鬼神たち3

 街に来てから二日後、盗賊たちが来る時間となり、多数の馬がかけて来る音が聞こえてきた

 馬に乗っているのはいかにもな悪党面の面々で、手にはすでに拳銃を構えている

「あれが盗賊っすか? てんで弱そうっす」

「油断は駄目ですよアカネ、あの武器のようなもの、何かあるはずです」

「恐らく、弓のような、飛び道具」

「ふふん、飛び道具程度じゃうちらの敵じゃないじゃん」

 男たちがアカネたちの前に馬を止め、じろじろと見て舌なめずりをしている

「まだこんな上玉が残ってたか、いや、恰好を見るに別の街から来たか? 頭に変なもんつけて、都会での最新ファッションかなお嬢さんがた」

「ギャハハハハ!」

 リーダーと思われる男の言葉に後ろにいた男どもが一斉に笑う

「おかしいっすか? じゃあ笑えなくしてやるっす」

 男は決して瞬きなどしていなかった

 それどころかソウカやモモネの胸をもっとよく見ようと目を凝らしていたほどだ

 だが突然先頭にいた赤髪の少女が消えたと思ったら、男たちの真後ろに現れてその半数を一瞬で再起不能にしていた

 その光景に今度はアカネに視線が釘付けとなる

「どうっすか? もう面白くないっすよね?」

「こ、この!」

 男が銃をアカネに向かって乱射するが、弾が弾かれ全く効いていない

「う、嘘だ、俺は確かに撃った」

「そうっすね、全弾命中お見事っす。その腕前、人を守ることに使えばいいっすのにね」

「ふ、ふざけるな!」

 男は弾を込め直すと再び撃った

「んー、くすぐったいだけっすね」

「ば、化け物!」

 残った盗賊全員が弾を撃ち尽くすほど撃ち続けたが、アカネは頬に当たった箇所を少し掻いただけで意に介していない

「さて、どうするっすか? このままあたしにやられるか、おとなしく去って二度と盗賊行為を行わず真面目に働くか」

「ひ、ひぃ!」

「逃げて別の場所で盗賊行為をしても分かりますわよ? わたくしたち、ずっと、見ていますから」

 シエノの微笑み、目が笑っていないため恐怖を植え付けるのに十分だ

「すすすすみませんでしたぁあああああ!!」

 盗賊たちは一斉に土下座して慌てて馬に乗ると去って行った

 再起不能なほどのけがをしていた男たちはソウカの力で癒す

 癒しの水を口から摂取させることで死なない限りどんな怪我でも治してしまう

 体が元に戻った男たちはソウカを女神のように崇め始めた

「うーん、私に~、ペコペコする前に~、この人たちに言うことがありますよね~」

 優しく諭すようなソウカの言葉に男たちの死んだ魚のような目に光が灯る

「はいソウカ様!」

 盗賊の残党たちは街の人々に謝り倒すとこの街を守ることをソウカに誓った

「いいですか~、私達は視ていますからね~、しっかりやるんですよ~」

「はい!」

 街を救った上に守り手までも手に入れた

 鬼神たちは街を守った英雄として今後も語り継がれるだろう

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