世界に選ばれし者たち12
お菓子を食べて紅茶を飲みながら超能力者の男に話を聞く
彼の名はケルミア、トラフラという世界から自らの超能力によって世界を渡る大道芸人だった
彼は超能力のない世界で魔法を使わずに魔法のようなものを見せるというのを生業としていて、ただただ人々を楽しませるのが趣味なんだそうだ
普段はその世界その世界での問題を解決してちょっとした報酬のみもらって生活をしているんだとか
大道芸では一切お金をもらわないのが彼のポリシーだ
「なるほど、でもどうやって世界渡りを?」
「ああそれは簡単だよ、テレポートを応用してただ単に世界を渡ってるだけさ」
テレポートは超能力の中でも一般的な部類だが、彼のテレポートは非常に強力で、世界の壁すら飛び越えるほどの実力があった
他の能力にしてもそうで、テレキネシスは街ごと、それどころか大陸一つくらいなら楽にひっくり返せる
炎を出せば何もかもを灰にするほどだ
彼の実力自体は恐らくウルの大幹部にも匹敵するだろう
彼を超えるほどの超能力者はほぼいないと言っていい
「さて、少し君たちに話をしようと思う」
「話? どんな話さねぇ」
「僕は未来を一部見ることができる。それはさっき話したよね?」
未来予知による力でエーテたちが来る予知を見ている
彼は数日から数年先の未来が見ることができる
「これは数ヵ月から数年先の未来に起こることだと思ってほしい。君たちにも関わることだ」
彼はニコニコとした笑顔から神妙な面持ちとなってスーッと息を吸う
「輪廻の輪は崩れ死者は生者をねめつける。聖は悪に、悪意は広がり全ては覆われるだろう。探せ、大いなる聖にして正を。正しき心を、悪意に抵抗する正義を、探せ」
「ふむ、少し仰々しくはあるけど要するにウルに対抗するために力ある者を見つけろってことかねぇ」
「ま、そう言うことだね。うん、僕も何度かウルと戦ったことはあってね。可哀そうな子は何とか助け出せたけど、うん、とんでもないやつもいたからね、そんな奴らに世界を支配させるわけにはいかないよ。僕も独自で動いてみるからさ、またどこかで会おうよ。そこでまた情報収集交換だ」
「それはいいんだけど、どうやって再開するんだ?」
「うん、僕が君たちをマーキングするからそこは問題ない。見つけれるよ」
ケルミアはほとんどどんなことでも出来る
エーテたちを見つけることくらいなら造作もないようだ
「さてと、話したいことは話せたし僕はそろそろ別世界に行こうと思うんだ。あ、宿の支払いくらいは僕がしておくよ」
「ありがとう、それじゃあ僕らも情報を集めてまた君に会うとするよ」
「うん、それじゃあね」
彼の部屋から出て別れる
明日の朝にはもう出立するようだ
「エーテ、どう思う?」
「どう思うも何も本物だよ彼は。あんなに強い力を持った者は初めて見たねぇ」
エーテはしっかりと彼を視ていたようだが、恐らくそれは彼にも気づかれていただろう
ケルミアの超能力から彼のことは信頼できるとふんだ
もし彼がウルだったならエーテたちなど一瞬で消されていたのだから
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