【初投稿】高校の季節風

墨汁九

いつもの昼

Youtuberのいつもの声が聞こえる。また寝落ちか。

だらだら起きる朝(昼)は生活の余裕さを表すが暇であることも表す。

だいたい朝は食パンをオーブンレンジで....焼く?加熱?まぁいいやとりあえず朝は食パン。なぜならめんどくさいからだ。そろそろか。

俺は今日もパソコンの前に座ってひたすらに授業を聞き流していた。

「ラプラス方程式とポアソン方程式は...」教授の声は遅いようで早いがはっきりしている。たぶん何度も同じような授業を何年も繰り返しているからだろう。

そんなことを考えているうちに授業が終わっていた。

「はぁ..........俺はなんでこんなことをしてるんだ」

家にこの小さな弱弱しい声が響いた。

そう俺は今一人暮らしをしている大学生だ。大学生で自宅で授業を受けている。

コドラウィルスのせいでだ。

しかも俺が大学に入学した途端にこのウィルスが日本に入ってきてこのざまだ。おかげさまで友達もいないしひたすらに目が悪くなるし


ひたすらに「さみしい。」。


そして俺は少し家が裕福でバイトをしなくても一応は生活はできる。でも俺は苦学生をしている。いつも1ヵ月送られてくるお金の内5000円を食費としているからだ。おかげで3ヵ月で4キロ痩せた。親からは痩せすぎだと言われるがもちろん自分自身でもやばいと思っている。

このやばいには様々な意味がこもっている。

もちろん体重もやばい、友達がいないのもやばいし、なによりももうすぐ後輩が入学してくる。大学なんて全く行ったことないし先輩も知らないしサークルにも入ってない。

大学は人生の春なんていうけれど、「なにが春だ」怒りと共にパソコンを思いきり閉じた。俺は人生の大事な時間を刻一刻と失っているような気がして焦り、自分の未熟さとウィルスに対しての憎悪が日々蓄積されている。

高校はしかも人生の冬だし俺はいつになったら春が訪れるんだよ。

そう感じていたが冷静になった。きっと思っていたことを吐き出し、整理したからだ。

そんなことを考えていると隣の部屋。

隣人さんから壁越しに楽しそうな声が聞こえてきた。

大学周辺のアパートだ壁が薄いのはわかっていた。いつもはうるさいと感じるこの声も今はなぜか懐かしく感じる。隣人は大学生だ顔の面識もない。きっと会っても挨拶すらしないだろう。声なんて壁越しにしか聞いたことがない。

なのになぜだろう。うるさいはずなのににぎやかに感じる。

俺ってもしかしたら高校楽しかったのかもしれない。

「高校かぁ...」ぞわぞわと寒気と共に暖かさが感じられ春風が入ってきたかのようだった。いやなことを思い出した。

それとともに

忘れていたことを思い出した。

俺はまだあの時の解答をもらってない。今頃、何をしてるんだろ。

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