大勇者と従者13

 まずは消えた魔物たちの特徴について聞いてみた

 どの魔物も非常に強い力を持った各種族の代表格のような魔物で、今回魔物喰いの花を退治するのに苦労したのも、彼らがいなくなったかららしい

 まずは最初にいなくなったラードランというトカゲ型の魔物たちの証言を聞いてみる

 いなくなったのはテンという時期種族長で、強く優しい戦士だった

 そんじょそこらの魔物たちでは太刀打ちできないはずだが、狩りに行ったきり戻ってこなかった

 次にいなくなったのはエンガという猿魔物の戦士

 彼もまた強いのだが、遊びに行った子供達を呼びに行っていなくなった

「ダルという戦士でな。子供好きで、つい最近子供が生まれたばかりだったのだ。自分からいなくなるはずない」

 悲しそうな猿魔物の男性

 どうやら彼はそのダルと親友だったらしい

「うちはガンゴルという岩の戦士がいなくなりました。彼女は非常にたくましく、守りを固めれば比類なき力を発揮していたのです」

 今度はゴーレムの女性がいなくなったらしい

 彼女は見た目は人間に似ていて、岩の肌を持っている筋肉粒々の戦士だ

 他にも様々な魔物たちの戦士がいなくなっている

「じゃあ最初にいなくなったテンの足取りを辿ろう。黄金鎧!」

 アイシスは黄金鎧の犬を着た

 これにより匂いが可視化されて見える

 しかも雨で匂いが流されていたとしても、過去の匂いを実体化して追えるのだ

「テンの匂いのついた物って何かあるか?」

「はい、それならたくさん」

 テンは二足歩行するトカゲ魔物だ

 そのため槍を使っていた

 その槍の持ち手の部分の匂いを嗅いで能力を発動した

「えっと、いなくなったのはいつごろだ?」

「ちょうど二カ月前です」

 過去をさかのぼり可視化する匂い

 それを辿ってみた

 彼らの集落から離れ、そこから狩場に続いて行く

 狩場には鹿のような動物や鳥たちがいて、肉食系の魔物たちはここでよく狩りをしているらしい

 こういったところでは争いをしないように魔物たちはしっかりとルールを定めており、いなくなったテンが争ったような形跡はなかった

 そして匂いを辿って行くと、忽然と匂いが消えていた

 過去を見るため流れてしまった匂いでも分かるのだが、これは本当にこの場で消えたとしか考えられなかった

「手掛かりが、何もない・・・」

 これはアイシスの能力でもつかめなかった

 ここから恐らく別世界に連れ去られたのだろう

 ウルを捕まえて問い詰めるしか手はなかった

「まだ他に攫われているのか?」

「はい、いまだにどこかしらの魔物が攫われています」

「ならまた来る可能性はあるな。よし、他に攫われた魔物たちの痕跡も追って攫われた場所の配置を割り出すんだ。何か法則があるかもしれないからな」

 アイシスは次次と攫われた魔物たちの痕跡を探し、その最後の痕跡を見つけて法則性を探した

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