最終決戦2

 ドロドロの手を見てリディエラは眉をひそめる

 痛みはないのか、ただ溶けた手を不思議そうに見ているだけだった

 その呪いはさらに手から登って行き、肘までドロドロに溶け始めた

 そこから危険を感じたのか、自分で腕を引きちぎる

 すぐに腕は再生するが、その腕には精霊の顔がついていた

「あ、あ、助け」

 リディエラがその精霊の顔がついた腕を振るうと、火炎の刃となってクロハに襲い掛かった

「クロハちゃん! リディちゃんを急いで止めてください! その力は精霊の命を削って撃ちだしているものです!」

 腕の顔、火の上位精霊らしく、その精霊の魂の欠片を武器として使用しているのだ

 このまま使い続ければこの精霊は消滅するだろう

「っち、おいこらクソガキ! 落ちるとこまで落ちたな!」

 クロハの呪いは刀にまとわりつき、呪霊の声がし始める

「さぁお前たち! あれに恨みつらみをぶつけろ!」

 クロアゲハから放たれる大量の呪霊達

 彼らは生に恨みを持ち、生命力を糧にしてさらに強化されて生きるものを襲う危険なモノ

 クロハはそれらを見事に操って見せた

 数百や数千という数ではない、数億、数兆もの恨みある魂を様々な世界から集めたのだ

 まるで波のようにうねり、リディエラを飲み込んだ

「ぐ、グアアアアア!!」

 さすがに痛みを感じたのか、リディエラの悲鳴が聞こえる

「お、お姉ちゃん、ダメだよ、リディエラちゃん、が」

「ハクラ! 気が付いたのね」

 どうやらハクラが目を覚ましたようで、息も絶え絶えにクロハを呼ぶ

 すぐに呪いを解いてハクラの元へ駆け寄るクロハ

 飲み込まれていたリディエラは倒れ、おそこから吸収されていた精霊達が解放されて行った

「リディちゃん!」

 シルフェインがすぐに近づく

「駄目ですシルフェイン様!」

 リディエラは近づいたシルフェイン、自分の母親の首元を掴み、そしてその体を自分の内部へと取り込んだ

「ふ、フハハハ、アハハハハハハハハハハハ!!!!」

 先ほどとは比べ物にならない力がリディエラからあふれ出す

 その力のせいでウルの本拠地であるこの世界が大きく振動し、建物が崩壊し始めた

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