守り人14
ポケ―っと空を飛ぶ小鳥を眺めてニコニコ顔のタタムム
小鳥たちのさえずりが耳に心地よくご機嫌なようだ
既に主を探すという目的を心の隅に追いやっての腹でちょこんと座り、花で冠を作って頭につけていた
普段のお馬鹿で温厚な彼女が愛される理由である
そんな彼女の前に何人かの冒険者と思われる風体の男たちが現れた
「お嬢ちゃんどうしたんだい? 迷子かな?」
「ほえ? んー、なんだっけ? えーっと、そう! 主様を探さなきゃなんだじぇ!」
ぴょこんと立ち上がるとその冒険者たちに手を振って去って行こうとするが、冒険者たちは慌ててタタムムを止めた
「待つんだお嬢ちゃん! そっちの方向は討伐対象のオークの群れのいる集落だ! 危険だから行っちゃだ・・・」
手を掴まれたことでタタムムはイラっとしていた
その鋭い目つきに睨みつけられ男たちは硬直する
「放せ、殺すぞ」
恐ろしさですぐに手を離すとタタムムは元のポヤポヤとした平和な顔立ちに戻っていた
「お兄さんたちそのオークの群れを倒すのー?」
今しがた本気で殺気を放っていた少女とはとても思えない
そんな彼女の質問に答える
「あ、いや、俺たちは偵察任務だ。あとから冒険者の大隊が合流する」
「そっかー、じゃぁ倒しといてあげるねー」
トテトテとそのまま道を進んでいき見えなくなるタタムムの小さな背中
男たちはその場でどさりとへたり込んだ
「な、なんだったんだアレは」
「分かる訳ねぇだろ。だが、オークなんか比べもんにならないくらいやべぇってのは分かる」
殺気を放たれる前はただの少女、しかし今の認識は、魔王すら相手にならないほどのナニカだった
「俺たちも行こう。どっちにしろ偵察はしなきゃなんねぇ」
「あ、ああ」
タタムムの後を追うようにして男たちも走り出した
「ふんふーん、ふっふふーん、ふんふふんふふーん♪」
音程の外れた鼻歌で陽気に進む
だがそのスピードは時速にして100キロを超えていた
とても後続の冒険者が追いつけるはずもなく、すぐにオークの集落に到着してしまった
「いっぱいだじぇ。あのお兄さんたちやさしかったし、ちょっとくらいお手伝いするじぇ」
スタスタと歩いてオークの集落へ入るといきなり襲ってきたオークを素手で殴り殺した
「ふんふふーん、ふっふんふふーん」
パンッ! ブチュッ! グシャァ!
鼻歌に合わせるように襲い来るオークを殺していく
数分後
オークの集落は壊滅し、その一時間後に冒険者たちは訪れ、驚愕した
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