外簡単ですよ。」

「咲夜はこういうの慣れているもんね、余裕そうで羨ましいよ。まぁ僕達コンビニもそんなに行った事ないけどね。」

「言われて、できるものじゃ無いんだけどな・・・・・・やっぱし咲夜はすげーな。」


パーティーや会議なのに昔からたくさん参加している咲夜は人と話すのが得意だ。しかし、何故か一緒にいたはずの結人は苦手だった。その理由は各国の偉い人や貴族が自分の娘を結人の妻にしようと押し寄せてくるからだ。国ごとのバランスを崩さないために会社などの個人が戦力を所持することは禁じられている、しかし『魔法の才能や固有魔法の種類は遺伝的なものである』という考えが現代魔法学において最も有力とされているため結人へ勧誘はもの凄い。中には、会社ごと差し出す人もいたほどだった。


「いっそ認識阻害魔法でずっと平然としているように見せるのも手では?あとは予知魔法で内容を聞き出すとか・・・・・・」

「結人、その案乗った。」


2人はニヤリと笑って手を握る。


「こらこらダメですよ2人とも、普通にしていればきっと大丈夫です!!!」


咲夜のアドバイスを受けた結人たちは面接に臨んだ。

前の人が終わりついに結人の番がやってくる。


「次の方どうぞ~」


「はい、失礼します。」


中に入るとそこには90度にお辞儀した黒髪の女性がいた。その人はいかにも校長らしい服を着ていた。


「こんにちは、日本魔法師育成学校東京校校長の天沢あまさわ沙織さおりです、以後お見知りおきを序列1位せかいさいきょう、いえ藁科結人様」



たとえ子供でも、たとえ生徒でも、序列1位の重みは凄まじい。各国の大統領でも結人に頭が全くあがらない、そのためこれは当たり前の行為であり、正解なのだ・・・しかし、こういうことがあまり好きで無い結人は、思わず苦笑いしてしまった。


「やめてください、私は1生徒としてここにいるので必要ありませんよ。」

「しかし・・・・・・」

「僕が許可したのですから大丈夫ですよ。」


「はい、わかりました。あなた様のお姉様ー茜様より事情は聞いております。"常識を身に付けよ"とのことでしたね。教師一同全力でサポートさせていただきます。」


"常識を身につけよ"その通りではあるのだが、同じく常識がない茜に言われるとムカつくものだ。

この前なんて僕の部屋に珍しく来たと思えば、大事にしまっておいた好物の苺大福を全て奪って逃げていった。姉さんは少し子供っぽいところがあるのだ。


「こちらこそ色々迷惑をかけるかもしれませんが4年間よろしくお願いします。」


結人も天沢さんと同じぐらい頭を下げた。

天沢さんは何か焦ったような顔をしたが、すぐに取り直し簡単に説明を始めた・・・


「では、簡単にこの学校について説明させていただきます。我が校は現在、4学年7クラスでAクラスからGクラスまであり、実力や実績によって選出されています。1番優秀な生徒はAクラス、次に優秀な生徒はBクラスそしてそれ以外のクラスはランダムに割り振られております。貴方様方3名のクラスは最上位のクラスであるAクラスということになっております、ご了承下さい。また、3年生になると科目ごとにクラスが別れます。茜様より戦闘科への進学ということになっております。そして寮についてですが学年とクラスごとに男女別で2人一室となっております。双方の要望によっては部屋替えも検討することができます。ただし、前例がほとんどないので基本部屋替えは不可能だと思って下さい。貴方様の部屋は1年生棟の7階の1番奥の部屋、701号室となっております。これはその鍵です。部屋の改造は許可されていますが破壊しない程度でお願いします。何かご不明な点はございますか?」


説明を聞いた結人は2つの疑問を浮かべた。


「僕たちの存在はどのような認識になっているんですか?」

「今のところ私のみが知っております。また、これ以上誰かに漏らす事はないとお考え下さいませ・・・」

「僕の武器はどのような位置付けになっていますか?」

「高火力の武器は出来るだけ亜空間から出さないでいただきたいと思っております。性能や形を知らなくても貴方様の物だと生徒や他の先生に気づかれてしまう恐れがあるからです。学校の方で剣を用意しておきますのでそちらをお使い下さい、ほかにございますか?」

「大丈夫です、よろしくお願いします。」



「では最後に個人的なお願いをしてもよろしいでしょうか。」

「どうぞ・・・」

「あの・・・零式特殊展開魔法を見せていただけませんか?」


さっきまでの肩苦しい言葉から一転、陽気な声で目を輝かせながらそう頼んできた。

ーーー本性出てるし・・・まぁ減るもんじゃないしいいか・・・・・・


「わかりました・・・零式ゼロしき<ゼロ・ノート>起動・・・・・・」


短い詠唱の完了とともに結人の全身から白銀のオーラが溢れだし、まるで世界の時間が止まったかのような感覚と圧倒的な存在感がその場を支配した。それはまさしく世界最強にふさわしい姿だった。


しばらくしてそれらのオーラは何事も無かったかのように静かに消えた・・・


「剣の方は展開すると周りに被害が起きる可能性があるので、一応止めておきました・・・」

「それがすべてを滅する世界最強の魔法<ゼロ・ノート>・・・魔力の存在がまるで感じなかった・・・一生の宝物にします。ありがとうございます、結人様。」

「とりあえずこれで失礼します。」

「良い学園生活を・・・」


こうして僕の人生初めての面接が終わった・・・

ーーこれは面接と言えるのか??



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読んでいただいてありがとうございます!

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結人と咲夜が喜びます

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