芽吹き13

「この地を荒らす愚か者ども、私達天女に何用です!」

「・・・」

 何も答えない男たち

 彼らは突然手をこちらに向け、一斉に魔法を放ってきた

「この程度ですか?」

 エンナは全ての魔法をあっさり防ぎ、さらには天力で反撃を開始した

「見たことのない力だ。エンナさん、それって」

「はい、これは天力という天人、もしくは天女しか使えない力です。かつては天人も数多くいたのですが、天人は絶滅しました。ある日突然、全ての天人が消えたのです。だから今天力を使えるのは私達天女だけです。天人ほどうまくは扱えていませんが、それでも彼ら程度なら」

 天力によって男たちは次々となぎ倒されていく

 輝く光輪を出すエンナ、それに続くように輝く武器をそれぞれで扱う天女たち

 攻めてきた男たちは全員が転がされ、捕まった

「意外とあっさりだったねぇ。けどこれは、何かがおかしい。こいつら明らかにウルだけど、全員が同じ力を使っていたねぇ。今までこんなことはなかったさね。こいつら多分操られてる」

 エーテの言った通り、彼らの頭には何らかの機械が取りつけられていた

 それらを分析し、分解すると、一人、また一人と目を覚ました

「あれ? ここは一体・・・。俺は何を」

「う、頭が痛い」

「なんだこの美しい場所は!」

 どうやら彼らはウルに操られていただけで、純粋な心を持つ人々のようだ

 エンナが自分達がしたことを話すと、彼らは全員が天女たちに一斉に謝った

「それで、何も覚えていないと?」

「ああすまない、自分の家にいたはずなのに、気づいたらここだ」

 それは全員の意見が一致していた

 彼らは何かに操られてここに連れてこられた

 純粋な心を持っているためこの国にも入れたというわけだ

「この人達、絶対に天女に勝てないのに、なぜ連れてこられたのでしょう?」

「それは・・・」

 確かにそれは不思議だった

 彼らは明らかに弱い。普通の魔導士ほどの力もないだろう

 ならばなぜここに彼らは送り込まれたのか

 それは

「来るねぇ。本隊が。つまりこの人たちは、結界を突破するためのおとり」

「来ます!」

 パーンと結界が壊れる音がして、空間が裂けてウルが現れた

「ようやく入れた。さあ行こうエーテ。僕と一緒に」

 そういったのはエーテのよく知る顔

 死んだはずの

「バー、ド・・・」

 婚約者だったバード

 つぎはぎだらけの顔だが、その声、顔はまさしくバードのものだった

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