カイトと生田目

「見つけた。なにをしているのかな?」

「別に? 貴方に言わなくちゃいけない理由でも?」

「その声・・・。君は何者だ?」

「いいからそこどいてくださいよ。私はやらなくちゃいけないことがあるんですから。それにあなたに止められる理由が私にあるのですか? 私はただ、石を拾っただけなんですから」

 カイトと邂逅しているフードを被った何者か

 フードの色は黒から白へのグラデーション

 ウルの何者かであるとは思われるが、なんの悪意も力も感じない

 本当にただの人間

 それが彼または彼女から感じた印象だ

 絶対に害をなさないどころか、普通の人間よりも体力的には劣るほうだろう

 少し歩いては休み、息を切らしている

 そしてその時には胸を押さえてうずくまっていた

「さぁ、そこをどいて下さ、く、うぅ」

 苦しそうだ

「だ、大丈夫かい?」

「構わないで、下さい。私は、行かなきゃダメなんです。彼のために。彼のためなら、命なんて、私の命なんて」

 うずくまったまま立ち上がれないようだ

 カイトは臨戦態勢をやめ、そのローブの何者かを抱え上げた

 軽い

 背の高さに反してその体重は羽のように軽かった

「いいから、僕に世話させてよ」

「・・・。勝手にしてください。でも、立てるようになったら、あなたの前から去らせてもらいます、から」

 スーッと、眠りにつき、ローブがずるりと脱げる

「この顔・・・。あの子にそっくりだ。君は一体何者なんだい?」

 出てきた顔はカイトのよく知っている顔

「少女だったのか。はぁ、まったく、なんなんだこの子は。明らかに危ない力を持っていたはずなのに、今はどう見ても病弱な少女以外の何者でもない」

 その少女はカイトの知るリディエラの顔とうり二つだった

 違うのは彼女の髪の色が真っ黒だというところくらいだ

 これが、カイトと生田目の邂逅となった

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