悪意を植え付けられた者達4

 三人目、ブラック

 彼は元々公爵、貴族だった

 家族はおらず、ただ一人

 そして歪んでいた

 表では善政をする良い貴族を演じ

 そして裏では、気に入った女性を拷問して殺していた変態

 その思想は歪んでおり、人をいかにして苦しめて殺すかを考えることに必死だった

 そんな彼はついにその正体がバレ、民衆の暴動により屋敷を攻め落とされる

 だが彼のヤバさはそんなことで止められるわけがなかった

「我のテリトリーに入ったな愚民ども。クククククク!」

 攻め入った民衆は、彼たった一人の手によって殺しつくされた

 もはや自分の力を隠す必要もないと、自分の領地の人間をすべて、全て

 領民を殺した後は王国を一人で攻め落とした

 彼はただの人間だ

 だがその力はあまりにも強大だった

 生まれてからこれまで一切の実力を隠し生きてきた彼

 全てを偽っていた魔性

 ブラックはこの世界で誰にも負けることはないほどの力を持っていたのだ

「はぁ、あきた。悲鳴もワンパターンで面白くもない。簡単に殺しすぎたか?」

 唯一の悩み、人を殺すとき簡単に殺してしまえるということ

 それはつまり出来るだけ苦しめて悲鳴や泣き叫ぶ声を聞けないということ

 彼は王を殺した後、王妃と王女を殺した

 王女は王妃の目の前で拷問して殺し、泣いて娘の名前を呼ぶ王妃の首を落とした

「今のはなかなかよかったぞ王女」

 王女の悲鳴がよかったのか、少し機嫌がよくなるブラック

 そんな彼の前に突如として大きな悪意は訪れた

「君、いい性格してるねー」

「なんだ貴様は。我は男に興味は」

 今いたはずの男がいない

 そいつは既に自分の後ろにいた

「我の、背後を、こうもあっさりと?」

 初めての経験

 自分が負けることなど今までみじんも思ったこともない

 この男には、どうあっても勝てないと、戦う前から負けを認めた

「ねぇ、君、僕について来るならもっと力をあげるよ? それに、拷問に適した力も」

「おお、おお、それは願ってもない。いいだろう、我は、貴殿と共に」

 大きな悪意は、そのブラックの悪意を飲み込んだ

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