悪意を植え付けられた者達7

 アウルが世界の種を植え付けた者達だと聞かされたアーサー

 興味ががぜん湧いた

 だが想像以上に弱く、悪魔の中身を見たことですぐに興味は失せた

 弱い上に素の自分とほとんど変わらない戦闘能力

 彼らに自分が劣る点など何一つなく、一般人にしか見えなかった

 だが最後に見せたあの力だけは興味があった

 アウルの力を使えば何の問題もなく倒せる

 しかしそれだけではない何かがあるとも思った

「さて、そろそろ行くか」

 傷はすぐに回復していたが、万全を期す。慎重に行動するのが、最初に死刑宣告を受けてからの彼の信条でもあった


 襲撃から数日後、すでに種たちを捕捉している

 目的地は救世界

 そこには数多くの実力者がおり、上位の女神でも大神に近い実力を持つ女神が納めている

「ふむ、プロフェッサーの資料には興味深い力を持つ者達も記されているな」

 多種多様な能力、種族。中にはアーサーが見たことのない種族も相当数いた

「興味深い、興味深い。中身が見たい」

 普段冷静だが、ここまで興味の尽きない世界はないと興奮し始める

 すぐに転移を始めるが、ここであることに気づいた

「転移、できないだと?」

 救世界は強力な結界が、女神や能力者によって多量に張られている

 それが阻んだため転移できなかったのだ

「っち、仕方ない、力を使うか」

 アウルによって植え付けられた悪意、それを解放すれば回数はかかるが、結界を破壊することが可能だろう

 相手方がよほど優秀でない限り、壊された結界をすぐにまた展開しなおすことも容易ではない

 アウルは悪意をその身から解き放つ

「ああ、あああああ!! ハハハハハハ!! 全部殺す! 全部バラバラにする! 殺して殺して! ハハハハハハハハハハハハハハ!」

 狂ったように笑い続けるアーサー

 悪意が勝手に膨張し、アーサーの心を埋め尽くした

 この力は凶悪で強力だが、悪意に支配されるために制御が効かなくなる

 バーサーカーのように悪意の目的のため動き、その目的を果たすことでようやく止まるという仕掛けだ

「壊れろ! 壊れろ壊れろ壊れろ!」

 恐るべき速さで結界を打ち破って行くアーサー

 救世界が大きな悪意にさらされ始めた

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