「性癖」というものに対して真剣に討議される世界、国連によって開かれる「世界性癖カンファレンス」での、想定外の闖入者による騒動のお話。
設定からしてわかる通り、直球のコメディ作品です。内容はほぼタイトルの通りで、もう説明のしようがない、というかきっとその必要もないお話。分量にして5,000文字にも満たない小品ですので、もうこんなレビューなんか見るより直接本編を読んじゃった方が早いと思います。
そもそもにして、設定の時点でもういろいろ突き抜けているのですけれど、開幕早々並べられた各種の性癖がもうすごい。あの堂々たるお品書きのドライブ感。「どういう世界なのこれ!?」と怯えてしまうと同時に、でもうっすら「なるほどそういう世界か……」と感じてしまう自分もいて、この「わかんないはずなのにわからされちゃう感じ」がたまりませんでした。単語を並べられただけで世界の印象が固まる、世界観がぎゅっと引き締まるような感覚。
あとはもう、最後が好き。あの結末がすべてと言ってもいいくらい。ここはなにを言ってもネタバレになっちゃうので、具体的に言及するのは避けますけれど。本当に物理で声が出ちゃう感じでした(出ました)。「なにこれ」ってなって笑っちゃった、あのとてつもないパワー。いやひどいっちゃひどいんですけど、でもそこがいいというか、とにかくとんでもないものを心に残してくれたお話でした。すごい。この締め方でなければ得られない栄養素があるんだ……(性癖)