異邦と世界の花2

 よく見るとレノンナに咲いた花々がどんどん黒く変色し、それらがぽとりぽとりと地面に落ち始めた

 落ちた花はその場で崩れ落ち、花粉のようなものをまき散らした

「なんだ、これは」

 その花粉はムに向かって飛んでいき、キラリと輝いたとたん激しい爆発を引き起こした

「これは、僕の力? でもとんでもなく強化されてる」

 さらには花粉によってムは空中に持ち上げられ、そこから一気に地面にたたきつけられた

「そうか、花は僕の力、そして浮かばせたのはりえの力か」

 レノンナは全員の力を取り込んだことにより、それらを更なる強化をされた形で使うことができるようになっていた

 何も話さず、動かなかったのは、エーテの力で正確な弱点を探っていたからだ

 そしてレノンナはムのわずかな弱点を探り出した

 顔を破壊できたのはその弱点、針の孔ほどの小さなほころびを突いたことによるものだ

「あんた、もう積んでるわよ。ほら」

 パンとムの腕がはじけ飛ぶ

「ぐっ」

 バキリとムの足が折れ曲がる

「この!」

 ブチュッとムの左半分が潰れる

「あんた長生きしすぎたのよ。ところどころにほころびがたくさんあったわ」

 世界ができるよりも前から生きてきたムには、経年劣化のようなほんの些細なほころびがいくつもあった

 レノンナは自らの力でそのほころびを広げ、決定的な、致命傷になる傷を作った

「こいつ、この僕を、この僕を、この僕をぉおおおお!! 馬鹿にしやがって!」

 ムはこれ以上ないほどに怒り、また体を変化させた

 たくさんの触手がうねうねと動く気持ちの悪い出で立ちに、すらりと長い手足

 その姿はスレンダーマンと呼ばれるような化け物によく似ている

「見ちゃだめだよ!」

 エーテがすぐに全員に注意を促した

 見ただけで終わりというとんでもない力を感じたらしい

 全員が目を固くつむった

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