神と鬼神2

 妖怪族長娘たちはそれぞれ一人一つの秘術を族長から授かっているんだけど、それをすべて集めることによって一つの大秘術が完成する

 それが時渡りの秘術だった

 本来なら他種族に教えるようなものじゃないんだけど、今はそうもいっていられない

 妖怪族族長たちが全ていなくなった今、決定権は族長たちのリーダーで妖怪族の国を治めるタマモ陛下の一人娘、クノエちゃんにある

「わかったわ。外ならるリディエラちゃんの頼みでもあるし、それに、私もお母様たちが戻ってくるなら、その奇跡にかけてみたい」

「ありがとうクノエちゃん!」

 僕は思いっきりクノエちゃんに抱き着いた

「ちょ、ちょっとリディエラちゃん・・・。あのリディエラちゃん、大きくなりすぎじゃない?」

「そ、そうかな? 確かに前はクノエちゃんと同じくらいの背丈だったもんね」

「そっちじゃなくてその、お胸がゴニョゴニョ」

 よく分からないけど、これでハルナさんの時間操作の力が安定するはずだ

 ただ一人でその秘術を操る必要があるため、膨大な妖力を必要とする

 でもハルナさん含め詩季さんは妖怪族じゃない

 そんな妖力の用量問題はハクラちゃんとクロハさんが解決できた

 二人の膨大な妖力を一時的にハルナさんに流し込む

 そのままクロハさんがハルナさんの体に流れた妖力を制御する形になったよ

 クロハさんなら妖力を正確に操れるから適任だね

「ふっふっふ、新生ハルナちゃん爆誕の瞬間をとくと見るがいいさ!」

 テンション高いなぁ

 でも彼女がやる気になってくれてよかった

 これで、僕らは過去に戻ってみんなを助けに行けるんだから

 

 ハルナさんへの秘術修行と妖力付与が始まってからたったの三日後

 ハルナさんは見事秘術を自分のものにできた

 族長娘ーズも驚いていたよ

 なにせ彼女たちがこの秘術を身につけるのに早くても二週間はかかっていたのだから

「ふっふっふ、このハルナちゃん、自分で言うのもなんだけど天才肌なのだよ。妖力の制御ってのもコツが分かった。いける、いけるよこれなら!」

 なんとクロハさんがする予定だった制御も自分でものにしている

 さらに言うと彼女、とんでもない量の妖力を受け取ったにもかかわらず体に何の影響もなかったんだ

「この子、人間ではないのですか? 人間がここまでの妖力を受け取れば普通なら暴走、もしくは妖怪化するはずなのですが・・・」

 クロハさんも驚く異様っぷり

 でもともかくだ、これでハルナさんは自在に時を超える力を持った

 彼女の超能力である時を操る力、これはスイッチだ。そして妖力が電池、秘術が彼女の能力をアップグレードさせるソフトかな

 全部が重なったことでようやくハルナさんの本来の能力が完成したってわけだ

「さぁお待たせだよリディエラちゃん。あんたの世界、救いに行こうよ」

「うん!」

 世界を救いに行く人選はもう決めてある

 まずあの世界とつながりが強くてこの中でも一番強い僕、それからハクラちゃんとクロハさん

 鬼神たちからはアカネさん、それから妖怪族からクノエちゃん

 クノエちゃんはこの中でもかなり力が弱い。それでも連れて行くのは、なんだか予感がするからだ

 クノエちゃんの中にある何かが芽生える。そんな予感が

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る