ドライゼの憂鬱
猫町大五
第0話
最初に拾われたときの言葉を、今でも覚えている。
『・・・成程、確かに君は兵器だ。その事実は覆しようがない。だから、君のかつての持ち主たちと変わらぬ形で、君を使うことになるだろう』
「・・・でしょうね」
『だが一つ、勘違いしないで欲しい。確かに我々は君を使う。しかし、君はつまるところ我々なのだ』
「・・・・・・は?」
『・・・我々は、君らたり得る。いや、そんな婉曲は必要ないな。――君は我々で、我々は君だ。多少の違いはあれどな』
「・・・」
『君を使わせてもらう。しかし、その時は我々も同じだ。そして、――忘れないでくれ。我々は何処までも人間たり得る。人間だよ』
「・・・どうして、そんなことが」
白衣の少女は懐から煙草を抜き、優雅に吹かしながら言った。
『当然さ。人外と恐れられる僕たちにこそ、人の優しさは必要不可欠で――それを誰よりも理解しているのだから』
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