It serves you right

@aonoyurameki3373

第1話

永遠に続く文字の羅列を追うのは苦手だ。

赤の他人が書いたその無機質な言葉はどうも自分の心には馴染まなかった。


伝記、恋愛小説、ミステリー....

どの本も自分を引きつけるにはあまりに虚無で、平和で、つまらないものばかりだ。


心踊らされるのはいつだって目の前にいる人間、自分とは違う思考を持った人間。


決して人との渡り合いが上手くない自分を引きつけるものは、皮肉なことにそれだけだった。


そのせいで悪い癖が着いた。他人を目の前にすると、そいつを探らないではいられなくなるのだ。


_やあ、お嬢さん。今日はいい天気だね_


その癖に足元を救われるとも知らない浅はかな自分は、今日も手当り次第にその奇特な好奇心を向ける相手を探している。

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