神と白黒鬼神31
彼女は椅子に座ったまま何かの機械で出来た腕を背中に背負い、その腕は絶えずモニターのようなものをタッチして映像を処理している
本来この機械の腕はあまり使わないのだが、彼女がこの腕を使うということはそれだけ切迫した何かが起こっているという証拠である
「四号、五号、そのまま続けてくれ」
「「はいマスター」」
背中から伸びていた腕が変形し、パリケルを少し小さくしたような小型パリケル人形が引き続き作業を続ける
その人形たちは彼女がアカシックレコードに繋がるより前から開発されていたものであり
一代目から三代目までは戦争で喪失してしまった
その後四号、五号から今は十号まで作り出している
人形たちはどの機体も意志を持ち、超高性能AIとして活動している上に、それぞれに個性もある
四号と五号はその初期機体であるためまるで双子のようではあるが
椅子から飛び降りるパリケル
神妙な面持ちでリディエラに近づいた
「大変なことになったよリディエラ君」
「大変なこと?」
「君の世界は消えた」
「え!?」
突然の報告に僕は頭が一気に真っ白になって行くのを感じ、直後に様々な考えが頭の中を巡って行く
僕の世界が、消えた
そして、母さんも、皆も
ハクラちゃんたちも同じように意気消沈し、目から光が消えていた
「ひとまず、現状は理解したかい?」
「はい・・・。僕はどうすれば・・・」
「時を操る力をしっているかな?」
「はい、僕の友人にもいます」
「時を操る、それは時の大神にしかできなかった権能なんだぜな。それがなぜか現代になって時を操れる少年少女が現れ始めた。これは何かの前兆だと思うんだぜな」
今はそんな話はどうでもよかった
僕はもう考えたくなくなっていたんだ
「そしてその!」
パリケルさんの声がひときわ大きくなる
「時を操る力の持ち主の中でも強い力を持つ者、そう、リディエラ君もよく知っている彼女だ。彼女が覚醒した」
「覚醒?」
「時空を戻るんだぜなリディエラ」
パリケルさんは僕の手をギュッと握ってそう言った
時空を戻る・・・。僕の世界が消えるより前に戻る!
「理解したようだぜな。今すぐ詩季の世界に行くんだぜな。彼女が君の世界を救うカギとなるはずなんだぜな」
「は、はい!」
希望だ、輝く希望が僕とハクラちゃんたちに宿る
「そ、それではアカネたちも!」
「あ、その子達なら無事だぜな。今こっちに向かってくるように彼女らの転移を操作しているところだぜな。もうじきこっちにつくはずだから何人かは一緒に行くといいぜな」
「アカネたちが、無事・・・。よかった、本当によかった!」
ただ喜んでばかりもいられなかった
パリケルさんが言うにはその世界を滅ぼした存在こそが、最初に世界全てを作り出したという存在だったからだ
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