異女神の休息
ウルの気配の強い世界に行くと心に決めたが、辛いことがあった時はやはり癒しが必要だろうということでとある世界にやってきた
「あのルニア様、この世界は?」
「ここはね、とある生物がこの世界の生物のほとんどを占めてる世界、その名もキティーキャティオ」
「キティーキャティオですか?」
「そ、この世界の特徴は世界の名前が現す通りにほら」
ルニアが指さす方向にはおよそ数百匹いると思われる猫の群れ群れ群れ
あまりの多さに目を丸くして驚くルニア以外の一行
子供二人は既にその中心に飛び込んで猫と戯れていた
どの猫も人懐っこく、全く警戒心がない
それどころか自ら寄ってきて撫でろとばかりに腹を見せている
「どう?すごいでしょ」
「はい、とても、とても、素晴らしいと思います!」
「たまりませんなぁ」
「ぼ、僕はちょっと苦手で・・・」
アスティラは喜び子供達と共に猫の輪の中へ
リィリアはその場に座り込んで数匹の猫の毛をモフモフとし、お腹を吸っている
ただラエトリアは猫が苦手なようで、一人猫のいない空き地で座り込んでしまった
「ごめんねラエトリア君、まさか苦手だったとは知らなくて」
「い、いえ大丈夫です。女神様が喜ばれるのであれば何より。それが僕の喜びでもありますから」
ルニアが後々聞いた話によると、彼は幼いころに猫を触ろうとして引っ掻かれたらしく、それがトラウマとなっているらしい
だがこの世界の猫たちは、離れていたラエトリアにも近づいてきて頭を擦り付ける
「う、あう、これは・・・」
そのスリスリが気持ちよかったのか、ラエトリアはうっとりとした顔でその猫たちを触ってみる
フカフカで柔らかく温かい
一瞬で猫たちの虜になってしまったようだ
「ああ、これが猫なのですね。なんと愛らしい生き物なんでしょう」
ラエトリアの顔はほころびきり、目がトロンとしている
猫に際限がないこの世界では猫の餌も豊富にあり、そこら中に彼らの餌となる植物や、果物、小型の野生動物が溢れている
その中でもマティビアという木の実が猫たちの大好物で、それをもいで与えるとさらに懐いてくる
どの猫もルニアたちに懐き、幸せな時間を過ごせた
キティーキャティオに来てから数日が経った
平和すぎる世界で、ウルもこの世界にも目を付けないだろう
何せ害のない生物しか存在しないのだから
「堪能、したわね」
「ええ、堪能しました」
「ふにゃぁ」
「にゃふぅ~」
ルニアとアスティラ以外全員が蕩けて言葉まで猫になっているが、すぐに元に戻る
猫たちはこちらを一斉に見ている。それはまるで、また来いよと言っているかのようだった
「よし、チャージも済んだことだし、また頑張りましょう!」
「はい!」
心への癒しができたが、ルニアの傷は完全に癒えたわけではない
だが確実に心の中にある光は大きくなっていた
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